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薬師はあくまでも副職  作者: 酒場のあの人
わたし、という人間
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記憶のかけら-1-

新たな身体でお目覚めです。

 

 車輪の音が激しく聞こえる。


 地面との揺れにはっきりと頭の意識が戻された。


 ――眠っていたのね。


 瞼を開けると暗い空間にわずかばかり、窓から月の光がさしこんできて、思わず眩しさに目を細めた。ぼんやり浮かぶのは、向かいに座っている女性の足元。彼女はメイドらしき服装を着ている。視線を上に動かすと、20を越えているのだろうか、雰囲気は大人のようだか少女の面影もどことなくあるように感じた。


「お目覚めですか!? 奥様!」


 この空間には、この女性と自分しか居ない。


「……! 奥様?」


 ――瞬、声を出そうとするが、舌を噛んでいたのか痛みを感じる。わたしの事なの?


「まだ、混乱なさっておいでですか? 先程、とうとう不満により(やしき)が民により襲撃されました。民達は奥様の乗ったこの馬車を見逃してくれたのです。一時はどうなるかと思いましたが、今は奥様の故郷のオアシス村へと向かっております」


 感情を僅かばかり荒げながら女性が現状を伝えてきた。


 館? 襲撃? 


 全くなく見に覚えのないこの話からして、自分は何処かの夫人なのか。そしてこの女性はやはりメイドなのだろうか。横になっていた身体を手すりで支えながらゆっくり起こし座り直した。


 ぼんやりとしたあの不思議な空間のことは憶えているのに、この体の以前の記憶はぽっかりと思い出せない。

自分――今のわたし――の年は、メイドより少し上か同じくらいだろうか?手のひらの肌感と声では、そんなに老けてない気はする。

鏡を見ないと今は分からず、何も言えないけれども。

視線を動かせば、手入れされた少しゆるくウェーブのかかる長い髪が、胸元でサラサラしていた。



「私は誰なの?」


 そう呟くと、メイドの表情が僅かばかり強張った気がした。


「あぁ、奥様……」


 悲しみを含みながらメイドがゆっくりと語り出した。


次話はメイド視線になります。

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