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5. ダンジョンでおっぱい

 朝のホームルーム。


「今日は、ダンジョン探索の授業を行いますので、四人以上でパーティを組んでください」

「はーい」


 先生の号令に答え、生徒たちは仲の良い者でパーティを組み始める。

 まずいな。

 この流れは俺が一人になって、端数のチームに入れられるか、先生と組まされるかのパターンだ。


「オパール、組もっ!」

「エレイン、いいのか? 他の女子に誘われていただろ?」

「そっちは断っちゃった!」

「そ、そうか……」


 エレインの行動は嬉しいが、俺と一緒にいると人数合わせチームか先生と組まされるぞ?


「あ、あの……わたしも、いれて欲しいわ」

「うわ! え、きみは!」


 エメラルド色の長髪で少し低い身長。

 制服の上に黒いマントを羽織った少女——オカルト部のルーコだ!


「同じクラスだったのか!」

「わたし、目立たないから」

「でも、いいのか?」

「こ、この間、部室に来て手伝ってくれた、あの時のお礼……」

「よろしくね、ルーコちゃん」


 エレインはコミュ力が高いな。


「『お礼』って聞こえたけど、それならあーしだけ何もしないのはナシっしょ」


 金髪ギャルのレモンが割って入る。


「レモン! おまえも、他の友達はいいのか?」

「あーしは元々気まぐれだから、別にいいっしょ!」

「よろしくね、レモンちゃんも!」


 四人パーティが揃ってしまった。

 それは喜ばしいのだが、このメンバーって全員わりとあれが大きいんだよな。

 ちょっとだけ憂鬱だ。


「ぐぇへへへ!

 よおFランク。ご機嫌なパーティじゃねえか!」

「誰だ?」

「Aランクスキル『筋肉爆増』のノーキン様だ!

 思い出したか?」

「ああ」

「オレ様はいいことを思いついたぞ!

 おまえをダンジョンのトラップに引っかけてやる!」

「なんだと!」

「そしてAランクのオレ様がFランクのてめえをトラップで倒したと、みんなに言いふらしてやろう!」

「卑怯な……」

「そうすればオレ様の筋肉の強さが評判になるって寸法だ!

 そこの三人もオレ様に惚れちまうかもな! ぐへへ!」



 ◆ ◆ ◆



「では、次のパーティ——『オパール組』!

 ダンジョンに挑戦するように!」


 先生が俺たちのパーティを呼ぶ。


「いよいよだね!」

「がんばろうね!」

「う、うん……!」


 女子たちはすっかり仲良くなっているようだな。


 たいまつを持って狭い洞窟——ダンジョンを降りていく。


「えっと、一番奥にある『やくそう』を取って入り口に戻ってくればいいんだよね?」

「楽勝っしょ!」

「……だと、いいわね」

「おいおまえら、モンスターとトラップには気をつけるんだぞ!」


 エレインがショートソードを構える。


「今日は武器を持ってきているからね!

 どんなスライムが現れても平気だよ!」

「あーしも短剣を持っている!

 どんなゴブリンがスライムパンチしてきても大丈夫!」

「わ、わたしは魔術の杖を持ってきた。スライムがゴブリンでも平気……」


 みんな武器を手にしていて頼もしいな。

 俺も、たいまつを持っている!


「おっと、そこに落とし穴がある。気をつけろよ」

「きゃああ!」

「どうした?」

「お、落とし穴の下に誰かいる!」


 たいまつを掲げて覗き込むと、落とし穴の底にはあの男子生徒——ノーキンがいた。


「ぐへへ、見つかっちまったか!

 てめえらが落ちてきたところを襲う予定だったんだがな!」

「なんて卑怯な! 許せん!」


 意を決して落とし穴に飛び込む。


「俺のスライ……ゴブリンパンチを喰らえ!」


——バキイッ!


 俺のたいまつがノーキンの頭にクリーンヒットした!


「ぐへへ、かかったな!」

「なに?」

「今頃、落とし穴の上ではどうなっていると思う?」

「まさか!」

「そうさ、たいまつを失って真っ暗闇!」

「それが狙いだったのか!」

「それだけじゃねえ。落とし穴の中でたいまつを燃やすとどうなると思う?」

「熱い?」

「その通り。たいまつの炎が落とし穴の中の酸素を燃焼させ、てめえは酸欠になって死ぬ!」

「なんだと! 卑怯な!

 こうなったら落とし穴から脱出するために、おまえにも協力してもらうぞ!」


 俺は、ノーキンの胸筋を揉んだ。

 か、固い!

 だがこれでレベルアップすれば、落とし穴脱出の手がかりが得られるかもしれない!


《びー、びー、びー、エラー! 今のは揉んだうちに入りません。おとこ、ダメ、ダメ!》


 いつもの女性アナウンスの声で、いつもと違うアナウンス。

 男のおっぱいじゃダメか……。


「きゃああ! モンスター!?」


 突如、落とし穴の上から騒ぎ声が聞こえてくる。


「ぐへへ、さっさと上に戻って助けないとどうなっちまうかな?」

「くそ! どうやって戻れば……そうだ!」


 穴の上に向かって叫ぶ。


「おおい、誰でもいい! そのモンスターをこの落とし穴に入れられないか?」

「暗くてよく見えないけど、やってみるね!」


 程なくして、ドサッと何かが落ちてくる。

 これは……巨大なイソギンチャクのような姿!

 触手の怪物、ローパーだ!


「ぐへへ……ただの落とし穴を触手トラップに変えちまうとは、やるじゃねえか!」


 ノーキンは手足をローパーに絡まれ弄ばれたまま、ぐへへと笑っている。

 卑怯そうな笑顔だ。


 ノーキンがそんな顔をしている間にも、ローパーは貪欲に落とし穴の上の獲物を捕獲しようと触手を伸ばしている。


「ノーキン、ちょっとこれを持っていてくれ」

「ぐへへ、クリスマスプレゼントか?」


 俺はたいまつをノーキンの手に握らせた。

 よし、これでいけるか?


「ぼくは悪いローパーでローパー!」

「うるせえ!」

「ムキー! ぼくは、うるさくないでローパー!」


 騒ぎ立てるローパーの触手をよじ登り、落とし穴の上に戻った。


「みんな、大丈夫か!」

「だめ、ここにまだ敵がいる! でも暗くて見えない!」


 落とし穴の上は真っ暗だ。


「しまった、たいまつは落とし穴の下のノーキンが持っている!

 なんて卑怯な……」

「きゃあ!」


——ドンッ!


 暗闇の中で、誰かが俺にぶつかる。

 慌ててその誰かを受け止めて支える。


「ご、ごめん、敵に弾き飛ばされて……」


 この声は、エレインか。

 って、この手の感触は? この布の間に手が入り込んだような感触。肌のすべすべした感触。

 しっとりとしていて、温かい。

 そして、この手に吸い付くようなフィット感。


——ふにふにふに、ふにふに


「ちょ、そんな、そこはだめ……」


 これは、なま!?

 服越しではない、まさかの、なまおっぱい揉み!

 なんてものを触らせるんだ……。

 ううう、なんでエレインにこんなものが付いていやがるんだ……。


《ぴー! 10回、なまなまモミモミを確認しました。なまなまモードで攻撃力を10レベルアップします》

 

 いつもと少し違う女性アナウンス。


「なまなまモード?」


《ぴー! なまなまモードでは、揉んだ相手のスキルを借りて使えます》


 揉んだ相手!?

 ……エレインのスキルを俺が使えるというのか!?


 次の瞬間、俺の体が一瞬発光し、俺は何か鎧のようなものを身にまとった!

 のだが、発光が消えたら暗くて見えない。

 そうだ!


「おーい、たいまつを取ってくれ!」


 落とし穴の底に向かって叫ぶ。


「わかったでローパー!」

「あっオレ様のクリスマスプレゼントを!」


 俺は悪いローパーからたいまつを受け取ると、落とし穴の上を照らす。

 そこには……


「おまえは! 大ネズミ!」

「クックック。見つかっちまったか! 俺は少し悪い大ネズミ!」

「悪い大ネズミ、物理耐性を持っている……武器が効きにくいわ」


 ルーコが解説してくれた。

 なんだと! ありがとう!

 それならば早速エレインのスキルを使わせてもらおう!


「炎の矢よ、敵を貫け! ファイヤーアロー!」


——ブスッ!


「ぎゃあああ! 熱い!」


 俺の放った炎の矢は大ネズミに刺さり、そのままヤツは落とし穴に落ちていった。


「ぐへへ! 新たなお客さんが落ちてきたようだな!

 さてさて……?」


——ボガーン!


 落とし穴の下で、大ネズミは脳みそ以外、木っ端微塵に吹き飛んで死んだ。


「さ、ダンジョン探索の続きをしよう」

「そうね」


 ふと、俺は落とし穴の底にも一応呼びかける。


「俺たちはもう行くが、おまえもさっさと落とし穴の上に上がってこいよ!」

「わかったでローパー!」

次回、プールで水着回、二人まとめて!?

お楽しもみに!

————

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