10話 妹も友も良いヤツすぎて俺幸せ
私も人の事言えるほど良い子じゃないんだよね・・・ねぇ、兄
「・・・でもね、これは罰なんだよ兄、散々私の事を邪魔者扱いして冷たくして、そしてそれが今になって返ってきただけなんだよ?」
私はカーテンを開け家を出て行く兄を見ながら独り事を言った、いや違う、ただ兄を騙した自分の罪悪感から少しでも逃げようと言ったんだだと思う、でも仕方ないよね?今まで全然構ってくれなかった付けが回ってきたんだよ?
「・・・私が味わった苦しみを受けてもらうからね兄」
あ、違うか私が味わった苦しみの倍か、私は14年だけど兄はその数倍、三倍?いや死ぬまでか
「・・・ごめんね兄、私兄の事鬼畜とか言っちゃったけど私の方がよっぽど鬼畜だよね・・・兄の頭の悪さを利用してさ・・・」
・・・でも、一回約束しちゃった事は絶対守ってもらうからね兄・・・
「・・・っふふっ兄、ううん違う兄ちゃん・・・」
これからはずっと一緒、今は兄の事嫌いだけど頑張って私を信用させてね?兄の罰はずっと私と一緒に居る事、ずっと一緒に居てくれたらやっと信用できるから・・・
「・・・私って頭おかしいな・・・
私はそんな事を口に出しながら寝転んだ、あんな酷い事を言ったのに心は何故かすっきりしていて何かに満たされたような温かい気分だった、そして同時に安心したのか眠気も襲ってきた
「っんっぅ・・・ごめんね兄・・・」
そして段々と私は意識が薄れていき意識を手放した
「えーっと、あったあった!」
俺は妹と少し和解ができたとはしゃぎながら店へ来ていた、勿論店に来た目的はアイスを買いに来る事だった、妹の言う事は絶対に聞くこと、そうすれば信用してもらえると言っていたから
「にしても、妹あんな顔するんだなぁ、っけ、結構可愛いかったな・・・」
俺はアイスを取りレジに向かいながら先程の妹の笑みを思い出していた、そして妹の笑みを思い出し俺はニヤけた、実に気持ち悪い実の妹の笑みを思い出してニヤけるとか小さい子供ならまだしも中学生の妹の笑みを思い出し二ヤけている自分、吐き気がしてきた
「・・・それに、一緒にアイス食べるか・・・」
そして俺はここで疑問に思った事があった、ついさっきまでかなり嫌っていたはずなのに突然一緒にアイスを食べようと、どういう心変わりだ?と不思議に思った、それにあれは会話をしているのでは・・・?とすらも思った
「・・・あれ、妹とあんな言い合いしてるって会話の内に入るんじゃないのか??」
俺は会話の定義がよくわからなくなり少しパニックになりそうになった、哲学と同じで自分って誰だとか、自分は本当に生きているのか?とそこら辺と同じで少し焦った
「・・・やめだ、頭がおかしくなる」
「あ、あれ兄君?」
「!と、友、さんじゃなくて、友!」
レジに並ぼうとした時に後ろから突然名前を呼ばれ後ろを見た、そこには友が居た、友は私服で居た、そしてこれまたとても可愛い妹は黒髪だが友は茶色、多分染めているのだろう、また白いスカートに白い半袖の服、うん可愛い
「さ、さっきぶりだね!兄君!」
「!あ、あぁさっき、ぶりだな、友」
友は笑みを浮かべながらこちらへ走って来た、身長が低いため可愛く見えてしまう、そしてその笑みもまた可愛らしかった
「あ、兄君はなに買うの?」
「え、あ、あぁアイスだよ妹に買ってきてくれって頼まれてな」
「そ、そうなんだ兄君優しいね、妹ちゃんの言う事聞くなんて」
俺はそこで褒められ照れる一方で何が優しいのかわからなかった、他の人ならわかっていたのかもしれないが
「あ、あぁまぁ、え、えっと友はなにしてんだ?」
「あ、うんえっとね夜ご飯の準備をしようと思ったんだけど具材が何もなくてね、買いに来たんだ~」
つまり今の話を聞いていると友が夜ご飯を作るのか、・・・ん?
「え、お前自分で夕ご飯作ってんのか?」
「ん?うん、そうだよ~私の家両親二人共共働きだからね、私がいつも用意してるんだ」
俺はそう言われ胸が痛くなったた同時に脳裏に学校での友の事を思い出した、友は自分と同じで友人が居なく今日まで昼を一人で食べていたらしい、いやいたらしいじゃなくてきっと一人で食べてたんだと思う、そして家へ帰っても両親二人共共働き、つまり今までずっと一人で朝昼晩と食べてきていた、しかもボッチと言う事は今まで会話をする相手すらも居なかったと
「っ・・・」
「!あ、兄君!?」
そして俺は自分にその状況を例え涙が出た、異常に胸を締め付けられ目元が熱くなりそして涙が出た、また今までどれだけ寂しい思いをしてきたのだろうかとも思った
「っ・・・友、お前・・・」
「!ん、ん??」
「・・・お前、今まで寂しくなかったのか・・・?一人で食べてて、しかも話しをする相手すらも・・・」
友がどんな反応をするのか気になった一方で俺は恐る恐る聞いた、それを聞いたところで友にメリットはないし逆にデメリット、嫌な事を思い出させてしまうと思いながら
「あ・・・う、うん・・・まぁ、昔からそうだったしね・・・」
そっぽ向いたかと思いきやこちらへ顔を向け苦笑いしながら言ってきた、いやもう本当その顔やめてこっちも悲しくなるし、可哀想すぎて抱きしめたくなるから本当やめて
「っじゃ、じゃあさ今日ぐらい俺の家で一緒に食べないか?友達にすらなってないんだけどよ・・・」
あまりにも悲しすぎて俺は誘ってしまった、別に特に偽善で誘ったわけではなく本当に善意として誘った、かなり馴れ馴れしいとも思ったが言って後悔はなかった
「う、う~ん兄君の誘いは嬉しいんだけどお父さんとお母さんのご飯の用意しなくちゃいけないし、それに」
「?」
友はそう言いながら俺の手を見た、いや俺の手じゃなく多分アイスなのだろう
「私まだ来たばかりだから買わないといけないし多分30分くらいかかると思うし、何より妹さんに買ってきてって兄君言われてるんでしょ?守らないとだめだよ」
「!あ、あぁそう、だったな・・・」
友にそう言われ俺は焦った、約束した数十分後に早速裏切りそうになったのだ、特に時間制限は決まっていないが一緒に食べようと言ってくれたんだこれほど妹の誘いもないだろうし待たせたらきっと裏切る事になる、実に早速バカをやらかしそうになった自分に俺は腹が立った
「うん!じゃあ私は揃えないと行けないからじ、じゃあね~」
「あ、あぁまた明日~」
苦笑いしながら商品売り場へ去って行った友を見ながら俺は唖然としていた、友の後ろ姿はとても寂しそうな、そんな感じがした、そして見ていた時に突然友は振り返り言った
「兄君、私はもう友達だと思ってるんだけど・・・だ、駄目かな・・・?」
「!!い、いや!だめじゃないぞ!友達になろう!」
「!う、うん!じゃ、じゃあね~兄君」
友は俺の返事に笑みを浮かべ商品売り場へ消えて行った、頬を赤く染めたあの微笑みはきっと頭の中に残るだろうと思った、そして
「・・・今度一緒に夕ご飯食べような、後、友お前良いヤツだな・・・」
俺は口に出しそう言った、理由は特にない、でも言っておきたかった言わないと何かに後悔しそうだと、本人が居るわけでもないのに、そしてそれから俺はアイスを二つ買い家へ帰った
「ただいま~」
帰るなり大声で言った、だが勿論何の返事もなし、一瞬妹が返事をしてくれるんじゃないかと期待した、勿論そんな事はなかったが
「・・・俺ってやっぱりアニメに洗脳されてるのかもな・・・」
自分の頭の中があまりにもネジが外れていて呆れた、ついさっきまで嫌われていたはずなのに出迎えてくれるわけがねぇと、返事をしてもらえるわけがねぇと
「・・・でも、いつかは出迎えてくれたり返事してもらえるのかな」
そんな事を妄想、想像しまたもニヤけた