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4. 先生、おっぱい

「先生、俺のスキルについて詳しく教えてください」


 わざわざ職員室まで行って、担任のハスリア先生に質問してみた。


「きみの『おっぱい揉んだらレベルアップ』だな。

 珍しいスキルだから、ちょうどわたしも調べていたんだよ」


 ハスリア先生は、長い黒髪を靡かせて、どこかの鍵を取り出した。

 さすが美人教師と噂される先生、その所作は美しく格好いい。

 あれさえ大きくなければ最高だ。


「ついてこい」


 鍵を開け、先生と共に入ったのは、学園の資料室。

 中はひんやりとしていて、誰もいない。


「たしかここに……あった!

 歴代の、きみと同じスキルの持ち主」


 先生はファイルを開きながら言う。

 でかすぎる胸がファイルに引っかかって邪魔そうだな。

 俺もできれば遠ざかりたい。これさえなければ……。


「俺と同じスキル! 他にもいたんですね」

「ああ、およそ4年に1人くらいの確率で、あみだくじで引き当ててしまうようだな」

「それはレアですね……」


「きみのひとつ前にこのスキルを引き当てた人物は……ふむ、4年前に学園を中退しているな」

「ええっ! 誰なんですか?」

「誰なのかは、個人情報だから言えない。中退理由は、スキルを警戒して周囲から人が遠ざかり『学園生活が辛くなって中退』か」

「かわいそう」


「8年前のこのスキルの持ち主は……クラスメイトの胸を『無理やり揉んで退学処分』か」

「かわいそう」


「12年前の持ち主は、彼女がいたようだ。その子に揉ませてもらったと書いてある」

「期待が持てますね」


「だが、彼女さんは学園の生徒ではなかったため、学園でスキルを使用できなかったようだ。卒業後のことはわからないな」

「かわいそう」


「16年前の持ち主も、辛くなって中退だな」

「かわいそう」


「……きみは語彙が少ないな」

「かわいそう」


「おお? 20年前の持ち主は学園内に彼女がいたようだぞ!」

「期待が持てますね」

「スキルを使用する——揉み続けると、『防御力が1レベルアップした』と書かれているな」

「1回しか揉まなかったんですかね?」

「おまえが何を言っているのかはわからないが、それ以外の効果は書いていないな」


 どういうことだ?

 揉み続けるってことは、一回だけじゃなさそうだけど、それで1レベルだけ?


「しかも、効果は数分も経たないうちに消えてしまったそうだ」

「俺もそうです。

 揉んだ手の感触がなくなると同時に、レベルアップした部分も元に戻りました」


 そうか!

 自分で言って気がついたが、時間ではなく手の感触が残っている間だけ、レベルアップしているのか。


「なるほど、手の感触が……って、きみ!?

 もう誰かのおっぱいを揉んだのか?」

「まあ、なりゆきで……」


 あっぶな。


「それ以外の持ち主も、似たり寄ったりだな。

 効果が薄いし、すぐ消えるし、そもそもおっぱいを揉める相手がいないとスキルが成立しないし。

 それでFランク認定されたわけだ」

「先生、揉まれた側については分かりませんか」

「それは……ほぼ詳細が書かれていないが、確かに気になる。

 揉まれた側にリスクがあるのなら、あまり使用は薦められないし」

「…………」

「…………」

「先生の、とても大きいですよね」

「えっどこを見て……えっ?」

「体験して判断する、というのはどうでしょうか」


 もちろん、先生が嫌がればすぐに引き下がるつもりだ。

 俺は女の子を傷つけないと決めていたが、女の子以外だって人が傷つくのは嫌だ。

 それに先生は若いから、俺から見たら歳上だが女の子に含まれるかもしれないし。


「な、何を言っている!

 教師を性的な目で見るな」

「俺、大きいのは苦手なんで、まったく性的な目で見ていません。

 あくまでスキルの詳細が気になるだけです!」


 性的な目で見ていないというのは、本心だ。

 俺は、生徒年鑑の『かわいそう』な歴史の1ページになりたくない。


「わたしも、自分の生徒のスキルについて、気にはなるが……」

「こんなこともあろうかと、資料室に入った時に内側から鍵をかけておきました。

 そしてここの鍵は先生が持っている。誰も入ってこられません」

「なんで用意周到なんだよ!」

「俺は、俺のスキルの詳細が知りたいだけなんです」


 エレインや、レモンのおっぱいは偶然に揉んでしまった。

 ルーコは、悪魔に取り憑かれ意識がなかったのでやむを得ず揉んでしまった。

 そのため、彼女たちから揉まれた側のフィードバックを受けることはできなかった。

 が、ここで先生からそれを聞くことができるかもしれない。


「うぅ、服の上から、す、少しだけなら……」

「嫌だったらすぐにやめるので、言ってくださいね」


 先生は目元を隠して黙ってこくりとうなずく。OKが出た。

 失礼と思いつつも、年上の大人の女性なら許してくれるかも、と少し期待——いや、甘えていたのかな。


 同意を得て揉むのは初めてだ。緊張する。

 俺はおそるおそる手を伸ばす——


——ずしり


 な、なんだこのサイズと重量感は!

 まるでボウリングの球! 柔らかいボウリング球だ!


「くふんっ」


 そのまま指にゆっくりと力を込める。

 くそっ! あまりの大きさに俺の精神が辛くなってきた。

 やめるか? いや……そうだ!


「これはボウリングだ!」

「??」


 俺はボウリングの球を揉んでいると自分に思いこませることにした。

 だとしたら狙うは三連続ストライクの……ターキーだ!

 やるぞ!

 気合を入れて指に力を入れてしまった。


——たぷん!


「ごめん、もっと優しく……」

「す、すみません」


 とたん、ふっと指先の感触が変化する。

 しまった! これは服の下でブラが外れてしまったのか?

 ボウリングでいえば、いきなりガーターだ!


 俺は一度指の力を抜き、もう一度やさしく押し込む。


——たぷん!


 ブラから解放された左右のおっぱいが離れる。

 これは……スプリットだな!


「なかなか難しいな」

「落ち着いて、ね?」


 ブラが外れたことにより、手のひらに豆粒のような何かが当たっていることに気がついた。

 これがスプリットで残ったピンというわけか!

 この左右のピンを倒すことができれば、この回はスペアを取れる!


「行くぜ!」


 俺はピンを中心に円を描くように指を動かした。

 昔、ボーリング場でスプリットを制するために俺が開発したローリング投法!

 成功したことは一度もなかったが、今こそ成功させるとき!

 ぐりんぐりんぐりんぐりん!


——たぷんたぷんたぷんたぷん!


「は、はげしい! あうっ」

「ふぅ」


 たぶんスペア取れたな。

 どや! こんなところでどうだろうかッ?


《ぴー! 12回、モミモミを確認しました。知力を18レベルアップします》


 え? 18レベル? 多くない?


「うぅ、ぐすっ……ふえぇ……」


 あれ? 先生泣いている?

 やりすぎてしまったか……?


「生徒に、おっぱいだけで……されるなんてぇ……ぐすっ」

「せ、先生? 大丈夫ですか?」

「……う、うん」


 嫌だったら止めて欲しかったのだが。

 いや、俺の方から、先生の様子から気がついて手を離すべきだったんだ。

 俺の経験の浅さから、先生の心を傷つけてしまったのかもしれない。


「せ、先生ごめんなさい……」


 それだけじゃない。

 俺は苦手な巨乳をボウリングに例えることによって、苦手を回避しようとした。

 だが、先生のおっぱいはボウリング球じゃない。

 先生の、女性の体の一部だ。


 俺はそのことを見失ってまで、苦手を回避してはいけなかったんだ……。

 あまりにも未熟すぎた。



 ◆ ◆ ◆



 ハスリア先生が落ち着くのを待つ。

 服の下でなにかゴソゴソと——ブラを直しているのか。


「と、ところでオパールくん、今の声は?」

「俺がおっぱいを揉むと聞こえてくるアナウンスです」

「興味深いな……わたしはもう少しここに残って、他にも類似スキルが過去になかったか調べてみるよ」


 俺はもう帰れ、ということかな。


「そうだ、興味深いと言えば、もう一つ」


 先生は自分の胸を見て考え込んでいる。


「わたしのステータス・オープン!」


 先生は自分のステータスを表示させると、詳細項目を見ていた。


「やはりそうか!

 おっぱいだけ肌年齢が若返っている!

 それだけじゃない、おっぱいの張りと艶のステータスが増している!」


 どういうことだ?


「きみのスキルは、揉まれた相手のおっぱいを癒し、力を与えることができるようだ」


 おっぱいを揉まれた相手にもメリットがあるってことか!

『よし、それなら遠慮なくみんなを揉みまくれる!

 ガンガンいこうぜ!』

 とは、ならんだろ!

 いくら癒し効果があろうが、相手に拒否されたんじゃ使えない。

 もちろん無理やりなんてもってのほかだ!


「使えないんじゃ、やっぱりFランクスキルじゃないかぁ! とほほ」


 俺の、学園生活での当面の目標が見えてきた。

 せめて、このスキル『おっぱい揉んだらレベルアップ』の詳細を解明する!


 女の子のおっぱいを揉む以外でレベルアップする方法はないのか?

 誰かを傷つけずに使う方法はないのか?

 そして、レベルアップ以外の使い道を考えてやるぜ!

次回、なまおっぱ……?

お楽しもみに!

————

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