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君の心に灯火を……  作者: 雪
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第475話 情緒不安定な馬鹿

うーん、タイトルがあまりにも口の悪い涼すぎますね。でももうこれしか思いつきませんでした。それでは楽しんできてください!

「……やっぱり狸寝入りか。」


慌てて起き上がったユウに俺は呆れてため息をつくとすずはがっちりとユウの腕を掴みながら


「どうせ隙を見て逃げようとしてたんでしょ。馬鹿だね。」


と小馬鹿にする。するとユウはキッと怒った顔になり


「……ッうるさい!」


と言ってくる。

……これ黙ったらどうなるんだろうな。

俺があえて黙るとすずや怜斗も同じことを考えていたようで4人の間に長い沈黙が流れる。


「「「……………」」」


途中で痺れを切らしたのかユウはめそっとした顔で


「……や、やっぱり黙らないで……?」


と言ってくる。

……何言ってるんだ。この馬鹿は。アホなのか?アホなのか……


「なんなの……?」


「……馬鹿は何しても馬鹿だな。」


「そーゆーとこあるからからかわれるんだと思うよぉ?」


俺達は馬鹿すぎるユウに口々に言いまくるとユウはムスッとしながら


「……どうして治したんだい。もう少しで死ねたのに。そもそもなんで治せたんだい?いくら怜斗君でも全身骨折を治すなんて無理があると思うよ?」


とおかしなことを言う。

……おかしいな。服を見てもそこまで怪我してなかったと思うんだが。

傷を治した当の本人である怜斗も不思議に思ったようで首を傾げながら


「……え?俺切り傷しか治してないよぉ?」


と言う。するとユウは冗談で言った訳では無いようで本気で驚きながら


「……え?で、でも僕……飛び降りたはずじゃ……」


と呟く。

……おかしいな。だとしたら本当に切り傷だけだったのか。いくら少ないとはいえ服が汚れている部分もあるから骨折1箇所ぐらいはしてそうなんだが……自動治癒されたなら逆になんで切り傷は残ってたんだ……?

あまりにおかしな状況に俺が考えているとすずは呟くように


「……まだ死ぬなってことでしょ。」


とユウに言う。ユウはうーんと唸ったあとにニッコニコ顔で


「……もしかしたらもう1度飛び降りしてみれば死ねるんじゃないかな?」


とまた馬鹿なことを言い出す。

本っ当になんでこれを言える気になるんだ?琴葉さんぐらいなら全然こっちに来る可能性あるのに……ユウが馬鹿すぎて辛いな……


「それは俺がめんどいからやめてぇ?颯太多分今頃泣いてるよぉ?」


怜斗の苦笑混じりの言葉にユウは何故かしばらく黙り込んだあとパッと顔を上げて光のない目で微笑む。


「……なんでだい?他人なのに。どうして他人なのにこんな僕のためにそこまで情をかけるのかな?」


ユウは明らか自分の価値を下げてそう言ってくる。

……重症を超えたなにかだな。昨日から変だとは思っていたが……ここまでだったのか……

ユウのいいように俺はため息が出そうになるものの何とかこらえる代わりに


「……颯太にとってはユウが大切で他人じゃないからだと思うぞ。」


と真っ直ぐとユウの目を見つめそう言う。それでもユウは納得できないようでこてんと光の無い目のまま首を傾げ


「……僕は思っていないのに?」


と言ってくる。

……なるほど、飛び降りの一番の原因はそれか。お人好しすぎるユウの考えそうな事だな……


「颯太は……俺達はそういうタイプだ。諦めてくれ。」


俺の脳筋発言にすずはこくこくと首を縦に振りながら


「そもそもその思考は病み期だからのやつでしょ。変なことしたら私も同じこと実行するから。」


と、唐突におっそろしいことを言い始める。

……ユウと同じこと…………?それはリスカ等をした場合も含まれるのか……?俺がやるのはいいが……すずはダメだ……その瞬間に俺の胃が死ぬ……

嫌な想像をしてしまった俺は震え上がって慌てて


「……それは俺の胃が壊れるからやめてくれ……フルーツパーティーできなくなるのは嫌だよな……?」


とすずの肩をつかみ何とか説得しようとする。


「……な、なんかごめん……」


すずは俺の圧に負けたのかたじろぎながら謝ってくる。

よかった、これならしなさそうだな。すずまでこっち側に来たら収集つかなくなる……

俺が心の底から安堵してついくせで地味にツンデレ抵抗してくるすずを抱きしめる。


「……ユウ、寂しいのは分かるけどつねるのはやめなよぉ…………」


ある程度たったタイミングでふと怜斗の注意が聞こえてきてようやく俺はすずから離れるとユウの方を見る。

……しまった、明らか拗ねてるな。もしかしなくともこれがユウに孤独感を感じさせている原因……なのか?悪いことしたな……

俺は罪悪感を感じながらも今の自分が何かを言っても火に油だと分かっていた俺は黙っていることにする。それに余計腹を立てたのかユウはむくれた顔をしながら


「……うるさい。死ねると思ったのに。」


と八つ当たりするように怜斗に呟く。怜斗は全く気にしていないどころか面白がるように


「はいはい、機嫌なおしてねぇ?颯太が泣いてるよぉ?」


と言うと家から持ってきていたようでユウの口にクッキーを詰め込む。


「…………」


ユウは無言でもぐもぐしていたものの急にバッと後ろを振り向く。


「……ユウ?どうかしたの?」


すずは不思議に思ったようで誰よりも早くユウに聞く。ユウは少し間を置いてからいつの間にか戻っていたいつものハイライトのある目で


「……いや、見知った気配がしたなと思っただけだよ。気のせい……かな。」


と寂しそうに微笑む。

……さきさん……では無いよな。だとしたら気のせいなんて言葉じゃ終わらせないはずだ。じゃあ誰なんだ……?

俺が考えている間に怜斗はユウに気遣ってなのか


「……せっかくだし確認しに行くぅ?ここ多分時間の流れあっちより遅い方でしょお?」


と提案する。


「……そう、だけど……」


ユウは時間の流れが遅いと肯定したもののどこか迷いがある返事をして途方に暮れるような顔をしてごろりと仰向けになる。


「……敵なのか?」


気になってしまった俺が申し訳なさを感じながらも聞いてみるとユウはちらりと俺を見たあと目を瞑る。


「……どうだろうね。覚えてないんだ。知っている気配だけれど覚えてない。」


……覚えてない、か。


「……なら、やめた方がいい。長く生きている中で気配を覚えているということは印象深い人なんだろうが……記憶力が悪くない方なユウがそれなら嫌な記憶がある可能性が高い。色んなのに狙われてる中で誰かわからないやつのためにそこまでやるのはリスクが高すぎる。」


俺がそう言うとユウはふっと笑って唐突に顔色を悪くし始める。


「……そう、だね。うぅ……きもちわるい……」


どうやら体調の悪かったユウにクッキーは重すぎたようで今にもまた吐き出しそうな勢いで荒い息をし始める。


「……ごめん、めちゃくちゃユウが体調悪いの忘れてた!帰ろう!!!」


「……そうだね。」


「……これなら俺達じゃなくても良かったな。」


そうして慌ただしく俺達は颯太達の所へと戻るのだった。

え、帰って。

「やだぁ!よばれちゃったしぃ!で、俺と添い寝だっけぇ?……いっぱいお話しよーネ!」

怖すぎる怖すぎる!!!なんで初っ端から怜斗なの!?最悪なんだけど!

「はいはい!早く行こうねぇ?」

嫌だああああああああぁぁぁ…………!

「あっはは!それじゃあみんなまたねぇ!」

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