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現代パチンコ奇譚 パチ屋の謎は、ニートの俺と異世界の魔女が解き明かす  作者: ムタムッタ
CASE.2 世界は回る、パチンコは回る、しかし当たりは回らない

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Round 2 圧倒的超高回転現象①


「もぅ、そんなんじゃバイト代出さないわよ?」

「バイト代出るのも特定できたらだろ? それまでの日銭を稼いでんだよ」

 

 簡単にパチ屋が金をくれるはずもなく、あくまで違法な魔法使いを発見、特定できた場合に恩賞(バイト代)が出るというお話。そうそううまい話はないってこと。


「うちでたむろしてても見つけられないでしょ」

「いや、既に悪質な釘の謎はここにある」


 1000円14回転、単純計算で10000円で140回転()()回らない。パチンコをよく知らない良い子のみんなにはもう一度くじ引きで考えてもらおう。


 しぐれの『らすべがす』では、1000円で14回くじ引きができる。


 大手の『トライアングル』では、1000円で16〜17回できる。まぁ1000円なら大きな差はない。


 ……が、これが1万円になると140回と160〜170回というわけ。2万3万と続けばその差は広がる。当たる可能性がそれだけ広がるって寸法よぉ。


「営業努力と言いなさい」

「お金が溶けるぅ」

「地獄の労働の果てがこれか…………⁉︎」


 せっかく異世界で働く先と寝床を手に入れた2人も釘に苦しんでいる。早くも500円追加。ワンプッシュでジュース3本分が消えるホラー! 


「むかし20回は回ったけどなぁ」

「それでも少ない方だったけどね」


 言っちゃうんだそれ…………

 まぁ、諸経費諸々が高騰する昨今、必要以上にパチ屋を責めたところで得るものはない。要は回らないなら引けばいい。


「え、マジ⁉︎ アレ出た⁉︎ スタナムで⁉︎」

「ん?」


 背後の学生っぽい青年客がパチンコの演出に負けない声量で電話していた。


「マジ? 1000円150回転⁉︎ 行く行く」

「…………」


 100回転近く回したパチンコ台に見切りをつけて、青年は足早に去っていった。と思えば今度はしぐれが電話を取り出した。


「あー…………はい、三京です。はい……あーはい、はーい」


 しきりにこちらへ目配せしてくるのは何でしょう? 既に5000円入れている以上、ここから離れるのも癪なんですが……?


「さ、特別外部顧問の皆様。スタナムから調査依頼よ」

「こ、ここまで我に金を入れて行けと言うのか…………⁉︎」

「魔王様、出禁になるぞ」

「ぐ、ぐぬぬ……仕方ない。ルナ、出立だ」

「もっと早く謎起きてよぉ」

 

 もはや元の世界へ帰ることより、今日の損を気にしている模様。順調な仕上がりで先輩として誇らしい。


「なにしてんの、あんたも行くのよ」

「失った5000円は当たりでしか取り戻せないんだッ!」

「あんたがあの子たちの手綱役でしょーが!」


 そうだっけ? そうだったかも。

 失った5000円は戻らない、しかし特別外部顧問として動かなければならない。いやはや、なんとも暇のないことで……


「で、どう行くんだ?」

「我が飛ばそう」

「は?」

「時空指定、加速機構起動。スタナム到着まで、せーの────」


 質問する間も無く、魔王は淡々と魔法を展開して…………意識は真っ白にぶっ飛ばされた。



 ◇ ◇ ◇



 視界のホワイトアウトが一転、目の前にはパチンコパーラー『スタナム』が見える。


「わは〜すごいね時空魔法」

「店に到着するまでの時間を加速させたに過ぎん。大したことではない」

「テレビの瞬間移動を普通にやるんじゃねぇ」


 この前も魔法を直に体験したところだが、今のはとんでもないモノを食らった気がする。時刻は先ほどから1分も経っていない。


「まぁまぁ、ミィがやらなきゃ私が魔法で空にぶっ飛ばしてたから」

「どうして君たちは物騒なのかね……」


 やはり異世界人とは分かり合えないのかもしれない。


 ともかく入店だ。

 1000円で150回転回る素敵台に挑もうじゃないか……さっきの負けも取り返さないとだし。


「わはー! すごい広いね」

「そうか……ルナは初めてか。我はもう何度か来ているが」


 パチンコ『スタナム』は全国展開するパチンコ系企業だ。大手の『トライアングル』に匹敵するとかなんとか。パチンコスロットそれぞれバランス良く設置され、客入りは普段そこそこ…………だが、店内は熱気に満ちている。


「早速魔力を感じるな」

「もう?」

「ビンビン匂うよ」


 わからん。俺にMPはないのかもしれない。


「つっても普通に打ってるだけに見えるけど…………ん?」


 視線の先、人気機種で埋め尽くされた1島に違和感を抱いた。


 客がハンドルを握って虚空を仰いでいるのだ。1人2人ならいなくもない。相当負けてるんだろうなと合掌するだけ。


「みんな変だね」

「変な客な方が普通であろう?」

「そりゃそうなんだけど」


 1島全員が空を仰いでいる。

 これはもう怪奇現象おかしいとしか思えない。早歩きで島へ侵入すると、各台のパチンコ台、その上にあるデータカウンターには、『1000回』の回転数が見えた。それも、ほぼ全ての台で。


 そして不思議なことに、どの台もスランプグラフ(どれだけ勝ってるか負けているかを可視化したグラフ)は、ほぼ横一直線……ほんの少しずつだけ斜め右へ傾いていた。


「これってどういうこと?」

「めちゃくちゃ回ってるけど当たってない。500発も負けてなくて1000回はおかしい」

「要は明らかに異常だな」


 常識を超えた圧倒的超高回転と、空を仰ぐ人々。


 つまり、魔女様の出番である。


 

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