3.ゲームの正体
それから三日たち、いまだに一人も人狼を見つけられないでいた。
教室の隅には頭が弾けている死体と胸が切り裂かれている死体が転がっていた。
そのとき、慎太郎は違和感を感じていた。
その違和感を確かめるために、慎太郎は名前も覚えていないクラスメイトに話しかけた。
「この学校の全校生徒って何人だっけ?」
「え?…たしか、613人…だったかな。」
「それに誤差はないんだよな?」
「さぁ、でも、誤差があっても1、2人程度だと思うぞ?」
「そうか、ありがとう。」
そのとき、慎太郎の中で、疑問が確信に変わった。
慎太郎は次に、教室の隅で座り込んでいる葵に話しかけた。
「おかしいと思わないか?この学校の全校生徒から役職の合計人数を割っても割り切れない。」
「それは、増やしたりとか、減らしたりとかで上手くやってるんじゃない?」
「それもあるかもしれないけど、もう一つの可能性に賭けてみないか?」
「もう一つの可能性?」
「ああ、もし、この学校内で、この教室以外に誰もいないのだとすれば、なにかがこの学校内に隠されている可能性はないか?」
「たしかにあるかもしれないけど、それでなかったら大幅のタイムロスになるよ?」
「だから賭けだ。さぁ、どうする?葵。」
「わかった、やるよ。これで死んだら呪ってやるからな。」
「それは怖いな。…今は16時だから、投票終了したあと、俺たちがまだ生きていたら探し始めよう。」
「わかった。」
それから投票時間になった。
『さぁて。投票の時間だ。そろそろ慣れてきたかな?それでは始めてくれ。』
五分後
『それではこれより、処刑を始める。』
ピットは指を弾いた。
そして、クラスメイトの一人の頭が弾けた。
慎太郎はホッとして葵に話しかけた。
「行くぞ。葵。」
「うん。」
二人は、教室を出て学校内を探索し始めた。
三十分後、いまだになんのヒントも得られずにいた。
学校内には予想通り誰もいなかった。
「どうするの?なんも見つからないよ?」
「まだ探してない場所はあるか?」
「えーと……あ、図書室と放送室はまだ探してない。…でも、あるとしたら図書室じゃない?…放送室にはピットがいるし。図書室なら隠しやすいし。」
「いや、放送室だな。」
「え?なんで?」
「王道を行けば図書室にある数百を超える本たちの中から一枚のヒントが書かれた紙を探せとかだろうが、それが罠なんだと思う。」
「罠?どうゆうこと?」
「ネズミ取りやゴキブリホイホイと同じように、図書室に入ったら殺される。おそらく先生たちの大半もこれでやられている。だっておかしいだろう?初日に見せてきた先生たちの死体のほとんどが頭が弾けている。」
「たしかに、人狼に殺されたなら少なくとも頭がもがれたりはしない。」
二人は放送室の前に立っていた。
「もし逆なら…先生たちがそこまで考えて…セオリーから外れたことをして死んだんだとすれば、俺たちは死ぬ。」
「でも、入ってみないとわからないでしょ?それにそろそろ人狼たちが行動を始める時間でしょ?その前にヒントの一つでも掴まないと。」
「ああ、そうだな。」
慎太郎が放送室の扉を開けようとした瞬間、慎太郎はある異変を感じた。
「なにか、音がしないか?」
「え?」
「なんだろうか、動物が唸っているような音がするぞ?」
慎太郎は扉を少し開けた。そのとき、異臭が慎太郎たちを襲った。
「な、なんだ!?この匂いは!?まるで鉄のような、まさか、血か?」
そのとき、慎太郎の中に一つ仮説が立った。
「まずいぞ、本当にそうなんだとしたら、まずい、非常にまずい!」
「え?どうゆうこと?」
「逃げるぞ!おそらく、図書室に行っても放送室に行っても、どちらにせよ死ぬんだ!こん中にあんのはヒントでもなんでもねぇ!人狼って名の、マジもんの狼だ!」
そのとき、放送が鳴り響いた。
『さぁみんな、夜の時間だ。人狼が動き出すよ。』
その声と同時に放送室から三匹の狼が出てきた。
「葵!逃げるぞ!殺される!」




