夢を強く念じて、そのために行動し続ける
泣きながら自分の家の自室に戻ったミコ。
電気もつけずに、ベッドの上に座り込みます。
やりきれない思いが、とめどなくあふれてきます。
「はぁ……」
スマートフォンでツイッ◯ーを開くと、SNS上のお友達の「今年も一年間ありがとう! 来年もよろしく!」のメッセージでいっぱいになっていました。
ミコにも何通か通知が来ていて、それに返信をしているうちに、ちょっとだけ気持ちが落ち着いてきました。
しばらくして、ミコの耳にドアをノックする音が聞こえてきました。
「ミコちゃん、入るよー」
ドアの開く音がして、そうためらいがちに声をかけてきたケンジさん。
ミコはそんなケンジさんをキッとにらみつけました。
「ケンジお兄ちゃん……何よ……」
「さっきはごめんよ。おいおい、そんなに怖い顔するなよ。コンビニでケーキと、あったかい紅茶買ってきたから、一緒に食べようぜ」
「あっ、これ……お正月限定の新作スイーツ!」
女の子を泣かしたうえに、勝手に部屋にまで入ってくるなんて……
そんな思いがちらりとミコの心をよぎりました。
でも甘いスイーツを食べてあたたかい紅茶を飲んでいるうちに、そんな気持ちも徐々にとけていきました。
「ケンジお兄ちゃん、やっぱり私……色々言われたけど、シンガソングライターになる夢を諦めきれないよ。歌うのが好きで、私の歌でみんなが喜んでくれるのが嬉しくて……いつか憧れのminaちゃんみたいになりたい……って、それだけじゃ、ダメなのかな?」
ケンジさんはミコをしばし見つめると、満足そうにうなずきました。
「うん、そうだ……その本音が聞きたかった」
「本音……えっ!」
「成功するための秘訣なんて、実はシンプルでとっても簡単なものなんだ」
「えっ!」
「『夢を強く念じて、そのために行動し続ける』、それだけで、夢は叶う!」