とある日常の一コマ
今日は本当に気持ちのいいよく晴れた日だった。
少年は親友と言うにはあまり付き合いもなく、かと言ってクラスメートと言ってしまうには些か薄情かも知れないという程度の友人に昼休みから呼び出されていた。
呼び出し場所の屋上へと向かう階段を登りながら、4限目に貰ったメールを眺めて、何の用かを考える。けれど、結局考えても心当たりは思い当たらず、四方に飛び散る考えを纏める前に扉を開けて、ここ数年で一番と言っていいぼど後悔をした。
目の前には、目を真っ赤にしてボロボロと涙を溢す友人。
少年はメールを見て、寝惚け頭で気軽に『解った』と返した自分を心の底から恨んだ。
「……で、何があったんだよ」
もうこの状況の打開策は話を聞く他ない。
そう考えた少年は、目の前で未だ泣き崩れてデロデロの友人を前に声をかける。
すると、彼は涙で嘔吐きながらも根本的で酷くあり来たりな回答を返してきた。
「う…っ…。フ、ラれ…、ました…」
「あっそ。んじゃ話は聞いたから帰っていいよな!」
「うぁー! 何があったかぐらい聞けよ!? 友達だろ!」
涙や鼻水でぐちゃぐちゃの顔を真近に突き付けられた少年は、抵抗する事もできず、ため息を吐いて屋上のドアを閉めた。
「それで、告白でもしたのか?」
「うんん…。ラブレターをっ、書いたんだ…」
「また古風なことしたな。んで?」
「書き終わってから、彼女に渡しに行こうとしてっ…ぅっ……」
彼女と言った辺りから少年は友人の嗚咽で、伝えたい意味さえ理解出来ずに途方にくれて、視線を思わず空に向ける。今日もいい天気だ。
まぁ、内容が分かったからといって現状が改善されることは決してないのだが、言葉くらいはかけてやれる。ラブレターを笑われたなら是非中身を見て笑ってやるし、捨てられたなら拾いに行く。
面倒事の代償はそれで勘弁してやろうと、途中から違うことに思考が飛びかけていた少年の腕を唐突に友人が掴み、躙り寄る。
「彼女、彼氏とサボってるってっ!!」
友人は自らの何とも馬鹿らしい失敗談を盛大に叫んでから、またしても少年がドアを開けたとき同様に泣き崩れた。
少年はそんな友人に心底どうでもいいといった表情を浮かべながら、ポンポンと頭を撫でてやる。
もうすぐ始業のチャイムが鳴るな、なんて事を思いながら少年は雲一つない青空を眺めてこう言った。
「リサーチくらいしとけよ」
それはとても、もっともな一言だった。




