第4章 不運から幸運へ
前回までのあらすじ
雪とのお別れ会も終了しひといきたった始業式。その日先生から言われた
「あなたは雪さんと同じ大学に行くことは無理。」
その言葉の理由とは・・・
そして牧田郎のとった行動は!?
第4章 不運から幸運へ
「あなたは雪さんと一緒の大学に行くことは出来ません。出来ないと言うより絶対に無理です。」
言葉が出ない牧田郎。しかしやっと冷静さを取り戻して先生に聞いた。
「何故ですか??先生!僕だって頑張ってます。それなのに・・・何故なんですか??」
パニックになる牧田郎。しかし先生は冷静に
「まあまあ落ち着いて、実はそこの大学に入るには3つ基準があってまず1つ目は学校の規律が守れる人。まあこれは君はOKだ、そして2つ目は今まで高2までの欠席日数が公欠などを除いて5日以内。これも合格。ただ、最後の条件が今までのテストの最高点が95点以上、これが君には達していないの。今までのテストで1つでも95点以上があれば推薦できるけど君は無いから・・・だから無理なの。ごめんなさいね」
「ちょっとまってください先生。私だって1年の数学で100点満点取りましたよ」
「悪いけど私が把握しているのでないと確認や証明が出来ないから。もしあるなら今度持ってきてよ」
「そんな、もう処分しちゃったよ」
「まあとにかく。残念だけど別の大学か就職先をなるべく早く私に提出してね」
教務室から出る時、牧田郎は気力をなくしていた。
「変わりじゃダメだ、これじゃあ雪に会えない!なんとしても雪に会いたい。でもどうすれば・・・」
「牧田郎さんにおすすめの大学ありましたよ。ここはどうですか?ここならあなたの目指している音楽関係が学べます。ただ場所が大分県。
ここ広島県からはやや近いが雪のいる新潟からさらに離れてしまう。
しかしもうここしかない。結局この大学に進学することを決めた。
それから毎日勉強、そして雪との連絡交換を忘れずにやっていると既に12月31日になってしまっていた。
「早いな~もう今年が終わってしまうのか~。まあ来年は大事な年だから頑張るか!」
紅白を見ながらの雪との連絡。実はあの引っ越した日からほぼ毎日連絡をしていた。もちろん離れていてもカップルだったから。
あれ以来月に1度牧田郎が雪のもとへ会いにいっていたが受験勉強などで最近はまともに会えなくなっていた。
そしてあと1分の所で雪にLINE電話をする。実は毎日メッセージを送ってはいたが電話をするのは久しぶりだった。
「おう、久しぶり。一緒に年を越そうな。来年2人にとっていい年になりますように」
「せーの3、2、1」
「おめでとーーー」
「あけおめーーーー」
やってきた2015年。いよいよ今日から新しい年が始まった。
「去年はいろいろあったけど、これからもよろしくな。雪!」
「私こそ。よろしくね。」
その後牧田郎は大学の進学が雪と一緒は無理になったことや夏休み中から今までのクラスの思い出や状況を伝え電話は3時間を超えていた。
「今年もいいことたくさんありますように!」
月日は流れ、そしていよいよ入試の日
「いよいよ今日が入試だ。今まで頑張ってきたから大丈夫。雪からも激励のメッセージをくれたし。本当に今まで応援してくれた先生、家族、クラスのみんな、そして何より雪、ありがとう。俺頑張るから。」
やるだけのことはやった。あとはひたすら祈るだけだ。
緊張しながら迎えた入試合格発表の日、ここで合格できたら4月から入学だ。
そこの大学は全国では珍しい面接試験が無い大学だった。
牧田郎の受験番号は(7748)あることを祈りながら大学へ向かう。
発表3分前、2人の大人が合格者が書かれた大きな板を持ってきた。そして正午、
「それでは、来年度の合格者です」と言う声と共にボードに貼られていた幕が下がり
たくさんの番号が貼られていた。
「えっとー7748 7748は・・・」
必死で探す。
「7742 7744 7745 7747 ・・・・・・『7748』」
そこには『7748』の番号が書いてあった。牧田郎の夢が叶った瞬間だった。
すぐに家族に電話をかけ、合格したことを伝える。
そして雪にも。
「おめでとう、牧田郎。」
たくさんの人から祝福の言葉をもらう。
(本当に今まで頑張ってきて良かった。)
そして月日は流れ卒業式。
牧田郎は今日で終わりなのか・・・と思うと悲しくなってきた。
しかし、ここで悲しく終わりたくない。どうせなら笑って終わろう、と考えていた。
卒業式後はクラスのみんなで卒業旅行など、十分に満喫し、牧田郎は今までの人生の中で非常に満足した日々を送っていた。
楽しい時間は刻々と過ぎて行き、新年度が始まる前、雪に改めて今の気持ちを伝えた。
『雪、俺は4月から大分の大学へ進学する。それと同時に1人暮らしするんだ。これからはさらに会えなくなると思う。しかし俺たちはカップルだ。だから俺は週1で俺がお前の元に会いにいく。それくらい雪に対するきもちがある。だからこれからもよろしくな。』
「私こそ、今すぐにでも会いたいよ、でも私も国立の大学に進学するからいろいろ忙しいと思うけど。楽しみにしてるよ。」
雪からのメッセージをみた牧田郎。
「楽しみだな~、そういえば次会うなら2人が再開するのは・・・5ヶ月ぶり!?、やっぱり遠距離だからな~。でも俺は本気で愛している。遠距離でも出来たら毎日会いたいからな~」
2015年4月11日土曜日新潟駅前で牧田郎は雪が来るのをまっていた。
すると
「慎太郎??」
声のした方を振り返るとそこにはあの雪がいた。
「お!雪?雪だよね?久しぶり!」
「私こそ、ずっと会いたかったよ、ずっと会いたかった。君に」
久しぶりの2人の再開。2人は駅から移動しその後映画館、カラオケ、ショッピングなど楽しんだ。じかし楽しい時間はあっというまで牧田郎がもう帰らないといけない時間になってしまった。そこで2人は次の計画を立てた。
「じゃあ実は来週の18日。場所はここで」
「うん。じゃあまた来週!」
その後も牧田郎は必ず週末には雪のもとへ会いにいき、毎週楽しんでいた。
しかしある5月の金曜日。
「ごめん、雪。明日だけど用があって会えない。本当にごめん。」
「ああ・・・そうなの?まあでも再来週楽しみにしてるよ」
「うん。本当にごめんね。 再来週会おうね!」
しかし、これが雪が見た最後の牧田郎からのメッセージになってしまうとはこの時、雪は知らなかった。
・第5章へ続く。
~次章予告~
突然「明日は無理」と言って会うのが無理になってしまった、牧田郎。
そして雪が牧田郎から受け取った
「うん。本当にごめんね。 再来週会おうね!」
このメッセージ。これが最後のメッセージになってしまったその理由とは!?
次章もお楽しみに!