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第14話 薬品分析で判明した恐ろしい真実

村の医師サワダ


私は、あの謎の薬品について、必死で調べ始めた。村の貧弱な設備では、その成分を正確に分析することなど不可能だ。できることといえば、古い文献と照らし合わせ、その効果を推測することだけ。

だが、観察を続けるうち、私は戦慄すべき事実に気づいた。

夢見病の患者たちに投与される薬品の量は、時期によって巧妙に調整されていたのだ。そして、その量に応じて、患者たちの症状は、まるで教科書に書かれた症例のように、正確に、そして一様に変化していく。

これは、自然の病ではありえない。あまりにも計画的で、人為的すぎる。

私は、ある仮説にたどり着いた。

夢見病は、風土病などではない。この薬品によって、意図的に引き起こされているのだ。管理者たちは、村人たちを病気にし、その精神が壊れていく過程を「観察」しているのだ。

私は、震える手でカルテを握りしめた。頭の中で、これまでの全てのピースが繋がっていく。

なぜ、患者たちは恍惚とした表情で「旅立ち」を迎えるのか。――薬物によって、死の恐怖さえも幸福感に書き換えられているからだ。

なぜ、記憶がおかしくなるのか。――村の真実に気づいた者を「調整」し、体制にとって都合のいい人間に作り変えるためだ。

「俺たちは患者を治していない、実験している」

あの日の確信は、今や動かぬ事実として、私の目の前に突きつけられた。

医師としての誇りも、村への忠誠心も、全てが音を立てて崩れ去っていく。

私は、この巨大な悪事に加担していた、共犯者だったのだ。


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