無知の罪とかなんとか言ってるけど
この作品はプリンセスヒーローものです。
「この作品、好きだなあ」「気に入ったから応援したい!」「もっと読みたいから頑張れ!」とかちょっとでも好きだと思ったら、ブックマーク、いいね、評価、感想お願いします。
作者のモチベーションになります。
女の子のお腹を狙うという、その発想が気にくわない。
卑劣にも程がある!!
許せない!!
「だ、大丈夫、姉ちゃん?」
ここでふうは多少回復したようで、うかの事を心配してきた。
ピクピクッ.......。
うかは神経を痙攣させて、意識を朦朧とさせながら身体の上にのしかかってくるぼんやりとした姿のサクリファイスを見ていた。
そして、壁の向こうから聞こえる声のような、そんな感じのくぐもったふうの声を聞くことしか出来ないでいた。
地面に倒れこみながら、白昼の満月を見る。
真っ赤に染まった白昼の満月は充血した瞳のように見るものを不安にさせる。
そして次の瞬間、虫の息でただ死を待つだけの存在でいたうかに向かって、声をかけてくる人が現れた。
しかし意識が朦朧としているので、その声もかすかにしか聞こえない。
「ちゃん...ちゃん...ばれ......!!」
それはふうの声ではなくて、違う人の声。
どこかで聞いたことがあるけど、どこの誰だったか思い出せないような、そんな声。
「「「頑張れ、お姉ちゃん!!死なないで!!!!!!」」」
それはさっき教室に入った時に、ピンクの髪の毛や顔のことを褒めてくれて、うかに対して好意を示してくれたあの子たちだった。
「「「負けるな!!そんなやつに倒されちゃダメ!!!!!!」」」
みんな小学6年生なのに、なんだか幼稚園児のように見える。
何とも微笑ましい光景で、ちょっとだけ元気が出た。
それに応えるために、気力を振り絞りニコッと微笑んだけれど、今のうかにはそれが限界。
「なぜ笑っている?」
サクリファイスは、揺れる金髪の前髪の向こうで哀れな瞳をしていて、その哀れな瞳の奥で憎悪の炎を燃やしているようにも見えた。
バキッ!!
うかは、このサクリファイスという男に顔を踏みつけられた。
なんて最低なやつ!!
女の子の顔を踏むなんてありえない!!
うかだったからまだ我慢できたものの、これが他の女の子だったら、うかは怒り狂って我を忘れていただろう。
これがもし、うかの妹の小鳥が顔を踏みつけられていたら、どれだけそこに終焉の惡魔がいようとも、消火器でも持って突っ込んでいるかもしれない。
グググッ...!!
サクリファイスはさらに体重をかけて、うかの顔を踏みつけてくる。
「家族、友人...。ピンク髪よ、貴様は随分と恵まれた人生を送っているのだな」
勝利が確定したからか、サクリファイスは饒舌に語り始める。
「幸福な人間というのは誰しも罪を負っている。それは不幸を知らないという罪だ。この世に不幸な人間がいるということを頭では分かっているはずなのに、それを見て見ぬふりをして自分に与えられた幸福という特権を、何の罪悪感も抱くことなく享受している。そして無意識のうちに、"運がなかった"というただそれだけの他人に、無数の傷を与えて苦しめているのだ」
「あ、あなたに...あなたに何があったのか知らないけれどね...こ...こんなことをして許される...理由にはならないのよ...!!」
「不幸の苦しみは、経験したことがない奴らには分からん。貴様に理解できずとも、我々の言葉は地獄のような毎日を送っている者どもには響くだろう。もし響かずとも、少なくとも理解を示してくれるに違いない。"無知の罪" 幸福を享受している人間は、すべからく罪人なのだ」
私は聞きたいことがあったけれど、これを口にしたらどうなるだろうと考え込んでいた。
これを聞いたらサクリファイスを怒らせる予感しかしない。
終焉の惡魔はなんでこんな行動をしているのか?
何が目的なのか?
今、この瞬間に尋ねなければ、後悔するかもしれない。
まあ、サクリファイスのせいで命の危機に晒されて死にかけてるから、後悔するもしないも、考えるだけ無駄かもしれないけど。
まあ、いい。
聞いちゃおう。
どうせ、うかの人生もこれで最後かもしれないし?
「あなたたち、一体何がしたいの?あなたが不幸なのは分かったけど、むやみやたらに人間狩りなんてことをして許されると思っているの?」
「ピンク髪...貴様、そんなに我々の事が聞きたいのなら、教えてやろう。我々終焉の惡魔の最終的な目標は、この地上を侵略して我々の領土を押し広げることだ」
「何よ、その勝手な目標は!うかがそんなこと許さないんだから!」
「ほう?許さなかったらどうなる?キラーズ、子供はそこにいるぞ!何をやっている!」
「「セイ!!!!」」
「行かないで!やめなさい、行かせちゃダメッ!!!!!」
何とか声を振り絞って伝えたけれど、当然キラーズもサクリファイスも無視をする。
バキッ!!!!
「ガハッ!!!!」
そしてジリジリと私の顔を踏みにじってくる。
「子供達に手を出したら許さないわよっ!!」
何かいい方法はないの?今この瞬間を切り抜けることができるような、冴えたやり方は?
せめて、そこに転がっているふうが逃げられる時間だけでも稼がないと...。
そんな時、ふと変なことが頭に浮かんできた。
そういえば朝の占いでは、ラッキーアイテムがシマエナガって言ってたっけな。
だからなんだって感じだけどさ。
「ッ...........。」
だんだんと意識が朦朧としてきて、頭も回らなくなってきた。
パタパタパタパタパタ...............。
バサバサッ!!!!!
そんな時、羽音と共に何か小さな天使のような白い生き物が近づいてきて、うかの顔を踏みつけるサクリファイスの足に乗った。
しかし、その姿はぼんやりとしか見えない。
そしてその天使のような白い生き物は、サクリファイスの足に乗ると、うかに向かってこう言った。
「やっとピースウォーカー候補を発見したぜ。威光の強い人間はなかなかいないからなあ」
この作品はプリンセスヒーローものです。
「この作品、好きだなあ」「気に入ったから応援したい!」「もっと読みたいから頑張れ!」とかちょっとでも好きだと思ったら、ブックマーク、いいね、評価、感想お願いします。
作者のモチベーションになります。