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そこは泥濘1

何気なく通り過ぎる日常が悪いのか、それとも?


真地は前にたった少女の表情に何処か見覚えがあった。

怒っているように見えるが何か他の感情が潜んでいる。

それは人間が一番持ちやすいであろう感情であることを真地は知っていた。

「あぁ、照れてるんだ。」

「アンタ…、会話の最初に何ふっとばしてんのよ、色々と。」


それは朝に遡る。


「乳が好きだ!」


朝は、ほつほつの奇声からはじまった。


「私は乳が好きだ。

私は無乳が好きだ。何もないまったいらな草原は、全ての生命を生み出した大地をも想像させる。

私は貧乳が好きだ。ひっそりと遠慮がちに顔を上げる花咲く前の蕾のような静謐さが好きだ。

私は美乳が好きだ。大きくも小さくもない、心地よいまでのフィット感は他の何にも劣らない!

私は巨乳が好きだ。たわわに実った果実は、豊饒の象徴ともいえる安心感を人に与えてくれる。

私は爆乳が好きだ。揺れ動くだらしないまでに奔放なその丸みは、まるで暖かい太陽を模倣したかのような美しい輝きを放っている。

私は奇乳が好きだ。既に乳と呼ぶよりはまさに母なるその全ての恵の恩恵を受ける女神のようないでたちに私は歓喜する!

私は全ての乳を愛してやまない、ただ1人の探求者だ。」


「朝から朗々と乳唄、吟じないでくれる?」

歯磨きをしながら真地は手を伸ばし、リモコンを握るとテレビをつける。

テーブルの上で変な唄を吟じていたほつほつの頭をそのリモコンで軽く殴り、ニュースにチャンネルを変えた。

「いたーい、いたいでーす、暴力はよしましょーぉ」

「あんたが朝っぱらからうるさいからじゃん。」

歯磨きを終えれば、洗面所でうがいをして、顔を洗い、化粧水を塗る。

テレビを食い入るように見ているほつほつを手のひらで掴み、ソファーに移動させ、真地はなれた様子でオーブントースターをあけて、食パンを二枚押し入れた。

タイマーを5分に設定し、かけていたお湯で紅茶を入れる。

砂糖あり、ミルクなし。

「あんたは紅茶いるの?ほつほつ」

「おーう!砂糖なしミルク入りでおねがいしまーす」

あ、砂糖なしね、と冷蔵庫に向き直り、牛乳を取り出し、ついでにラーマも手にとって、続いて紅茶を入れながらパックをあけて注ぎ、入れ終われば、満足そうに微笑んだ。

「ほら、食べるよ、ほつほつ」

チン、と後ろで音のしたトースターからパンを取り出しほつほつの分とあわせて二枚、皿に並べる。

「あたしこれから出かけるからね。大人しく留守番しててよ、ほつほつ」

「おんや、何処かにでかけられーるのですか?」

相手の言葉に真地は暫く黙ってから、パンを一口齧った。

「がっこ、アンタがっこ、ってわかる?」

相手の沈黙を知らないととって、真地はまたパンを齧った。

「んっと、勉強教えてくれるところ、卒業しないと色々ダメっぽいので、ちゃんと勉強を教えてもらいにいってきます、はい。」

「ベンキョーですかー!私も教えてもらいたいでーす!」


毛玉が?


一瞬教室で授業を受けている毛玉を想像して、真地は軽い頭痛がした。

あぁ、でもそれはそれで面白いかも?


パンを無意識の内に齧りつくせば、真地はふと気付いた。

「あ、遅刻する。」

着替えて鞄を持って、火元の確認、窓が閉まっているか確認して…

朝の一連作業を終えて、気付いた。

「…なんで鞄につまってんの。」

「ベンキョーです!ベンキョー!」

やばい、やっぱり一緒に授業を受けている毛玉は面白い。

「…さすがに授業は受けさせらんないけど、鞄に詰まってるだけなら許してあげる。どうする?」

狭いだろうが、詰まっていればさして目立たないに違いない。

「本当でーすかー!嬉しいでーす!」


こうして毛玉は共に学校へと行くことになったのだ。

次は24日の日付変更線を跨ぐ前に更新したいです。

あくまで予定。

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