第25話 希望の光と抵抗の始まり
世界は、巨大な闇に覆われようとしていた。
公的な組織は機能せず、真実の声は沈黙させられ、正義は権力に踏みにじられる。村の中では、今日も誰かが、知らず知らずのうちに心を壊されていく。
絶望的な状況。だが、光は、完全には消えていなかった。
外界には、あの村の真実を追い、解放のために動く人々がいた。彼らの存在は、まだ誰にも知られていない、静かな希望だった。
村の内部でも、小さな抵抗の炎が、消えることなく燻り続けていた。
医師は、患者への被害を最小限に食い止めようとしていた。
教師は、子供たちに「なぜ?」と問うことの大切さを、諦めずに語り続けた。
農民や商人は、ささやかな抵抗で、管理者たちの計画をわずかでも遅らせようと試みていた。
研究所の内部でも、良心ある職員たちが、勇気ある妨害を続けていた。
そして、あのジャーナリストも、決して諦めてはいなかった。彼は、世界中の志を同じくする者たちと、水面下で連携を取り始めていた。
それぞれの場所で、それぞれの立場で、名もなき人々が、それぞれの方法で、巨大な悪意に抗っていたのだ。
彼らの抵抗は、まだあまりにも小さく、無力に見えたかもしれない。
だが、小さな流れも、やがては集まり、巨大な岩をも穿つ大河となる。
そして、その流れの中心には、いつも一人の少年の存在があった。
外界の支援者たちは、彼の成長を信じて準備を進める。
村の抵抗者たちは、彼の存在の中に、未来への希望を見出す。
「あの少年の成長とともに『何かが変わる』予感がする」
まだ誰も、その真の力も、背負った宿命も知らない。
だが、運命の少年が動き出す時、これらの小さな希望の光は、一つの巨大な輝きとなって、世界を覆う闇を打ち払うだろう。
その時は、もうすぐそこまで迫っていた。
「そして、運命の時が近づいている」