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現代パチンコ奇譚 パチ屋の謎は、ニートの俺と異世界の魔女が解き明かす  作者: ムタムッタ
CASE.2 世界は回る、パチンコは回る、しかし当たりは回らない

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Round 11 3分の2の不純な感情


 ────パチンカスの朝は早い。

 開店から打てるよう、朝飯もしっかり食らう。働かずに味わう食事は格別である。


「やっぱり朝は和食だねぇ。あっちのスープより味噌汁が馴染むよぉ」

「納豆は慣れんがな」


 2名変なのが紛れているが気にしてはいけない。パンを出したら逆に不評だったのは根に持っている。


「享楽ぅ、今日はどうするの?」

「どうするってお前らはバイトだろ」

「なぜこの世界でも労働をしなくてはならないんだ…………っ⁉︎」

「金がないからじゃねぇかな」


 たとえ異世界で魔王と言われていても、現代日本では居候のバイトである。なんとも奇妙な話だ。


「えぇ〜、享楽ばっかりずるーい」

「ハッハッハッハッハ、無職の特権ってやつだ!」


 仕事をしてなければ自由である。それは揺るぎない事実。歯噛みする2人に高笑いを決め込んでいると、母親がツッコミに入った。


「バカなこと言ってないで早いとこ仕事みつけなさい。しぐれちゃんから電話よ」

「しぐれ?」


 わざわざ家に電話とは……


『もしもし享楽? 今日はトライアングルに行ってくれる?』

「いいけど、勇者の魔法が起きるのか?」

『他の店は新台入替で店休日よ。調べてないの?』


 ────新台入替。

 パチンコ・スロットの新機種導入のため、既存の設置台と入れ替える作業。警察の立ち会いがある正式な業務だ。


 ※都会などでは新台入替でも深夜に作業をして翌朝営業するが、地方では1日休みになることがある。


 今回の場合、トライアングルだけ新台入替が遅いということだ。


『来てくれるかはともかく、超高回転の謎くらいは解いてよね』

「え、金は?」

『あんたホントに働きなさいよ…………』

「パチンコで金貯まったらな」

『…………まぁ、犯人については絞れてるし前金あげるわ』

「マジか」

『ただし! 2人分。全員溶かされたら嫌だし』

「…………けっちーな」

『ルナちゃんとミィさんに渡そうか?』

「いえ、全力で頑張ります!」


 よろしい、としぐれは会話を締める。

 特別外部顧問様々だ、これで俺はまだ舞える!


『トライアングル行く前にうちの店に寄ること、いいわね?』

「もう1人はどっち連れて行くんだ?」

『あんたに任せるわ』

「おー」


 正直俺1人でもいいんだが…………サンドイッチよろしく俺の顔をルナとミィが挟んでいた。


「うむ、軍資金だな」

調査パチンコ調査パチンコができるんだね⁉︎」

「ルビがおかしいぞ」


 魔王もだが、魔女も相当に毒されている。いや、俺が1番のめり込んでるんだけども。


「今日は我の予約もない、我は行けるぞ」

「わ、私も昨日宿の中ぜーんぶぴっかぴかにしたよ? もう今日は掃除するとこないよ!」

「マッサージの予約はこっからだし、掃除は毎日するもんなんだよ」


 2人の感情が見え透いている。パチンコを打ちたいと不純なソレが。


 しかし日本の労働とは毎日あるものなのだ(偏見)。お前らも日本にローカライズされるがいい。


「でも享楽だけじゃ謎にウンウン唸るだけでしょぉ⁉︎」

「凡人には魔法など解けぬぞ」

「それはそう」


 しかしパチンコに関してはこいつらより知っている。つまり俺は確定、ルナかミィのどちらかがついてくれば良いだけの話。


 打たなければ、謎は解けない。

 真実はパチンコ屋の中にある。


 大当たりを取りに行くんだ、その前の運試しくらい乗り越えてもらおう。


「じゃあジャンケンで俺に勝った方な」

「ふっふっふ、負けなしルナちゃんにそんな勝負仕掛けていいのかな?」

「他愛無いことだ……いくぞッ!」


 はい、ジャーンケーン────


 

 パチンカスの朝は早い。

 誰が謎を解きに行くか、騒がしく決めるために。


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