犯罪心理と創作
創作のヒントにお使い頂けたら幸いです。
犯罪をしてしまうことは多くの違法行為を故意にしようとは考えない人たちにとっては異次元の出来事だと思います。
しかし、私たち物語を紡ぐ執筆者は創作の世界で多くの罪を犯す犯罪者ですから、こうした犯罪者の心理を理解することは創作の助けになるかと考えます。
犯罪は知能指数や社会的立場、精神疾患の有無やその人物の嗜好などが絡んで傾向が分かれていきます。
最も知能指数が低い犯罪
こう言われるのが放火です。
なぜでしょうか。
答えは簡単ですね、この犯罪は犯罪者本人には何一つ利益が無いのです。
例えば、殺人などの他の重大犯罪の証拠の消滅や相手に損害を与えることで自分に利益誘導したいなどの理由があるならば話しは別ですが、むしゃくしゃした腹いせにとか、そもそも物を燃やすことにカタルシスを感じるなどの場合、ライター一本でおこせる犯罪でありながら、人命や財産を簡単に奪うこの行為は行動と結果のアンバランスさが際立つものです。
創作においては破壊衝動を抑制できない精神疾患を主軸において、エスカレートしていく犯行とそれをコントロールできなくなって、破滅していく姿を描くなどで物語がつくれますね。
また、カタルシスを感じるタイプは燃え上がった炎を見るために現場に戻りますから、警察などは野次馬などを観察するらしいので、ここら辺も創作のヒントになりそうですね。
粗暴犯
恐喝や強要、強盗、暴行傷害などになりますが、これもあまりIQの高い犯罪ではありません。
放火ほどではありませんが、犯行の発覚が容易で検挙率も高い上に得られるものはたいして多くはない、ハイリスクローリターンな犯罪です。
元々、暴力的な思考なのか、はたまた短絡的で直情的なのか。計画性が低く自棄による行為と捉えると人物設定がしやすいと考えます。
あとは殺人などで滅多刺しにする理由なんかも、女性の犯行に多いですが相手の報復を極度に怖がるばかりに恐慌状態に陥りオーバーキルすることがあります。その他に過剰な復讐心、性的快感に繋がっている可能性など、様々に妄想できます。
性犯罪
これも衝動の抑制ができないタイプですね。
性癖などがアブノーマルな嗜好に寄っている、性衝動のキーが少しずれているなど、相手を襲い犯すことの理由付けで様々なパターンが作れると感じます。
知能犯
詐欺や横領などですね。
私的にはあまり知能の高くない人間が起こす事件がドラマとして面白いと思います。言われれば断れない、プライベートが見えない、付き合いが悪いけれど仕事は実直、そんな空気のような存在が、ほんの出来心で経理作業中に中抜きをし、あまりにも気付かれないことに犯行を繰り返して露見してしまう。そんなありがちなパターンで、背景のように影が薄い人物が少しづつ積み上がる罪に理性や罪悪感を破壊されていく様はホラーのようです。
また、冴えない男が恋愛経験の少ない真面目な女性に純朴で頼りない振りをして近付き、この人は私がいないと駄目だと擬似的な共依存関係を構築して信じ込ませていくストーリーなど面白いのではないでしょうか。
また、詐欺は再犯率が高い犯罪ですが、彼らは実刑を数年くらったとしても、詐欺で得た金額が大きく、それを隠しとおせるならば問題ないと考えます。
例えば3億円を騙しとり、実刑5年で収監され、模範囚として3年で出てきたとしましょう。弁済のために資産を差し押さえようにも、隠してしまって見つからなければ出来ません。刑務所から出て丸々3億円が手元に戻ってくるなら、彼らは年収1億円の住み込みで三食無償で支給される仕事をしたと考えるんです。
そうして、その元手で新たな詐欺をする。
こうした特異な思考を人物像に落とし込めば深みが出ると思います。
どうだったでしょうか、参考になれば幸いです。