6. プールでおっぱいマッサージ
朝のホームルーム。
「今日は、臨海学校に向けてプールの授業です」
プール授業だと!?
先生の言葉に思わずたじろいでしまった。
まさか男女合同じゃないだろうな?
せめて別であってくれー!
「なお、男女混合です」
男子生徒からは歓喜の声、女子生徒からは不満の声。
「うおお!」
「えー、やだー!」
俺は男子だが、不満の声を上げたい。
「私たち、絶対に嫌ですよぉ!
特にうちのクラスには……」
そう言って女子たちが俺の方を見る。
俺のスキル『おっぱい揉んだらレベルアップ』はクラス中に知れ渡ってしまっている。
そのため、俺を性的魔だという誤解もかなりあるようだ。
くそう、俺だって揉みたくないのに、そういう目で見られてしまうのは悲しい。
「ぐへへ……それを言ったら男子もヤバいぜ!
あいつはオレ様のおっぱいも揉んできたからな。
見境がない」
ぐはあっ!
それは事実だが、違うんだ!
揉みたかったんじゃない!
あの時は緊急事態だと思ったんだ!
◆ ◆ ◆
「きみが近寄るとみんなが逃げ出して授業にならないから、すまないが今回は見学にしてくれないか。
対策は、次の授業までに考えておく」
とか先生に言われて、みんなと離れて見学することになった。
仕方がなく、監視台の上からぼーっとプールを眺めて過ごす。
「ん? あれは?」
溺れている人がいる!
誰も気がついていないのか?
「誰かっ!」
声を上げたが、みんな俺から逃げ出して、周りには誰もいない!
ここは俺が行かないと間に合わないな!
——バッシャーン!
迷わず飛び込み、溺れている女子に泳いで近づく。
「おい、もう大丈夫だぞ!」
俺は水中で沈みかけているその子に声をかけ——しまった!
「ごぽっ! ごぽぽ!」
水中で声を出したばかりに、水が逆流して口に入って——!
このままでは俺も!
——バシャバシャバシャ!
もがく俺の手が何かに当たる。この感触は!
水着のスベスベした感触の奥にある、確かな柔らかさ。
——むにむに。むにむにむに。
これは、おっぱい!
別に揉みたかったわけではない。
ワラをもつかむ思いで動かしたこの手の先に、おっぱいがあっただけだ!
《10回、ぬれぬれモミモミを確認しました。
ぬれぬれモードですばやさを10レベルアップしまごぽっげぽぽっ!
げほげほっ!》
水中でアナウンスが聞こえてきた。
「ごぽぽぽ、ごーぽっぽ、ごぽ!? (すばやさ10アップだと!?)」
……これは、あれができるのでは!
俺は水面に頭を出して、溺れていた女子を担いだ。
「必殺、水上走り! 俺の足は、スーパー足!」
そしてそのまま、水の上を素早く走る。
これは以前から俺が密かに考えていた技。
右足で水面を蹴り、右足が沈む前に左足で水面を蹴る。
素早く交互に行うことにより、水に沈まなくなるという理屈だ!
「これが秘奥義スーパー足だ!」
そう、水の上を走れば溺れる心配はない!
プールサイドに彼女を寝かせ、気道を確保。
鼻をつまんで人工呼吸を——
「ま、まって! それはわたしがやる!」
「エレイン!?
わかった、人工呼吸は任せる!」
「ほっ」
「じゃあ、俺は心臓マッサージをする!
頼んだぞ!」
「うん、やり方知らないけどやってみる!」
だが、俺は一瞬硬直してしまった。
心臓はおっぱいの下にある!
おっぱいを触らずに心臓をマッサージすることは難しい。
……いや、命が掛かっているのだ。
いまは、優先するべきは、たとえおっぱいに触れてしまっても心臓マッサージをするべきだ!
ううう、なんで俺がこんな目に。
◆ ◆ ◆
「大変だ! 誰か溺れているぞ!」
心臓マッサージをしようとしておっぱいを掻き分けていると、プールの方向から悲痛な叫び声が聞こえてきた。
「なに!? もう一人溺れているだと!?」
この子の心臓は……よし、動いているな。
「エレイン、この子は任せた。
俺はもう一人を助けてくる!」
「ちゅばっちゅばっ!
オパールちゅばっ、わかったわちゅばっ!
ちゅばっちゅばっ!
この子のことはちゅばっ、まかせてちゅばっ! れろれろ!」
人工呼吸をしながらエレインが答えた。
何を言っているのかわからなかったが、その子は任せたぜ!
——バシャーン!
躊躇せずに水に飛び込む。
今は一刻を争うはずだ!
もう一人の溺れている子を助けなくては!
……?
いや、よく考えたら、その溺れている子の近くにいるやつが助ければいいんじゃね?
という考えがよぎったが、格好つけてプールに飛び込んだ手前、引き返すのもバツが悪い。
——バシャバシャ
「この子か!」
俺はもう一人の溺れている女の子に近づいた。
大丈夫だ、落ち着いてさっきと同じ手順でやれば助け出せるはず——。
まずは水中で近づいて、声をかける。
「おい、大丈夫か? ごぽっごぽぽ」
口に水が入ったところで、溺れている女の子のおっぱいを揉む。
よし! 今のところ、さっきと同じ手順通りだ。
——ばふっばふっ
うおお!? なんだこの重量感は!
ひと揉みするたび、水着の隙間に溜まった空気が溢れだす。
——ぱふぱふぱふ
すごい、水着で押さえつけられているはずなのに、指が深く沈み込む。
だが、これで両手で5回。さっきと同じにできたぜ。
《10回、ぬれぬれモミモミを確認しました。
ぬれぬれモードで防御力を10レベルアップしまごぽっげぽぽっ! げほげほっ!》
アナウンスが聞こえたら、奥義スーパー足で水上走行を……
「なに!? 水上を走れないだと!!
まさか、すばやさのレベルアップが切れたのか!?」
だが、人命が掛かっているのだ!
俺はこんなところで諦めるわけにいかない。
「よいしょっと」
やむを得ず、水上走りを行わずに普通にプールサイドに引き上げる。
溺れていた場所がプールサイド際で良かった。
「まずは人工呼吸と——」
「そ、それは! あーしがやるから!」
金髪の女の子——レモンが割り込んできた!
「レモン!
わかった、人工呼吸は任せた!」
「でも、あーし、やり方わかんない!」
「あそこでエレインがやっているのを真似してみるんだ!」
「わかった! ちゅばっちゅばっ」
「じゃ、俺は心臓マッサージをする!」
しかし——。
「ぬ、おっぱいが大きすぎて心臓の位置がわからない……」
俺は恐る恐る、溺れた子の体に指を這わせると心臓の位置を探った。
——どくん、どくん。
指先に脈動が伝わる。
「見つけた!
動いている、ここが心臓だな!
あとはおっぱいをマッサージをするだけだ!」
俺も若干テンパっていたが、たぶん何も間違ってはいないだろう。
今は人命救助が優先だ!
◆ ◆ ◆
「ん、ん〜〜〜っ! んん〜〜!」
しばらくマッサージを続けていると、その子は目を覚ます。
唇をレモンに塞がれていたため、すぐに声が出せないようだ。
「ぷはっ、良かった!
この子、気がついたっしょ!」
「そのようだな。
念の為にマッサージは続けるか?」
「……もういらないっしょ」
良かった、これでもうおっぱいを触らないで済む。
俺が彼女の胸から手を離すと、少女は起き上がった。
水色の髪に、真っ赤な瞳。
「わらわは、いったい……?」
「溺れていたので、こっちのオパールが心臓マッサージを、あーしが人工呼吸したっしょ」
「心臓マッサージ……オパールくん、ありがたいのう」
「なんのなんの」
「それと、人工呼吸も……はっ!」
水色髪の少女は自分の唇に手を当てると、潤んだ瞳でレモンを見つめている。
「レ、レモンおねえさま……」
「なんだこの子、レモンの妹だったのか?」
「えええ!? いや、知らない、知らない!」
「認知してあげたらどうだ?」
「ほ、ほんとに、あーしの妹じゃないってば!
ちゃんと人工呼吸したし、何も間違っていないってば!」
レモンは真っ赤な顔をして首を振る。
「オパールぅ〜! こっちは助かったよ!」
俺たちの元へ、エレインがやってくる。
隣には最初に助けた茶髪の女の子。
二人は腕を組んで歩いている。
おそらく茶髪の子はまだ本調子ではないため、エレインが支えてあげているのだろう。
「ありがとうっす。
あなたの——オパールくんのおかげで、助かったっす!」
本調子でないと思ったが、声の調子はよさそうだな。
「オパールくん、今まで避けていてごめんなさいっす!
危険をかえりみず、助けてくれて……オパールくんは命の恩人っす!」
「よかったね、オパール!」
「それに、エレインおねえさまも、ありがとうっす!」
茶髪の子は、潤んだ瞳でエレインの唇を見つめている。
おねえさま?
「エレイン、おまえに妹がいたのか……」
「え、ち、違うよ!
って、幼馴染だから知っているでしょ!」
「認知してあげたらどうだ?」
「どうしてそうなるのよっ!
人工呼吸の時に間違って舌を入れちゃっただけだってば!
とほほ!」
次回は二人交互にもみもみ!?
お楽しもみに!
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