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そこは泥濘2

時間は昼休み。

授業を終えて、真地は気付いた。

教室の前の扉のところに居るの誰?

同じクラスの人間ではない上に、どうにもこうにもこちらを見ている。

大きな瞳が印象的で、胸は絶望的にないものの、長く伸びた手足は健康的だし、頭頂部で括りあげてあるポニーテールの髪型は彼女に良く似合っていたから、とても可愛らしい印象が真地には残る。

その彼女が何故自分を見ているのだろうか。

不思議になりながらも視線がかち合えば彼女の方から近づいてきた。

「ねぇ…その…」

言葉が止まる。

睨みつけるように真地を見れば、腰に手をあてて、口を大きくへの字にする。

「アンタに話があんのよ、ちょっと来てくれない?」

うわーお、かつあげ?それともアレですか、不良とかが呼び出すあれですか、とか一瞬思ったものの真地は、ちょっとした事に気がついた。

彼女の耳は真っ赤だったのだ。

そして会話は最初に戻る。

「あぁ、照れてるんだ。」

「アンタ…、会話の最初に何ふっとばしてんのよ、色々と。」

今度は顔全体を朱色に染めた少女に笑って答える。

「で、何処に行けばいいのよ、教えて。」


屋上に案内されれば、本当にかつあげのようだった。

「…ねーアタシお金とられちゃったりするのかなぁ」

のんびりといえば、前にたった少女はそんな訳ないじゃない!と大声で返す。そんなに怒らなくてもいいのに、と真地は口を尖らせた。手にはリュックをもったまま。まさかほつほつの入ったリュックサックを置いてくるわけにも行かず、手に持ったのだが、面倒な上に重い。いっそ此処に放置していこうか?と一瞬思う。

察したようにリュックが揺れたので、嘘だ、と小さく返しておいた。

ふ、と足を止める。

視線を感じたような気がして、真地は視線を上げた。

先ほどまでは誰も居なかった屋上の給水塔の上、少女は立っていた。

肩で切りそろえた髪、大きな黒い瞳、中等部の制服を着ているところを見れば、年下だ。

何処か神秘的な佇まいの少女は、随分と高い位置からでも、躊躇うことなく、羽のように降り立って、そして、笑った。

「初めまして、及びたてして申し訳ありません。」

少女は日本人形のような端整な顔を下げて、一礼する。

余りに整った顔立ちは本当に生きているのかを尋ねたくなるほどで。

「私、神野 沙耶 と申します。貴女様を迎えにいった神野 杜海の妹になります。お見知りおきを。」

さっきのはではおねーさまか。

余りにも雰囲気の違う姉妹に真地は思わず驚いた。

姉が動なら、妹は静。

与える印象は真逆だ。

「姉は少し不器用でして…何か失礼はございませんでしたか?」

花がほころぶように笑う少女に、杜海、と紹介された少女が真っ赤になって反論した。

「だ、誰が不器用よ!アンタはいつもそうやって…」

「んで、話って何?」

姉妹漫才は見たかったのだが、直ぐに休み時間は終ってしまう。

あぁ、儚いからこそ、人はそれに胸をときめかせるのか。

「そうでしたわね、購買のやきそばパンを買いそびれてしまいますわ」

同調して笑う沙耶とは対照的に、杜海は拗ねたように横を向いた。

沙耶がこちらに向き直れば、真地は何となく姿勢を正す。


「貴女様に一つご提案がございますの。」

次回予告「巫女が舞う!闇夜の空にパンツは縞パン」

八割ぐらい妄想の次回予告をしてみました。

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