表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

356/495

『S21』主看板娘兼任プロデューサーが示す“新・J−POP”(視点:?)


 日本音楽界に突如とつじょとして現れた少女……『S21』主看板娘メインセンター兼任けんにんプロデューサー。


 彼女が主看板娘メインセンターつとめる『S21』は改名という再始動リブートまたたく間に『K21』以上の人気グループと生まれ変わった。


 そして二枚目表題曲セカンドシングルから彼女が主看板娘メインセンターとプロデューサーを兼任することが発表された。


 そんな彼女の登場により終わりかけていたJ-POPは再び息を吹き返しつつある。


 それでは『S21』主看板娘兼任プロデューサーが登場するまでの日本音楽界を簡単に振り返ってみよう。



【海外におけるJ-POPの評価】



 メロディが鮮明せんめいでダイナミックな流れの、起承転結きしょうてんけつがはっきりとした定型化された曲の構造こうぞう、例示(A: Verse - B: Pre-Chorus - C: Chorus)の音楽おんがく仮音源デモはご遠慮えんりょください


BKSビーケーエスYESTERDAYイエスタデイ Xバイ TOGETHERトゥギャザー…… Giantジャイアント Hitヒット Musicミュージック “20XX NEXT NEW CREATOR in Japan”募集!」20XX年9月25日



 これは数年ほど前に、K-POPアイドルグループ『BKS』が所属しょぞくする『Giant Hit Music』……以下『G.H.M』が日本でプロデューサーを募集ぼしゅうしたときの一文だ。


 特定のタイプの曲を「ご遠慮ください」と明確めいかくに言い切っていて、おそらく過去にそうした仮音源デモばかり送られてきてうんざりしたのだろう。


 この募集要項ぼしゅうようこうでは、他にも「国際グローバル音楽市場おんがくしじょうで競争力のある音楽」の仮音源デモを提出するように求めている。


 つまり「定型化された曲」では世界グローバルではたたかえないと『G.H.M』が認識にんしきしていることがわかる。


 この「メロディが鮮明でダイナミックな流れの、起承転結がはっきりとした定型化された曲」とは、おそらくJ-POPだろう。


 要項にある、「A: Verse - B: Pre-Chorus - C: Chorus」の定型化された構造こうぞうとは、日本的に言えば要は[Aメロ-Bメロ-サビ]の曲のことを指す。


 J-POPは、いまもサビを中心に曲が組み立てられており、序奏イントロがサビまでの助走となっている。


 近年ストリーミングサービスで台頭してきたYOFUKASIやOfficialオフィシャル禿男ハゲだんdismディズム遊里ゆうりなども典型的なJ-POPだ。


 『G.H.M』はそうしたJ-POPでは海外に通用しないので「ご遠慮ください」と述べている。


 こうしたK-POPの姿勢しせいに反応したのは『ジョウズのきわ乙男おとめん』などで活動する『海山うみやま 絵音えのん』だった。


 彼はK-POPアイドルグループ『WHITEPINK』のアルバムに言及げんきゅうした上でJ-POPとK-POPを対比し海外グローバルで流行する音楽傾向おんがくけいこうの違いについてこう分析する。



 まず根本的に違うのは、J-POPでは歌を乗せるためにビートが存在するが、K-POPではビートと歌が同時に補完ほかんし合いながら鳴っている。


 分かりやすく言えば、J-POPは、はっきりと歌を押し出していて、K-POPはリズムと歌で曲を押し出している。


 K-POPが勝負をしている海外市場グローバルチャートではヒップホップやEDM、R&Bなど、基本的にJ-POPでながらく主流しゅりゅうとなっているAメロ、Bメロ、サビのような明確めいかくな展開はない。


 代わりにリズムとメロディーの反復リフレイン、そしてコードも、あまり変わらないことが多いのだ。


海山 絵音「つのるJ-POPへの危機感ききかん K-POPは世界標準せかいひょうじゅん」20XX年12月22日『日本音楽誌』



 この海山の分析は、現在の日本と世界の音楽状況を的確てきかくとらえている。


 それは海山のように洋楽やK-POPを日常的にいている者にとっては当然の認識にんしきだが、J-POPにどっぷりひたつづけてきた人達には青天せいてん霹靂へきれきかもしれない。


 たとえば『BKS』の『T.N.T』が典型てんけいだが、同じコード進行をり返すファンク特有の構造となっている。


 その魅力みりょくはメロディよりもリズムにあり、曲のどこを切り取ってもその特徴とくちょうは変わらない。


 ファンクではないが『DUO LIPO』や『The Weekey』にも見られるこうしたミニマリズム傾向けいこうは、動画配信サイトやストリーミングサービスを中心とする音楽受容おんがくじゅようの変化とも同期しており、一過性いっかせい現象げんしょうとは片付けられない。


 日本のメジャーシーンで、一瞬いっしゅんこの方向にかじを切ったのは、20XX年に「Try Up」を発表したJジャックス事務所所属じむしょしょぞくアイドルグループ『なぎ』だった。


 現実問題として、従来のJ-POPとロックサウンドを中心とした日本の音楽シーンは、国際的グローバルな流行からは大きくかけはなれたものになっている。


 10~30年前に“終わった”音楽サウンドが、いまも流行ヒットを続けている。


 たとえば“ジェネリックLow-STANDARD”として『WONIMO』や、“ジェネリック大室おおむろ 哲哉てつや”として『YOFUKASI』などがそうだ。


 こうしてJ-POPは【演歌=変わらないジャンル】と化した。


 海山 絵音は、こうしたJ-POPの内閉的ないへいてきな状況をまえて以下のように危機感ききかんを見せている。



「J-POPがダメだとかではないが、これでは世界で戦えない。変化の時が来ている」


海山 絵音「つのるJ-POPへの危機感ききかん K-POPは世界標準せかいひょうじゅん」20XX年12月22日『日本音楽誌』



 しかし、こうした日本の人気ポピュラー音楽おんがくへの指摘してきに対しては、しばしばざつな反論が見られることも珍しくない。


「J-POPとK-POPを比較ひかくする必要があるの?」


「日本は国内こくない市場マーケットが大きいから別に海外を目指す必要なんてない!」


 といったものだ。


 こういう開き直りと逆ギレが混淆こんこうした論拠こんきょなき感情的な反論は、無論のこと現在の巨視的マクロな音楽状況を等閑視とうかんししたうえで発せられている。


 現在は、インターネットと携帯スマートフォンによって良し悪しはともかく音楽は急速に国際化グローバルかしている。


 インターネットは情報を瞬時しゅんじにやり取りするものなので、デジタルデータの音楽情報おんがくコンテンツ国際化グローバルかするのは避けられない。


 しかも携帯スマートフォンによる動画配信サイトやストリーミングサービスの浸透しんとうは、音楽への到達アクセスをより簡便かんべんにした。


 よって、国内だけで音楽をとらえること自体がもはや無意味ナンセンスであり、その心構マインドセットでは当然、海外ときそうことはできない。


 事実、K-POPにとって最大の音楽輸出国は今も昔も日本であり、その輸出額は増え続けてきている。


 若い女性を中心にK-POPの人気が絶大なのは、もはや説明するまでもないだろう。


 しかもいまは『JP1』や『MCM』、『Nd-U』とK-POP日本版グループも大人気だ。



【春本隆の栄光と転落】


 だが、こうした状況の改革を阻害そがいする勢力もいる。


 それは直接的に抵抗ていこうする勢力せいりょくではなく【従来のビジネスモデル=既得権きとくけん】を護持ごじするために、ひたすら古いやり方を続けている存在……それが春本はるもと たかしJジャックス事務所だ。


 Jジャックス事務所はともかく、春本はるもと たかしは古い方法論を続けていることを明確めいかくに自覚している。


 春本は夕日新聞の取材で、現在の韓国芸能界全般について話し、『タコゲーム』を絶賛ぜっさんしたあとK-POPについて以下のように話している。



春本「韓国では過酷かこく教習レッスンを長期間やって完璧なアイドルを造り上げた」


「しかし日本のアイドルに過酷かこく教習レッスンを長期間やったとしても、あそこまでの完成度クオリティーにするのは非常に難しい」


「じゃあ、なんで日本のアイドルやアニメが世界に行けたのかというと、『鎖国さこく』していたからだと思うんです」


「つまり、アニメもヴォルト・ティスニーを目指したんじゃなくて、独自の価値観を持っていたから、東アニとかスタジオシフリにしか作れない世界観が生まれ世界から日本に注目が集まった」


「日本のアイドルはアメリカで通用するほど、英語もしゃべれないし、ダンスもあんなにバキバキに踊れない」


「けど、こっち側で『オタク』と呼ばれるアイドル文化を勝手に日本だけでやっていたら、フランスやアメリカのオタクたちが日本の『A48』とか『BABYMEDAL』とか『セーラースター』みたいなものに興味を持ってくれたということじゃないかと思います」


「だからアメリカっぽいものを作ったら負けると思うんです」


「よく『鉄棒理論』と私は言うんですが……小学校のときにドッジボールをみんながやっていて、ちょっと出遅れるとドッジボールに入れない」


「しょうがないから鉄棒で遊んでいて、自分たちで鉄棒の面白い遊び方を生み出して盛り上がっていると、ドッジボールをやっていた連中が鉄棒に入れてくれとやってくる……そういう“鉄棒”を作らないと勝てないと思います」


「今は校庭の一番良いところで韓国がドッジボールをやっているわけだから、日本が今更いまさらドッジボールに参加しようとするのは無謀むぼうです」


「韓国エンタメに大差で負け、作るべきは『鉄棒』 

春本 隆×大島おおしま 瑠璃子るりこ」 夕日新聞デジタル20XX年11月14日



 春本は、日本の芸能界が「鎖国」状態を続けてきたことをちゃんと認識にんしきしているし、それを肯定的こうていてきとらえている。


 これまでの春本は、CD 浸透期しんとうきに『ワンコ倶楽部クラブ』を成功させ、CD 衰退期すいたいきに『48グループ』と『Nシリーズ』を大ヒットさせたように、メディア転換期てんかんきすきを突くのが上手かった。


 メディアとコンテンツの関係を率先して見抜く能力に長けていたと言える。


 インターネットについても大容量回線ブロードバンドに切り替わりつつあった20年以上前に、A48のヒットを予言するかのようなコメントを残している。



 テレビの前から「お茶の間」が消えたように、現代は情報の受け手としての大衆が存在しない。


 大多数の支持がヒットにつながる「最大公約数の時代」は終わった。


 これからはインターネットのように「最小公倍数の原理」が支配する個人的パーソナルなメディアが流行の拠点になる。


 こだわりを持つ少数が面白いと思うものが核になり、それに共感する人々の輪がドミノ倒しのように広がっていくような現象が主流になっていくだろう。


日本音楽新聞朝刊20XX年1月29日付「音楽・映画のネット配信、創造活動をさぶる波――特定の層を意識」



 この段階まで春本のメディアを見抜く目は確かだった。


 劇場げきじょうを拠点に火をこし【古いメディア=CD】と機能不全となりつつあった【ランキング=オジコン】を利用して“人気にんき錬金術れんきんじゅつ”を成功させた。


 だがCDの大量購入をあおる、この手法はメンバーの丸坊主まるぼうず騒動そうどうやファンによる複数の暴行事件など重大の副作用も生じた。


 だが、そんな春本はるもとにも最近さいきんかげりが生じつつある。


 CD売上が音楽ランキングチャートに反映されにくくなり、その結果、48グループや『N46』をはじめとするNシリーズの人気は低落ていらく一途いっとをたどっている。


 春本が編み出したCD大量購入をあおる商法は、ここから崩壊ほうかいを始めた。


 日本の主流メイン音楽おんがくチャートとなったビルボードでは、20XX年から48グループはもちろんのこと、Nシリーズやジャックスも年間上位から姿を消している。


 春本がプロデュースする2つのアイドルグループ『小銭倉庫コインロッカーズ』と『最終舞台ラストステージ』が解散となったのは記憶に新しい。


 日本の大衆ポピュラー文化ぶんか状況じょうきょうを「鎖国さこく」とする認識にんしきそのものも、もはや10年前の段階にとどまっている。


 現在は「鎖国」を続けたくても続けられない、なぜならインターネットがさら浸透しんとうしたからだ。


 前述のとおり、インターネットとは情報の国際グローバルを意味する。


 デジタル情報そのものであるエンタテインメントの国際グローバル化を簡単に避けることはできない。


 つまり現状では【情報=エンタテインメント】における「鎖国」の論理は、もう通用しない。


 よって春本の比喩ひゆを借りれば、校庭のすみの“鉄棒”で遊んでいたら、そのうち“鉄棒”が取り払われる危険性リスクもある。


 10年前の『鉄棒理論』はもはや機能しない。


 そもそも『A48』や『BABYMEDAL』などがフランスやアメリカのオタクたちに訴求そきゅうしたのはもうずいぶん前の話であり、K-POPに対して「あそこまでの完成度クオリティーを追求するのは非常に難しい」という姿勢しせいも消極的すぎる。


 こうしたことからは、メディアとコンテンツの関係を長年にわたってしっかりと見抜いてきた春本ですら、現在のインターネット状況には対応できていないことを示唆しさしている。


 つまり春本隆の「鉄棒理論」は古雑誌バックナンバーした。


 実際、春本はるもと たかし手腕しゅわんかげりが見え始めたのは、A48グループのメンバー39人が挑戦した韓国・KnetのK-POPオーディション番組『PRETENDER 48』(20XX年)からだ。


『EYEZ*ONE』を生んだこの企画では、A48グループが普段ふだんろくに教習レッスン練習トレーニングをしていないことが発覚し、この年のA48グループ総選挙で1位だった松丼まつど 珠理奈じゅりなは『PRETENDER 48』現場評価でA48グループ総選挙圏外(101位以下)の上尾うえおみうにも負けて、結果的に体調不良を理由に途中で離脱リタイアした。


 しかもその後に春本が『EYEZ*ONE』日本語曲のプロデュースを手掛けるものの、その人気は韓国語曲に比べると大幅に劣ってしまった。


 加えて日本語曲『不機嫌ハロー』が韓国語版では韓国のエンジニアにミキシングを直されるようなこともあった。


 そして最終的には【サクラ=宮主みやぬし咲良さくら(現・IMF)】や【ジュリ=高端たかはし朱里しゅり(現・Missile Kicks)】といったA48グループ主要メンバーの人材流出も招いた。


 A48グループのK-POP挑戦はパンドラの箱だった。


 また『PRETENDER 48』で、春本隆プロデュースの楽曲が番組側から明確に否定された例もあった。


 それは『PRETENDER 48』の冒頭で参加者がチームごとにそれぞれパフォーマンスをし、トレーナーがチームを5段階にランク分けして練習をおこなった場面での出来事だった。


 ここで100名ほどの参加者のパフォーマンスはすべて番組と動画配信サイトで公開されるのが通例なのだが、このとき唯一ゆいいつ紹介しょうかいされない二人組コンビがいた。


 それが『H48』の弓吹ゆふき奈子なこ畑中はたけなか美久みくの通称“なこみく”二人組コンビで、このとき2人が披露した曲は出演時に着ていた衣装から『キミのバナナ』ではないかと見られている。


 その歌詞は極めて卑猥ひわいな内容の暗喩あんゆとなっており、それを小柄で幼さを感じさせる当時16~17歳の2人が歌ったと見られる。


 2人のパフォーマンスを放送・配信しなかったKnetの判断はもちろん妥当だし、そもそもこういう歌詞の曲を10代の女性に歌わせることがかなり異常だ。


 これ以前にも、同じく“なこみく”二人組コンビが歌う『アインシュタインよりもティアナ・アクロン』も〈女子は馬鹿でも カワイイなら無問題ノープーログレム 〉という内容の歌詞で炎上した事があった。


 ただ非常に古臭いジェンダー観は春本隆個人の心的傾向メンタリティとは無関係で、むしろ作詞家としてのこれまでの仕事を振り返ると、流行ヒットすることや観客ファンへの需要ニーズを第一義としてきた春本に、明確な思想は無いだろう。


 どちらかと言えば、各局面において最適だと考える詞を提供しているように捉えられる。


 よって、「キミのバナナ」や「アインシュタインよりもティアナ・アクロン」も、“なこみく”や『H48』の観客ファンを「古臭いジェンダー観を持つ中年男性」と想定して送り出しただけと見られる。


 だが、こういう表現は海外どころか、もはや日本国内でも批判を免れない。


 そこには未成年者への性的搾取せいてきさくしゅにおいが濃厚のうこうただよっているからだ。


 こうしたこともあって、春本隆は『A48』の新曲「元カノです」では強気の女性を描いたのだと考えられる。


 つまり調整チューニングしている。


 今後の注目は、それがどれほど若い女性観客じょせいファンに通用するかだろう……まあ手遅れかもしれないが。



【『S21』主看板娘兼任プロデューサーが示す新・日本音楽】


「J-POPお断り」の『Gジャイアント. Hヒット .Mミュージック』と、「鎖国の論理」を提示する春本隆は、きわめて対照的だ。


 日本の歴史で言えば、黒船のペリーと江戸幕府の徳川 家慶いえよしの関係を思い起こさせる。


 だが、この両者の中間的な場所に立つような存在もいる。


 独自のアプローチからジェンダーレスアイドルグループ『Hichaヒチェ'Z』を生み出した『S21』主看板娘メインセンター兼任プロデューサーだ。


 最近ではエッセイ集『私が唄う理由』を上梓じょうし、そこには彼女が強い危機感をもって、『Hichaヒチェ'Z』を生み出したことがつづられている。


 なかでも印象的だったのは彼女が実際に体験したある出来事に関する記述だ。



 その頃に出遭であった、ある1人の女の子のことは今も強く印象に残ってる。


 彼女は「歌と踊りを両立する『BIGSTARS』みたいになりたい!という気持ちで上京してきた」と私に熱く語っていました。


(略)


 彼女は技術スキルがあるし見た目も華があって、だから大手音楽事務所にスカウトされて、すぐにメジャーデビューが決まりました。


 でも、そこであまりうまくいかなかったみたい。


 彼女自身はダンスボーカル話歌ラップも、もっともっと練習したいって思ってるんだけど、食レポやチェキ会みたいなものを週に10本以上も入れられて、練習する時間が無いとぼやいていました。


(略)


「心の底から音楽をやりたい……もっと上達したい!」と思っていた彼女の希望を所属先の事務所がみ取ることはありませんでした。


(略)


 その女の子が苦しんでる姿を見てて、ふと思ったんです。


 もし彼女が希望通りの練習が出来ていたら『BIGSTARS』みたいな世界的スターになっていたかも、と。


『S21』主看板娘兼任プロデューサー『私が唄う理由』pp.46-48/20XX年/芙蓉社ふようしゃ



 日本のエンターテイメントは、長らく地上波テレビ局を中心に各メディア企業が手を取り合って発展させてきた。


 音楽であれば、地上波テレビのバラエティや情報番組で芸能人タレントとして振る舞い、そこでの人気をCD販売に結びつけてきた。


 映画であれば、テレビ局を中心に出版社やビデオ販売会社などメディア企業が製作費を出し合う製作委員会方式で、めいめい々が自メディアでコンテンツを運用することでうるおってきた。


 メディアを持たない芸能プロダクションは、アーティストや俳優の出演を差配さはいすることでそこに深く食い込んできた。


 筆者が、このメディア企業の互助会的なシステムを「芸能界・20世紀レジーム」と呼んできたのは、それがインターネットメディアとそれにともなうコンテンツの国際グローバルによって、どんどん相対化され崩れつつあるからだ。


『S21』主看板娘メインセンター兼任プロデューサーの憂慮ゆうりょもおそらくこうした認識にんしきのうえにある。


 アーティストや俳優がテレビで食レポをして動員を稼ぐような状況ではなく、そこで表現される音楽や映像コンテンツを好んでもらう状況を『S21』主看板娘兼任プロデューサーは期待している。


 『S21』 一枚目表題曲ファーストシングルに収録された、彼女が作詞作曲を手掛てがけた『S21』二期生個人PV曲の各ストリーミングサービスへの配信は、そうした改革のためだ。


 現状『S21』をはじめとする彼女がプロデュースするグループは好調だ。


 その人気は着実に浸透しんとうしており『FruitsフルーツFlowerフラワー合同会社ごうどうがいしゃ』もしっかりと、その後ろ盾になっているように見える。


 K-POPやK-POP日本版ではなく、あるいはジャックスでもない新機軸しんきじくを『S21』主看板娘兼任プロデューサーはハッキリと打ち出した。


【鎖国と開国】だけではなく、新たな改革が生じつつある。


 こうして日本の音楽状況はやっと“ニュー・J-POP”に向けて動き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ