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旅の始まり1

幻を夢見てた。

幻を見て幻を望んだ。

しかしここは現実。

現実は現実でしかなく幻は幻であった。

彼は悩んだ。

現実を歩くか、幻に行くか、そして・・・・。




「まったく、無駄なことをしたね。死んだところで君の望みは叶うわけじゃないのに。」


触れられず、かすりもしない、誰も知らない世界。

彼は言った。

「おっと、間違えた。君の望みは私の望みで叶えてあげよう。

いらっしゃい根源の世界へ。」

彼はとても嬉しそうに言った。

「いやぁ君は運がいい。そして私もとても運がいい。ようやくこの世界に魂が流れてきたのだから。

さっそく君の望みどおりの世界をあげよう。どんなに幸運でも、どんなに不運でも文句は聞かないし聞こえない。

はい、完了。では世界をたのむよ次世代。」

彼はそう言って消えていった。





何処だか分からない森の中で私は苦痛でのた打ち回ってる。

頭の中がグチャグチャで、分からないことを無理やり理解させられて、

体がギシギシで、知らないことを無理やり馴染ませられて、

獣のような、悪魔のような、亡者のような悲鳴を上げてのた打ち回ってる。

何時間も何日も何ヶ月も何年も苦痛が続いた。

苦痛が治まってようやく自分の状況が分かった。

なぜ自分がこんな地獄の苦痛を受けたか。

自分の叶うはず筈がない唯の妄想が叶ってしまったのだ。

不老不死の成りたい。幻に成りたい。夢に成りたい。戦士に成りたい。魔法使いに成りたい。

英雄に成りたい。王に成りたい。神に成りたい。主人公に成りたい。

そんな馬鹿げた幻が一つの神によって叶えられてしまった。

あの地獄の苦痛は望みの代価の一つ(・・)

自分の望みの代価はまだ終わってない。これから支払わされるのだ。

元の自分の世界で見てた小説とかでは、こんな苦痛がある転生物語はなかった。

予想外の事はあると思ってたけどこんな地獄だとは思わなかった。

変わってしまった精神が前世に区切りをつけようと眠気が入る。

前世の記憶は残るだろうけど次に起きた時はこの世界の神として目覚めるだろう。

もう来世はない。神として生きる運命しかない。

目が・・・・閉じる。

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