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君の心に灯火を……  作者: 雪
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第8話 暗い過去

なんとか今日出せました!第8話、楽しんでいってください!

「_その頃は自分で言うのもおかしいかもしれないが、もっと明るい性格だった。仲のいい子と話して遊んで……俺はどこにでもいるような小学生だった。」


「涼って元々は明るい感じだったのか……!」


翔斗は意外だという顔で呟く。


「翔斗ほどテンションは高くなかったと思うけどな。10月にあった校外学習では博物館に行くことになっていて、バスを使っていたんだ。博物館に行くまでの道には崖のようになっている場所があったんだ。」


「崖……?も、もしかして……」


由衣はだいたい何があったのか分かったんだろうな。翔斗は全く分かってないみたいだけど。


「校外学習の前の日は雨が降ったせいで岩が崩れてきやすくなっていたんだろう。そこの道を通りかかった時に土砂崩れに巻き込まれたんだ。」


「…………」


「…………」


由衣と翔斗は驚いたのか、黙り込んでいる。


「それも運も悪いことに大きめの岩や、ちょうどそこにたっていた木も崩れてきて俺のクラスが乗っていたバスは勢いで倒れてしまいぺしゃんこに近い状況になった。不幸中の幸いかガードレールから落ちはしなかったんだが、すぐに外に出れないようになってしまって、救出隊の人達が来るのは元々博物館が山の上の方にたっていることもありそれから3時間ほど経ってからだった。」


「で、でもみんな無事だったんでしょ?涼君が今ここにいるってことは……!」


「そ、そうだよな!軽傷で済んだんだろ?」


俺は力なく笑って


「いや、ほとんど怪我なしで出られたのは俺だけだ。」


「え……?な、なんで涼君だけ?」


「お守り、の効果かもな。」


「お守り?持って行ってたのか?」


「あぁ、祖母がそういうのを信じる質で鈴の付いたお守りを俺に持たせてたんだ。バスが事故に会う直前ポケットに入れてた筈のお守りが床に落ちてしまって拾うためにシートベルトを少し緩めて頭を座席で守るような体制になった時に事故にあったんだ。」


「そのお守りが涼を事故から守ってくれたんだな……」


信じられないという顔で翔斗は言う。

俺も事故にあった当時は信じられなかったから当然の反応だけどな。


「でも、他の人はガラスの破片が刺さって大怪我をしたり、バスが倒れる衝撃で頭を打って即死だったり……ほんとに酷い状況だった。それでもまだマシな子はいたんだがその状況でパニックになりそのまま正気に戻らなかったり……救出に時間がかかったことにより低体温になったり脱水症状になったり酷い有様だった。といってもこれは俺が見たわけじゃないんだが。」


「え?」


「涼はその場にいたんだろ?なんでだ?」


「俺はバスが倒れる時もシートベルトを緩めていたおかげで衝撃はまだマシだったんだが、顔に窓ガラスの刺さった先生の顔を見て驚いて気絶してしまったんだ。シートベルトをとってその時下の部分になっていたところに下ろすために来てくれたのにな。」


「そ、それはしょうがないよ!まだ小学生だし!」


「中学生になった今でも気絶するやついるだろうからな!でもその話を聞いてる感じ死んだ奴はいるけど生きてるやつもいるんだろ?」


「いるのはいたが怪我が治ったあとも後遺症が残ったり、傷跡が残ったり……精神がダメになったり……鬱病になって入院中に自殺してしまった子もいるから、ほんとに普通の人と同じような健康体でいれたのは俺だけだったんだ。」


「で、でも……ッッ!」


由衣はなんとか励まそうと声をかけようとしたが、あまりの酷い内容に言葉が詰まってしまい俯いてしまった。


「……そういえば昔に土砂崩れにバスが巻き込まれ校外学習に向かっていた子供たちが大勢亡くなったっていうニュースやってたな。あれって涼たちの事だったのか……でも、ほぼ無傷で生きていたこと自体が奇跡に近いんだから周りの人は喜んでくれたんだろ?」


「始めの頃はもちろん喜んでくれたよ。でも基本喜んでいたのは他クラスの子達ばかりで同じクラスの人達は俺を恨んでた。」


「りょ、涼君は何もしてないのに……?」


「自分の子供を亡くした親や、怪我跡が残ってしまった子、後遺症が残った子精神がダメになってしまった子の親……同じクラスの子と、大半の親には恨まれてたな。」


「でも涼だってそうなりたくてなった訳じゃ……」


俺は翔斗の言葉を遮るように


「そんなこと当事者達にとって関係ないんだ。その人達からすると、『なんで大した怪我もしてないくせにうちの子を介抱してやらなかったんだ、うちの子じゃなくてお前が死ねばよかったのに!』そう考えるしかないんだ。誰かのせいにでもしないとその人達も心が保てなかったんだろうな……」


と言った。


「で、でも他クラスの子は今まで通り仲良くしてくれたんだよ、ね?」


「初めの頃はそうしてくれていたが、親が俺と仲良くすると自分達もとばっちりを食らうからやめろって言われて離れていったり、仲のいい子が亡くなった事を実感していくうちに同じように不満が脹れて俺とは話すことも無くなった。俺は2組だったのが変わりに1組へ移動になったんだが、次第に虐められるようになったんだ。」


「先生は!?止めてくれなかったのか!?」


「先生も、正直俺だけが健康で学校に来ているのは複雑だったのか止めてくれなかったな。それどころか援護までしてた気がする。」


「いっそその人達も同じ目に……」


「由衣が言うと冗談に聞こえないから辞めてくれ。それに虐められてると言ってもそこまで酷くは……」


その言葉を遮るように


「でも!少なくともそれ以来涼君は昔と比べて暗くなったんでしょ!?涼君にとっては苦しいものだったんでしょ!なんでそんなに自分を苦しめてきた人達を庇うの!?」


由衣は大きな声で言った。


「…………」


なんでだろう。今までそう思ってきたからか?それとも俺自身おかしくなったから?……分からないな。


「涼君!ちゃんと答えて!」


「やめろよ、由衣。確かに聞いてる俺達には一方的に涼が虐められてるように感じるけれど、涼もきっと自分自身を責めながら生きてきたんだ。なんで俺だけが無傷で生きれるんだってな。何となく涼が頭がいい理由がわかったよ。苦しいのを紛らわすためにひたすら勉強に打ち込んでたんだろ?」


「確かに、言われてみればそうかもしれない。」


あまり覚えてないけどひたすら勉強してた記憶はあるな……


「ごめん、涼。」


「え、なんで謝るんだ?翔斗は何もしてないだろ?どちらかと言うと不快になるような話をした俺の方が……」


「違う、お前が謝る必要なんてないんだよ。俺が謝ってるのは何も知らずに頭が良くて羨ましいとか言ってた事だ。本当に、そういうところがすずに似てるな……いい意味でも悪い意味でも!」


え、今、すずの名前……


「しょ、翔斗!?すずのこと覚えてるのか!?」


な、なんでだ?少なくとも学校の間は記憶がなかったはず……なんで急に……?


涼の暗い過去が明かされましたね……ホント、誰がこんなこと考えたのでしょう……(お前だよ(っ・д・)≡⊃) ̄▽  ̄)∵)それにしてもどうして翔斗はすずの名前を出したのでしょう?思い出せたのでしょうか?それでは9話もお楽しみに!

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