第4話 森からの観察と新たな疑問
俺の隠れ家は、村全体を見渡せる小高い丘の、深い茂みの中にあった。ここからなら、管理者たちに見つかることなく、村の様子を窺うことができる。
観察を続けるうち、俺は村の奇妙な「周期性」に気づき始めた。
村は、驚くほど規則正しく運営されている。鐘の音と共に人々が起き、働き、そして眠る。まるで、巨大な時計の歯車のように、一分の狂いもなく。
そして、月に一度、村の中央広場で開かれる「祭り」。管理者たちは、村の安寧と豊穣を祝うためのものだと説明していたが、俺にはそうは見えなかった。祭りになると、村人たちは皆、まるで何かに取り憑かれたかのように、異常なまでに高揚し、我を忘れて踊り狂うのだ。
俺の鼻は、その周期と連動して、村から漂う「匂い」が変化するのを捉えていた。
普段は穏やかな花の香りが、祭りの日には、人の理性を麻痺させるような、甘く、そして濃厚な香りへと変わる。そして、その香りには、微かに、金属が焼けるような、不快な匂いが混じっている。
あれは、一体何なんだ?
なぜ、村人たちは、月に一度、あんなにも熱狂する必要がある?
あの匂いは、彼らの精神に、一体どんな影響を与えているんだ?
俺は、自分の研究ノートに、新たな疑問を書き加えた。村の謎は、俺が考えていたよりも、ずっと根が深いようだった。




