Wチャレンジの結末
そうして食べ進めること約二十分、最後の一口を咀嚼していると再び店が騒がしくなった。
「噓だろ……」
「どこに消えてしまったんだ?」
「量はまだしも、あの味のクレープを完食するなんて正気の沙汰じゃない!」
何とも酷い言われようだ。
言うほど味は悪くない気がするんだけどなぁ。
あっ、そういえば俺バカ舌だったわ。
「お待たせ」
後ろから声をかけてきたのは玲ちゃん。
「私も完食達成しました。いえぃ」
辛い食べ物が全くダメな俺からすると、羨ましい限りだ。
「そういえば、完食達成したら大サービスって書かれていたけど」
すると厨房から
「いやはや恐れいった! こんな日が来るとは」
という声と共に近づく大きな人、かなり偉い人のようだ。
「二人とも完食おめでとう。ああ、まだ名乗っていなかったな。私はこの店の総料理長にしてオーナーの百味だ」
本当に偉い人だった。
そして店名の[百味]は、人名と味の二重意味だったのか!
「それでは改めまして、こちらが大サービス券になります」
百味さんから渡されたのは、なんとクレープ無料券だった。その内容は以下の通り。
[毎月一つクレープが無料、次回チャレンジメニュー挑戦料金免除、新商品最速お試し優先案内その他諸々サービス致します]
「そして副賞は、積み立てられた挑戦料!」
渡された祝儀袋は、かなり分厚くずっしりくる重みがある。かなりの大金、頑張った甲斐があったねと俺達は喜んだ。




