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ヴォーカロイドパニック  作者: たかさん
27/44

あの日の補足

更新空いてしまってもうしわけないです。

DBDにはまって鬼ごっこしておりましたorz

久しぶりにみたらブックマークが増えていたので、

反省してもう少し更新を頑張ろうと思います。

「重ね重ねごめんなさい。でも橘……君? 怒るなら私よりも、勝手に応募したお友達も悪いのよ?」


 美佐さんは持参したカバンをごそごそと探り、少し大き目の茶封筒を取り出した。A4ぐらいの大きいだろうか? そしてその封筒の中からクリアファイルに挟まれた書類を抜き出し、うち一枚を俺の方へ差し出すようにテーブルへ置く。

 当然のように俺の視線も、自然と書類へ。

 これは……履歴書? しかも俺の名前に俺の写真、電話番号に住所……今見えるところを確認しただけでも、これが俺のことが書かれている書類だとわかる。

 身に覚えはないけれど。

 だけどすぐに察することはできた。

 俺は書類から顔を上げる。


「これはもしかして――」


「そうよ。これはオーディションの公募に君……の代わりのお友達が送ってきた書類よ」


 やっぱりか。

 俺は再び視線を書類へ落とし、今度は書いてある内容ではなく、その文字自体を注視する。

 俺の字ではない。

 正直、字はきれいではない自覚がある。

 急いで書いた時など、あとから自分でも分からないくらいだ。

 でも書類の文字は綺麗な楷書で書かれていた。教科書どおりの、逆に言えば特徴やクセのない文字。

 春一の字ではない。

 あいつの字はもっとダイナミックで男らしい、正直うらやましい文字を書く。

 でもこの字は違う。

 でも俺はこの字を知っている。

 つい先日まで嫌というほど見ていた字。

 寛二先輩の字だ。

 たぶん春一に頼まれて書いたに違いない。


「ほら、ここを見てもらえる?」

 

俺がじっと書類を見ていると、美佐さんがすらりとした白い指で、書類の一箇所を指差した。

 俺の目がその指に引き寄せられる。

 目を向けた先、そこに記入されてるのは性別……って……をいっ

 なぜ性別が「女」にされている!?


「ね? 女性になっているでしょう?」


 苦笑いをする美佐さん。


「あのオーディションは天音ソラのサンプリング音声のオーディションだったということはわかるかしら?」


「はい、まぁ……」


 簡単にあの場で説明されたし。


「女性ヴォーカロイドのサンプリング音声の公募に、女性の書類で応募した、女の子のような容姿の橘君が来た。あの場にいた皆が、君を女の子だと思って当然でしょう?」


「………………」


 容姿は置いておくとして、確かに女性向けの応募に、女性の書類で応募したら、女性だと思われるのは当たり前だろう。容姿は置いておくとして。


「橘君は今回のオーディションを詳しく知らないと思うから、まずはそこから説明するわね」


 そう言って封筒からさらにもう一枚、書類を抜きだし提示した。

 提示した書類のなかで真っ先に目が向いたのは、一番大きく紙面を使っているキャラクターの絵。描かれているのは二人の女の子。一人は金髪ポニーテール、大きな青い瞳の見るからに明るそうなキャラクター。横に並んでいる女の子と比べて背が低く、服装もひらひらとした可愛らしいものだ。口元からちらりと見える八重歯もあいまって、全体的に幼い印象を受ける。いや、たぶん実際に低めの年齢を設定しているのだろう。いわゆるロリキャラというやつだな。

 対してもう一人のキャラクターは、黒いストレートの髪をした少女。すらりとしていながら均整のとれたスタイル。服装も大人の女性という雰囲気で、表情も落ち着いた微笑を湛えている。先の女の子とは正反対のキャラクターだ。お姉さまキャラっぽい。

 動と静。

 太陽と月。

 コンセプトでいうならば、そんな好対照をイメージとしたキャラ設定なんだろうな。

 っと、書類を覗き込んでいると、店員さんがアイスコーヒーをトレイに載せてやってきた。俺は邪魔にならないようにテーブルに広げていた書類を手に取り、グラスを置けるスペースを確保する。店員さんは「すいません」と頭をさげると、俺と美佐さんの前にそれぞれグラスを置いてテーブルから離れた。

 俺はそれを見届けると、手にした書類を再び覗き込む。

 書類にはキャラクターの絵のほかに、簡単なプロフィールのようなものも書かれていた。それは絵柄から受ける印象ほぼそのままだ。


「プロジェクトムーサ――音楽、映像、ゲーム、書籍と、多岐にわたるコンテンツで同時に進行する一大プロジェクト。大手出版社が3社、ゲーム制作会社が2社、アニメ制作会社、テレビ局など、参加する企業もスポンサーも――って、この辺りは深く説明しなくてもいいかな。とにかくとても大きいプロジェクトがスタートするの」


「はぁ」


 俺は気のない返事を返した。

 この話をされている意味が分からないからだ。

 でも美佐さんは気にする風でもなく、話を続ける。


「そのプロジェクトで核を成すのがこの二人を含む9人のヴォーカロイド。彼女たちの物語をあらゆるコンテンツで発表していくの。先日行われたのがそのうちの一人、天音ソラのサンプリング音声を公募するためにオーディションを開いたのだけれど、困ったことになっちゃったのよね」


 そういって「困ったわ」という風に、右手の手のひらを頬に当てて首を傾げる。

 ぐっ……あざといと分かっていても、キリッとした通常の姿勢とのギャップに可愛いと思ってしまう。


「こ、困ったことって?」


「君のせいよ。橘まこと君」


読んでいただいてありがとうございます。

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