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ピースウォーカーになれと言われても急には無理だよそんなの

この作品はプリンセスヒーローものです。


「この作品、好きだなあ」「気に入ったから応援したい!」「もっと読みたいから頑張れ!」とかちょっとでも好きだと思ったら、ブックマーク、いいね、評価、感想お願いします。


作者のモチベーションになります。

とうとうお迎えが来たのだろうか?


この状況でここに近づいてくるとしたら、天使くらいのものだろう。


だって目の前には、このサクリファイスとかいう目を合わせただけで全身に鳥肌が立つほどおぞましい存在がいるのだから。


「生きてるか、ウォーカー?」


「うかに言ってるの?」


「うかって言うのか。生きてるみたいだな。じゃあお近づきのしるしに、これからお前のことをうーかーって呼ぼうかな。それより早速なんだけど、ピースウォーカーになってくれ。開闢(かいびゃく)の天志が来るまで、終焉の惡魔を食い止める役目を担ってもらう。まあ早い話が、生きたまま開闢の天志になるってことだ」


顔面をじりじり踏みつけられているのもあって、話がよく入ってこない。


「そうすればこの状況を切り抜けられるし、上で騒いでるウォーカーたちも助けられる。うーかーにしか無理なんだ。なにせ威光が強いから」


その威光という言葉の意味がよくわからなかったし、そのピースウォーカーとかいうのになれと言われても、急には無理だ。


「ごめんなさい。いくら天使さんの言うことでも信用できません」


開闢(かいびゃく)の天志じゃなくて幼精のシマエナガな。うーかーみたいに正義感が強かったり、信念が強いウォーカーの威光がなければピースウォーカーにはなれないんだぜ」


終焉の惡魔の統率者であるサクリファイスは、狐のような切れ長の目でゾッとするような視線を向けてきたのだけど、その目はうかの事を見ているようで見ていなかった。


「幸せな人間は誰しも罪を背負っている。それは不幸を知らない無知の罪だ」といった、さっきの独りよがりな演説にまだ心を囚われているようで、物思いに耽って心は上の空といった様子だった。


「本当は楽園、ウォーカーで言う天国から開闢(かいびゃく)の天志が助けにやってくるはずなんだけど、あいにく今は極災死季(ごくさいしき)っていう1年に4度ある楽園で大災害が起こる時期なんだ。だから、うーかーがなんとかするしかないんだぜ」


シマエナガがあれこれと説明して口を閉じたその瞬間、サクリファイスはゾッとするような視線を自分のつま先に乗っていたシマエナガに向けた。


「我々のつま先になぜ幼精が乗っている。まあいい。それはともかく我々は幼精が大好物なんだ。早速いただくとしよう」


サクリファイスのつま先に乗っていた幼精のシマエナガにゆっくりと手を伸ばしていくのだけど、それが悪意に満ちていて思わず吐きそうになった。



バサバサバサバサッ!!!!!!


羽音をさせながら助かる為に一生懸命もがく幼精のシマエナガ。


「その子は関係ないでしょっ!!手を出すんじゃないわよサクリファイス!!」


そしてサクリファイスがシマエナガを掴んで口に運び噛もうとした瞬間、シマエナガは可愛らしい見た目からは想像もできないような勇気を発揮して、シマエナガにとっては地獄の入り口のような喉に向かって一直線に突っ込んでいった。


「ゴホッ!!ゴホゴホッ!!」


急に口の中にシマエナガが入ってきたから、サクリファイスはこのまま窒息するんじゃないかと思うほどに咳き込んだ。


そしてそれが苦しかったようで、終焉の惡魔にとって大好物である幼精のシマエナガを口から吐き出し、そのままシマエナガが逃げるのを許した。


バサバサバサッッッッ!!!!!


「待て、シマエナガよ!!もう一度我々の元に戻ってこい!!今度は完璧に飲み込んでやろう!!」


そしてこの隙に乗じて、うかは顔を踏みつけてくるサクリファイスの足をどかして、すぐに立ち上がりその場から離れた。


「あんた、よくも可愛いシマエナガを食べようとしてくれたわね!!考えられないんですけど!!」


「人間、いや、ウォーカーだって動物を食べる習慣があるだろう?なぜ我々終焉の惡魔は動物を食べてはいけないのだ?」


「ダメなものはダメなのよ!!うかが嫌な気分になるの!!」


その瞬間、我を忘れて、うかはサクリファイスのもとに突っ込もうとした。


しかし、そうしようとすると頭の中でサクリファイスがシマエナガを捕まえようとした、あの悪意に満ちた手がフラッシュバックしてきた。


そして、うかが襲いかかろうとしているにもかかわらず全く動じない様子と、サクリファイスの狐のような切れ長の目から発せられるゾッとする視線に気圧されて動けなくなった。


「ッ.......!」


「ピンク髪よ、己の罪を知れ!!」


その瞬間サクリファイスが耳元にしているピアスがキラッと揺れた。


というよりも、耳元のピアスだけじゃなくサクリファイスの全身から光が発せられたので、多分これがシマエナガの言う威光なんだろう。


もうだめだ、終わった....。

と思った次の瞬間、あっち行け!!と叫ぶ声が聞こえた。


それは頭上から聞こえてきて、そっちに目を向けてみるとふうの親友であるそら君を筆頭に、子供たちが丸めたプリントをサクリファイスに向かって投げていたのだった。


「筆記用具落としと同じだよ!!みんな、あいつを学校から追い出してやろう!」


「「おーっ!!」」


そら君の声に、一致団結した子供たちの声が聞こえてくる。


「ふうのお姉ちゃん逃げて!!あいつは僕たちがやっつけるからさ!!」

この作品はプリンセスヒーローものです。


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