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1. おっぱい揉んでスライム退治

 魔法学園の入学式。

 生徒一人につきひとつのスキルが授与される大切な日だ。


「いよいよ始まったね!」


 ピンク色の髪の毛を揺らして、体育館を見回すエレイン。

 女子の学園制服がよく似合っていて可愛い。

 ……『あれ』さえなければ、なおよかったのだが。


「おまえとの腐れ縁も、ここまで続くとはな」

「腐れ縁じゃなくて、幼馴染って言ってよ!」


 エレインも、幼い頃はもっと平たかったというのに、どうしてこうなった……。


「それにしても、人が多いねえ。みんな同じ新入生だよね?」


 周囲にはスキル授与待ちの新入生がたくさんいる。


「そうだな。みんな浮かれているな」


 校長先生らしきヒゲの男性が一人ずつ生徒の名前を呼び、スキルの授与を行っている。

 大声を上げて喜ぶ男子生徒。


「やったぜ! Aランクスキル『空中飛行』スキルだ!」


 あの男子生徒、Aランクごときで大喜びしていやがる。

 まあ、一般的にはAやBランクが当たり、Cが普通、Dがハズレスキルといった認識だろうからな。


「見ろよエレイン。彼らは知らないようだな」

「何を?」

「この世界には、Aランクを超えるSランクスキルが存在するということをな!」


 何を隠そう、この俺はそのSランクが授与されることを密かに期待している。

 今まで特徴がなく冴えなかった俺だが、Sランクスキルさえ手に入れば、すばらしい学園生活を送れることだろう!

 ぶっちゃけ運任せだけどな!


 さあ先生よ! 俺の名前を呼ぶがいい!

 この俺『オパール=ヒンヌスコ』のSランク伝説は、ここから始まるッ!


「次、オパールくん。

 きみは、Fランクスキル『おっぱい揉んだらレベルアップ』です」


 俺の伝説は終わった。

 え、えふらんく……?



 ◆ ◆ ◆



 入学式が終わり、学生寮への帰り道。


「そもそも一生に一度のスキル授与が、あみだくじで決まるというのが気に食わん!」

「まあまあ、落ち着いて」

「エレイン、お前はBランクスキルだっけ?」

「うん、攻撃スキルの炎の矢——『ファイアアロー』だったよ」


 格好よさそうなスキルだ!

 う、羨ましい。


——ガサッ


 突如、通学路脇の茂みの中から何者かが現れた。


「ケーッケッケッケ! 俺は悪いスライム!」


 水色のゼリーのような体をして、不適な笑みを浮かべている……スライムだ!


「きゃあ!」

「モンスター!?

 おまえのステータス・オープン!」


 反射的にスライムのステータスをオープンする。

『名称:スライム 総合レベル3』

 強さを表す数値——レベルが3もある!?


「俺たちじゃ危険だ、逃げよう!」

「ケーッケッケッケ! スライムパンチを喰らえ!」


——ベキイィッ!!


「ぐわあーっ!!」

「オパール! だ、大丈夫!?」


 スライムが体の一部を変形させて伸ばして攻撃をしてきた!?


「くっ……肋骨を10本ほどやられたか!?」

「ケッケッケ!

 この悪いスライム様のパンチを喰らって立てるかな」


 くそっ!

 転倒した俺を挑発するとは嫌なスライム……いや、悪いスライムだ!


「オパール、つかまって!」


 手を差し伸べるエレイン。

 スライムを睨みつけながら、その手につかまって立ちあがろうとしたが……


——ふにっ


 なんだ? この感触は? もう一度。


——ふにっ


 ん?


——ふにふにふにっ


「ちょっと、オパール! そこ、手じゃないよ!」


 顔を真っ赤にして、うつむくエレイン。

 よく見ると、俺が右手で掴もうとしたのは、エレインのおっぱい!?

 不覚! あんなものに触れ……いや、その前に謝らないと!


「ご、ごめん! わざとじゃないんだ!」


《ぴー! 5回モミモミを確認しました。攻撃力を5レベルアップします》


 どこからともなく、謎の女性のアナウンスが聞こえる。


「えっ、なに? なんかオパールの体、光っている!?」

「な、なんだ!?

 俺の体が——力が、みなぎる!」


 発光はすぐに収まったが、みなぎる感触は残っている。


「ケケーッ!? 貴様、いったい!?」


 いまなら、倒せそうな気が!


「くらえ! スライムパンチ!!」


 俺の渾身の力を込めたスライムパンチをスライムに放つ!


——ボコォッ!!


 スライムの顔面がへこむ。


「こ、この悪いスライム様が、たかが人間のスライムパンチごときに……バカなぁっ!!」


——ドバーン!


 次の瞬間、スライムは脳みそ以外が粉々に弾け飛んで死んだ。


「これが、俺の力……?」


 違うな。正確には、スキルの効果だろうな。


「す、すごいよオパール!

 モンスターを素手で倒しちゃうなんて!」


 この『おっぱい揉んだらレベルアップ』、Fランクスキルのはずだが妙に気になる。

 もしかして、強いのか!?

 いろいろ試してみたいが、『おっぱいを揉む』という行動が発動のトリガーになっているのは残念だ。

 女の子の犠牲の上で成立するスキルなら、使わないほうがいいし……困ったな。


 あの日、俺は女の子を傷つけないと誓ったのに。

 ——もちろん、肉体的にも、精神的にも。



 ◆ ◆ ◆



「今の、見ていたぞ……!

 そのカワイコちゃんのおっぱいを揉みやがって!」


 いかにも、いじめっ子タイプの脳筋そうな、いかつい男が物陰から現れた。

 同じ制服を着ている。新入生か?


「てめえ、体育館でFランクスキルとか言っていたやつだな!

 俺様の名はノーキン!

 Aランクスキル『筋力爆増』の持ち主だぜ!

 ぐえっへっへっへ!」


 なんでこんな元から脳筋そうなヤツに、脳筋系のスキルが当たるんだ。

 もしかしてこいつ、Fランクスキルだった俺に目をつけているのか?


「ぐへへ……おっぱい揉んだてめえは許せねえ!

 これからの学園生活、楽しみにしていろよ!」


 入学早々だというのに、早くも学園生活の波乱を感じる……!

次回、ギャル登場!

お楽しもみに!

————

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スキルのせいでド変態野郎になるなんて悲しき
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