『K21』主看板娘候補メンバーが『K21』の冠番組で別のアイドルグループの看板娘に変身？！(視点：『K21』プロデューサー、春本 隆)
月曜日の深夜、寮で私は『【欅ってムズ！？】』を視聴していた。
『【欅ってムズ！？】』とは私がプロデュースするアイドルグループ『K21』の冠番組。
数多のアイドルを見てきた私が最高評価『SS』を出した彼女の初出演回。
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「今週もやってまいりました【欅ってムズ！？】。今週は、新加入となる二期生メンバーの素顔を掘り下げていきます！」
MC二人のタイトルコールに拍手が上がり、企画内容に一期生『K21』メンバー達から様々な声が上がる。
「やっと、あの子に会えるのね！」
「あの配信、本当で凄過ぎて……」
「……」
新加入メンバーにワクワクが止まらない一期生『K21』メンバー達。
次々に紹介される新加入メンバー。
「次が最後のようですね。それでは、登場してもらいましょう」
出番を告げられスタジオ入りする最後の新加入メンバーは一期生『K21』メンバー達から立上拍手で迎えられていた。
その出来事に、先にスタジオ入りした同期となる新加入メンバー達のほとんどが訝しげに『K21』主看板娘候補メンバーを見ている。
完成度が頭一つ抜けている上に、まだ成長の余地を残している彼女……末恐ろしい存在だ。
「ちょっと皆、落ち着こうか」
MCの二人も困惑するほどスタジオの空気は騒がしい。
「自己紹介の前に、緊張をほぐしたいので一曲歌います」
どんな歌を披露するのか？
「♪〜」
この曲、誰の曲だ？
「一次審査のみで合格した同期がいるとは聞いてたけど……」
「まさか、あの子が……」
「ていうか、これ誰の曲だろう？」
あるアプリを起動、曲が判明する。
この曲はメジャーデビューしていないアイドルグループ『≠MY』の看板娘、富田菜々花の単独歌唱曲で、あまり有名な曲ではないようだ。
ちなみに曲の題名は『徒花』……成就せず散った恋を、咲いても実らず散ってしまう花……徒花に例えた失恋歌といったところか。
「♪〜 」
サビに差し掛かった所で信じられない光景が！
彼女が歌っている途中で『≠MY』の看板娘、富田菜々花に変身！
まだ彼女には秘められた才能が有りそうだ。
はっ……いつの間にか曲が終わったようだ。
「ビックリしました！ 歌っている途中で違う人になるし、どういうことなんですか？」
「私が？」
彼女は『≠MY』の看板娘、富田菜々花に変化している間、どうやら意識を失っていたようだ。
「あの子は、いったい誰なんですか？」
「多分、『≠ＭＹ』の富田菜々花ちゃんだと思う」
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そういえば富田菜々花、『Fruits＆Flower合同会社』所属アイドルグループ合同オーディションを受けていたな……まさか他のアイドルグループで看板娘に指名されていたとは。
だから彼女は、この曲を選んだのか？
彼女が『K21』の主看板娘に就任したら、間違い無くアイドルとして常に芸能界の、話題の中心であり続けるのだろう！
