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そこは泥濘3

夜の校舎はひたすら寒かった。

秋のいりぐちだとは言え、太陽の当たっていない夜は寒い。

その上、風の吹く屋上となれば、更に寒い。

シャツにパーカー、ジーンズ姿だとさすがに寒い。

「しまったー、もう一枚きてくるんだったなぁー」

持っていたほつほつを乱暴に抱きしめ、暖をとる真地に後ろから声がかかった。

「お待たせいたしました。持ってきていただけましたか?」

「約束は約束だから、連れて来たよ。ほれ、ほつほつ」

地面に下ろされたほつほつは顔をあげて、その視界に驚愕する。

「おおおおおおおおおお!巫女さんでぇーーーーーーーーす!超巫女さんでぇええええす!何て美味しいしっちぇぇしょーーーーーんっつ!」

少女は、巫女装束を見に纏っていた。

神秘的な少女には、巫女姿が有無を言わさない程似合っている。

走り抜けて巫女服に飛びつこうとしたほつほつの眼前に、玉ぐしが突きつけられた。

「触らないでいただけますか?貴方がまだ「よきもの」か「まつろわぬもの」か、ワタクシ、確認できておりませんので。」

沙耶は冷たい声をあげ、ほつほつを冷静に見下ろす。


「その異形の者を判断させていただけませんか?」


彼女の提案は一つだった。

沙耶はこの地区の「守護者」だそうで、「異形なる者」の気配を感じて、調べていたと、真地に告げた。

何かわからないけど、大変そう、と真地は思う。

ほつほつを殺したりする訳ではない、と沙耶はいった。

だからこそ、ほつほつをこうして連れてきたのだが。

「…ねぇ、まつろわぬもの、が良くわかんないけど…」

「まつろわぬものは、まつろわぬものですわ、真地さん。」

玉ぐしがゆらゆらとゆれる様子に、真地は不思議な印象を受ける。

まるで、舞っているよう。

「この世界には法則があります、そして規則があります。「異形」であり「まつろわぬもの」であるならば、私は「それ」をこの世界から、「奉って」しまわねばならぬのです。」

神楽というのは、こういう踊りの事を言うのだと、真地は改めて思った。

足を出す、踏み入れる、身体を捻る。

基本の動きの連続が、舞を生み出すのだ。

それもかなりしっかりとした基礎がないと生み出せない。

たとえば足の一歩の揺らぎが、手や、頭やその他の連動する動きに係わってくる。

「奉り、ますわ。お姉さま、おいでませ」

声に、少女は現れた。

昼間の覇気はなく、同じように巫女装束を見に纏っている。

「ほつほつ殿、貴方にはこれからワタクシがお姉さまに降りてきて頂く方と戦っていただきます、勝てば、貴方は「よきもの」負ければ「まつろわぬもの」」

「この国には、勝てば官軍ー、負ければ賊軍と言う言葉がありまーすねー。つまるところ、そういうことでーすかー。」

シリアスな展開の割には、のんびりとした口調なほつほつが真地はなんだか嬉しかった。

「ねぇ、コレアタシも手伝っていいの?こんなちっこい生き物一匹にその、なんつーか、戦わせるんでしょ?」

沙耶は、ほんの少し驚いた顔をした後に、妙に子供のように笑った。

まるで珍しいものをみたかのような表情に真地は、同じように笑う。

「…わかりました、例外として認めましょう。」

「ま、アタシも何が出来るわけではないけど、おいでほつほつ。」

こうして戦いの幕は開かれた。


次回予告「巫女のパンツはまだか!縞パンが早くかきたいんだよ!」


真地とほつほつVS杜海と沙耶

果たして勝利はどちらの手に?!

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