3. オカルトおっぱい
「あなたに、興味があるわ……」
学校の廊下で、突然後ろから呼び止められた。
「き、きみは?」
少し背の低い女子生徒。
校内だけあって、服装は女子の制服だが、その上に黒いマントを羽織っている。
エメラルド色の長い髪が、黒いマントの上に映える。
「わたしはルーコ。
あなたに、オカルト部に入って欲しいわ……」
「オカルト部?
興味ないんだが。なぜ俺なんだ?」
「あなたが、珍しいスキルを持っていると聞いたから」
「悪いが、オカルトには興味ないんだ」
「じゃあ、入部しなくてもいいから、来て欲しいわ」
それくらいなら、と思ったが何をさせられるんだ?
「来てくれないと、『学校の帰りにおっぱいを揉んだ写真』と『ゴブリンの森でおっぱいを揉んだ写真』をばら撒くわ」
「なにいっ!? 写真だと!?
録画クリスタルでも使ったのか!?」
録画クリスタルは、クリスタルを掲げた場所の写真を撮ったり、動画を撮ったりする魔法道具だ。
非常に高価なので、ただの学生が持っているとは思えない。
「ち、違うわ」
「じゃ、どうやって撮ったんだ?
「オカルト念写……?」
オカルト念写が何かわからないが、そんな写真をばら撒かれたら彼女たちに迷惑がかかってしまう。
「わかったよ、ええっと、ルーコさん?
行くだけだからな」
「ルーコでいいわ」
◆ ◆ ◆
オカルト部は空き教室を使用しているようで、それほど広くない。
しかし、部室内には、なんだか怪しげな物品が大量に並べてあり、煩雑としている。
「じゃあ、悪魔召喚するわ……」
「まてまて、なんで俺が必要なんだ?」
「生贄がレアなスキルの持ち主であるほど、高位の悪魔が呼び出せるから」
「たしかに俺のスキルはレアらしいが……珍しいって言っても、Fランクスキルだよ?」
「え、Fなの?」
オカルト少女——ルーコはしばらく考え込んでいたが。
「まあ、やってみるわ」
「ぐわははは! 我は召喚されし魔王バホメット!」
「うわ、急に誰だ!」
「だから魔王バホメットだ!」
オカルト部の物品の影から、長い顎髭のヤギの頭を持つ何者かが現れる。
頭だけが異質ではなく、そいつはコウモリの翼と、人間の上半身に、獣の下半身を持っていた。
身長は、意外と高くない。ルーコと同じくらいか?
「ぐわははは! 恐れおののくが良い!」
声はこの世の人間が発生ているとは思えないような異質な声だ。
「え、本物?」
「わたし、まだ召喚していないわ……」
「ぐわははは! 本物だ!
召喚される準備ができていたのに、お前らがイチャイチャしてなかなか召喚しないから……こちらから出てきたのだ!」
なんて気の短い魔王だ。
「わたし、使い魔が欲しかったのだけど、あなたを使役できる?」
「ぐわははは、できない」
「どうして?」
「我は魔王! 我より魔力の低いものには従えぬ!」
「なあ、従わないとどうなるんだ?」
「そうだな……この小娘の肉体は、我が貰い受ける!」
魔王の体が霧のように変化し、オカルト少女の体に吸い込まれていった。
「ルーコ!?」
「呼びかけても無駄だ。
この小娘の意識はない。我が乗っ取ったからな!」
ルーコの意識はない、だと?
ならば……!
「ならば、こうしてやる!」
俺は、オカルト少女のおっぱいを両手でつかんだ。
——ぷにっ
「貴様! この魔王に向かって何をする!」
そのまま優しく揉み始める。
——ぷにぷにぷに
「や、やめろ! やめろ! やめるのだ!
この魔王に向かって、なんということを!
やめるのだってば!」
——ぷにぷにぷに
……ふう、なんてことだ。
この子、予想外に揉みごたえがありやがる。
《ぴー! 14回モミモミを確認しました。魔力を14レベルアップします》
いつもの謎の女性アナウンス。
そして俺の体が光る。
「ん? 14回? そうか!
両手で7回揉んだから、右手と左手で2倍に増えたのか!」
「こ、この魔王を辱めるとは……許さんからな!」
「魔王、たしか自分より魔力の高い相手には従うんだよな?」
「ええっ!?
この小僧、さっきより魔力が増えて……我の魔力を超えているだと!?」
「そういうことだ。
俺の命令に従ってもらうぞ?
彼女に体の自由を返し、お前はこの部室から出ていってもらおうか!」
「ぐぬぬ、魔力の高い者には逆らえぬからな……」
魔王は霧状になってオカルト少女の体から抜け出し、実体化すると部室から出ていった。
◆ ◆ ◆
「まったく、扉くらい閉めて出て行けよ」
俺が魔王の出ていった部室の扉を閉めていると、後ろから声がする。
「あ、あの、ありがとう……えっと名前、なんだったかしら……」
「俺はオパール=ヒンヌスコだ。
一応協力はしたから、写真はばら撒かないよな?」
「う、うん。写真ばら撒くって嘘だし。
あなたを引き止めるためにとっさに言ってしまっただけ」
そうか、それで『オカルト念写?』とか変なことを言い出したのか。
「それに、あなたが女の子たちのおっぱいを揉んでいた理由も、今のでだいたい想像ついたから……」
そういうとルーコは自分の胸に手を当てた。
あれ? 魔王が意識を乗っ取っていたんだよな?
本人は覚えていないんだよな?
だから俺は遠慮しないでおっぱいを揉んだんだが。
「そ、それじゃわたしは部室を片付けるから。
ま、ま、またね……」
わたわたと、部室を追い出されてしまった。
え、意識があったらやばくないか?
って、『またね?』
な、なんだったんだー!?
次回、美人教師登場! 物語が動き出す!?
お楽しもみに!
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