おまけ
番外編
ー次のステージに行くまでの渡り廊下での雑談ー
「人は何のために生きているんでしょうか?」
「三度も人生を生きて、あなたも薄々勘づいているでしょうが、地球は人間にとってステージなのです」
「ステージですか」
「ステージです、日本語で舞台と言った方がいいかな」
「舞台ですか」
「あなたも三度、地球という舞台にたって人生を生きた、そして、多くを学んだでしょう?みんな、そうやって自分の人生をクリアしていくのです。とりあえずその時はその人生のー死ーというゴールに向かって。ただ、魂の立場から見れば、死というゴールもただの通過点でしかありません」
「その、ステージというのは地球だけですか?」
「いえいえ、とんでもない、地球は数あるステージの中の一つです。地球のある宇宙には、数えきれないステージが存在しますよ。そして、あなたのいた宇宙以外にも、宇宙は無限に存在する。そこには多くのステージがあり、全てのステージがいくつあるか、私にもわかりません」
「この世界は宇宙よりも広いのですかぁ」
「あなたの魂は、これら無数のステージを繰り返し生き、その場その場で怒ったり泣いたり、わずかですが大切なエネルギーを毎日作り出して行くのです。それらの小さなエネルギが無数に発生することで毎日が存在する。あなたは、ひとつの細胞のような存在でこの全体の世界を生き永らえさせているのです」
「そうなのですか、あ、人間の人生に寿命ってあるのですか?」
「ありますよ、大体人間の場合は100年です」
「100年?」
「そうです100年と人間の体の構造上決まっております、ただし、ご存じの通りこれは順調に行けばの話ですよ、生きている間には様々なことが起きたり、起こしたりするのが人間ですから、現状100年はなかなか生きられないですね」
「では、事故に遭って死んでしまうのは決められた寿命とは違うのですか?」
「寿命とは違います、運命ですね、その時、そこにいたから事故に遭ったと言うことです」
「では病気の場合は?」
「病気も同じです、たまたま移り住んだ場所、口にする食べ物、生活習慣などがその病気に関係し、発病してしまうのです。現在の地球上では見えない危険も数多く存在しています。まあ身近なものでひとつ上げれば、冷蔵庫なんかそうですね」
「冷蔵庫?」
「冷蔵庫は発明から100年足らずですが、あれが原因で病気の人間はかなりの数いますよ」
「冷蔵庫が?だって、食料を腐らせずに保存したり、逆に健康に役立ってると思いますが」
「そうなのですが、あれこそ現代の人間にとって悪魔の発明と言って良いでしょう。何故なら人間は冷蔵庫ができてからアイスクリーム、氷など冷たいものを食べられるようになった、本来人間は、まあ、他の動物もそうですが冷たいものを食べられるようにできていないのですよ、冷たいものを食べて内蔵を冷やすと内蔵の機能が鈍ります。本来、内蔵は口から入った食べ物を消化し、解毒し、栄養にする、内蔵が常に冷えていると、消化、解毒の作業が十分にできない状態で食料が体内に取り込まれる。これが全ての病気の原因でもあるのですよ。まあ、あと数千年位経てば人間も冷たいものに対応する体に少しは進化していきますが、今の人類にはダメージがかなり大きい」
「そうなんですか?全く知らなかった」
「あなたの病気のALSもそれが原因ですよ、あなたはほぼ毎日アイスコーヒーを飲んでいましたね、タバコを吸い始めた20才位から20年間、ほぼ毎日タバコとアイスコーヒー、冷えた体にタバコという毒を注ぎ込んでいた訳ですよ、そういうことをなん十年も繰り返した結果が大きな病気となって現れます」
「そうなんですか」
「それだけではない、冷蔵庫はオゾン層も破壊しました、便利ですが、恐ろしい機械なのです」
「なるほど、人間は便利な物を発明するけど、実は思いもよらない悪影響を及ぼすって他にも色々ありそうですね。
あ、話かわりますが、私が人工呼吸器を着けて生きていたら、どうなっていたでしょう」
「貴方の体はいずれは全く動かせなくなってしまう、意識はしっかり持っているが、いずれ意思も全く伝えることができず、いわゆる暗闇状態になるでしょう」
「苦しくて耐えられないですね」
「苦しくて耐えられないという感想は正確ではないですね、それは貴方の想像での話ですから。貴方もこの病気になり、薄々感じていたかもしれませんが、右腕が動かなくなり、足が動かなくなり、その過程でただ塞ぎこむだけではなく、右腕がうごかなかったら代用で口を使おう、とか、その時々にあった考えや感覚を常に自分の中で更新していったと思います、これが、人間の優れた能力、慣れです。
人間はどんな状況下でも、それに慣れていこうとする力があります。人間は全て脳で感じる生き物ですから、極端に言ってしまえば脳だけが動く人と、普通の人は、大して変わりはないのです」
「よくわかりませんが・・・」
「何故腕が動くのか、なぜ足が動くのか、考えた事はありますか?」
「┐('~`;)┌」
「生きるためです、獲物を取って、食べるためです。それをしなければ死ぬからです。ただ、それを周りがやってくれるのですから、極端な話、腕も足も動かなくていいのです」
「ですが現代では狩りをするわけではないですし、パソコンが打てなくなるとか、絵が描けなくなるとか、マラソンが出来なくなるとか」
「そうです、現代人は全く無駄な、やらなくて良いことをやって生きているのです。それらが出来なくなることは重要ではないことで、まあ、タバコを辞めるくらいの脳の切り替えで済む手間でしょう。趣味や生き甲斐は、ほとんどが脳で想像して代用できる刺激ですから。
しかし、無駄なことをやって生きるのが人間らしさなのですがね」
「そんなものですか?」
「要するに、呼吸器をつけて生きる事ができれば、あなたは貴方の脳の中で生きる事ができ、それは無限に広い世界でもある。そして奥様や子供の温もりを毎日感じて生きられるのです」
「では、自殺ってどうなのですか?私もALSになって自殺を考えたのですが、やっぱり悪いことなのですか?」
「悪いことと言うか、その人生を自ら終わらせてしまうので、思いもよらないエネルギーの影響が大きいのです。
例えばエネルギーの誤算は自殺した本人だけでなく、周りの人にも影響し、マイナスになったり、プラスにもなりますけどね。
自殺した本人は、もう一度同じ人生は経験することになりますね、あなたと同じですよ、再生措置です。
結局、感情を受けて発生するエネルギーを自ら断ってしまうので、そのエネルギーが足りなくなってしまいます。
当然その時、誰かが補うことにもなるし、自殺したその人も再生し、将来同じ感情を受けてエネルギーを発生することになります。
ただ、やはり自殺する人も、その人に影響を与える加害者も、精神的に弱っていたり、おかしくなっていたりして、体調を崩している人なのです。
普通に生きている人であれば自殺も考えないし、人に危害を与えることもないでしょう、全ては悪い原因がタイミングよく重なった結果です」
「へー、難しいですが、世の中全体の事だと思うと単純というか...」
「自殺を考える人は脳が極端に疲れていて、とても狭い世界しか考えられなくなっているのです。
例えると、広い地球という空間に住んでいるのに、家の中の、半径20メートルの世界しか考えられない。
見渡せば解決策は沢山あるのに、ごく近い範囲しか脳が考えられなくなっているので大きな絶望感が勝ってしまう、実にもったいない話です」
「なるほど、あの、幽霊はいるのですか?」
「あ、幽霊と言われているやつですね、ええ、いますよ」
「え!居るんですか!」
「はい、正確には四十四室の人たちです」
「四十四室、あ、百ある部屋の1つ・・・ですか?」
「そうです、彼らは生きている時の執着が非常に強かった人々です。
通常、ここに来る時、大体皆心の準備や色々悟りを開いて来るのですが、
過度な経験や、体験によって、憎しみ、悲しみなど、様々な感情に左右されたままここに来てしまった。
この先に進めないので、気が済むまで戻って見てもらう、いわゆる冷却期間を与えるのです。
ただ、存在する空間がちがうので、生きている人からは見えません、あくまでも、生きている人を見るだけです」
「え?見える人とか、見えちゃう時とかあるみたいですけど!」
「あー、あれと同じですよ、ほら、携帯電話もたまに繋がらなくなったりするでしょ?」
「え!故障・・ですか。なんか拍子抜けするなー。
あとこれ、永遠の謎なんですが、男と女、細かく見ると全く別の生物のような、しかし、とても近い存在になったり、不思議な関係だと思うのですが、男と女って、実際どっちか強いのですか?」
「これは生物的に女性が圧倒的に強くできています」
「ですよねー、ただ、世間では昔から男が強いというイメージがありますよね、男尊女卑みたいな考えが基本的になっているような」
「説明しましょう。まず女性の体は、子どもを生み、育てるという役目があります。これには強靭な体と精神力が必要になるわけです。男は、種付けをするという大切な役目がありますが、特に大きな能力を必要としません。あとはメスの為に餌を取る体力や知恵を身に付けて生きていきます。なので、女性の方が断然強く作られてます」
「ほうほう」
「まあ、極端な話ですが、カマキリを見たらわかりますよ、オスは役目が終わったらメススの餌です!これが、基本体系です。
例えば病気になった場合でも、男は比較的すぐ死んでしまいます。意気がって威張るような男は、弱い男の中でも精神的に弱いため、威嚇によってそれをカバーする方法を身に付けているのです。
そして成功している男の影には、必ず優れた女性がいるのですよ。」
「しかし男が強いイメージがあるのは何故なのです?」
「人間は知恵があるので長い年月をかけて平等を求め、今の風潮になりました。もともとは大昔、優れた女性が男性を哀れんだ事で、せめて形だけでも男を立てていくような世界にしようという風潮が世界に広まり、やがて男を立てるという風潮だけが大きくなり、男尊女卑の世界になってしまった。近い未来にはまた女性優位の世界になりますよ、そうなってきているでしょ?周期のスパンは大きいですが、洋服の流行みたいなものです」
「男として生まれた私としては、複雑な心境ですねー」
「話は変わりますが、実は、近いうちに地球はリセットされます、後1200年後に大規模な隕石の衝突があり一瞬にして人間は滅ぶのですよ、何万年かに一回はたいがいあるんですけどね、その時はここも大忙しですよ」
「人類は滅亡ですか?」
「ええ、ほとんどの人が気づかないうちにここに来るので、まあ、説明が大変ですね、およそ100年くらいかけて皆に説明します」
「そんな悲惨なことが?」
「いや、みんな痛みなんて感じないし、目覚めたら死んでたみたいな感じですよ、いたって事務的です。あなたも死ぬ瞬間は痛みとか感じなかったでしょ」
「そうですね、一瞬の痺れみたいな感覚はあったけど、小学生の時に受けた予防注射のほうがよっぽど痛いですよ」
「そんなものです、痛みは生きていないと感じないし、痛いか痛くないかはその人の感覚で決まる、とても曖昧なものです。物理的には、死にそうな時、頑張って生きようとする時がもっとも痛い、ただそんな時は、発生するエネルギーも大きく、世の中への影響も大きなものになります」
「ふーんそんなものなのですか...じゃ、あれはどうですか、UFOとか...」
「ああ、UFOですかー、あれは人間が考え出したストーリーですよ、ただあながち間違っていないので見ていて実に面白い...」
※死後の世界の事なので、あくまで全くの想像で書いています。
読んで頂き本当にありがとうございます。
何でもよろしいので、是非是非感想お願いします!
m(__)m