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現代パチンコ奇譚 パチ屋の謎は、ニートの俺と異世界の魔女が解き明かす  作者: ムタムッタ
CASE.1 お座り1発現象の謎を追え!

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22/63

Round 22 打ち直し。台のスペックは確認しましょう


「え?」

「なに、どうしたのよ享楽」


 スマホで時間を見る。午前9時前、間違いなく戻っている。

 魔法で戻ったんだろう…………まさか人生でタイムスリップを経験するとは思わなかった。


「扉開け────」

「待った!」


 セリフも違う…………いや、ルナも戻ってきたから当然か。困惑するスタッフを前に、ルナが杖を取り出した。


「パチンコ・アクセラレーションッ!」


 突然のダサい魔法名と同時に、世界は加速する。もちろん開店はしていない。一度見てきた状況と違うのは、しぐれも加速していること。


「ちょ、なにこれ⁉︎」

「2回目はしぐれにも手伝ってもらわなきゃね」


 

 ◇ ◇ ◇



 しぐれにしてもらったのは……()()()()()()()()だった。対魔王用に設定していた状態を、元に戻すよう頼んだのである。


「なーんか魔法って割に地味ねぇ」

「時間が止まってんだぞ」

「だって時が止まってやることがメンテよ? しかも未来から来たって?」


 ルナの口から簡単に説明はしてもらった。自分たちは店の外で待つ魔王と戦ったこと、そして確変を引いて魔王を揺さぶり魔法を打ち消したものの、暴走した魔王により世界が崩壊しかけたこと。


 …………全部パチンコが原因というのが笑えない。

 

「でさぁルナちゃん、魔王用に調整したのを戻していいの? 好き放題打たれちゃうけど」

「そのままにしてたらまた世界壊れちゃうもん。それに、私も確変引きたいし。教えてくれるんだよね享楽、確変の引き方!」


 どうしてそこでキラキラした眼差しを送ってくるのか…………反対からとんでもない眼光が刺さってくるが気にしないでおこう。


「教えるっつうか、確変に必ず入る台にすりゃいいんだよ」

「そんなのあるの⁉︎」

「あるよ。つーかおま…………」


 いや、知らなくて当然か。だって異世界から流れてきてまだ数日なんだから。


 じゃあ1ヶ月も事件を起こしてる魔王はなんなんだよって話だが…………それは置いておこう。


「はい、終わったわよ」

「ありがとしぐれ〜」

「おい、アレとアレだけ釘広げてくんない?」

「出禁にするわよ」


 おーこわ。対魔王用の決戦兵器を解体されればこうもなるか。

 そしてほんのわずかな時間、世界の流れは元に戻り、扉が開くと同時に再び…………世界はまた加速する。


 釘の対策など必要なかった。結局必要だったのは…………


「────なぜ、加速世界に我を招いた」


 開店まもなく、魔王が目の前に現れた。


「とんだ醜態を晒してしまった…………そのうえでなぜ、我に何もしない?」

「やっぱり覚えてるんだ、あの暴走」

「当然だ。貴様、我の時空魔法を奪ったな?」

「解析しちゃえば魔王の魔法でも取れちゃうからね私は〜」


 さらっとすごいことを言ったねルナさん。

 魔女への興味は薄れたのか、視線はこちらに移る。


「凡人の貴様が、どうしてここまでする」

「どうしてって言われても…………俺は嫌な思いしてないし」

「…………なんだと?」

「ま、とにかく打とうぜ」


 せっかく釘を開けたスマパチコーナーは素通りして、普通の1/319(ミドル)パチンコのコーナーへ向かう。


「だってよぉ、オスイチさせてくれるなんて神様だぜぇ?」

「何が神だ、我は魔王だぞ」

「いやいや、1回転目当たり確定なんてしてくれるならみんな崇めると思うぜ?」


 座って1発、大当たり。こんな素敵な事象が毎日起きてくれるならハッピーである。ぜひともサービスとして導入して頂きたい。


 だけど、そうはいかない。

 というかそれで俺がまったり打てなくなるのはごめんだね。


「お前の知らない世界は、意外と簡単に見えるんだよ」

「…………これは」

「享楽、なにこれ?」

「100%確変に突入する台」


 大当たり後に右打ちする台は確かにあるが、必ずしも確変というわけではない。一定の回転数を補助してくれるだけの『時短』というものもある。ならば、本当に確変だけの台を魔王に打たせれば良い。それが、確変突入率100%! 台のスペックはちゃんと確認しないと痛い目見るぞ(35敗)。


「オスイチだけ楽しんで確変楽しまないなんて、もったいないぞ」


 たまたま打っていなかっただけかもしれない。たまたまヒキ弱で当たっていないだけかもしれない。


 なら、当たりへ導くのもパチンカスの務め。

 

「第2ラウンドだっ!!」

「いぇ〜い!」

 


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