表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔界大戦  作者: 八雲蒼
魔王領編
80/80

蒼い空へ

遅くなりました。

書き直していくうちにどんどんと遅く……。

そして最終話です。ありがとうございました。

「魔王も倒したことだ。ここでの俺の役割は終わった……。俺は人間界に帰るよ」


 蒼空がそう言った瞬間、二人が息を呑むのが分かった。

 王城の一室に設けられた石造りの豪華な部屋に、沈黙が訪れる。


「そう……だな。俺たちの戦いは終わったんだ。蒼空も自分の日常に戻らないと……な」

「ええ。いずれは来る事だと分かってはいたけど……やっぱりちょっと寂しいわね」


 そしていくらかの時間が過ぎた後、光牙と忍がそれぞれ口を開いた。


「だが……そこで問題がひとつ」

「どうかしたの?」

「ああ……。どうやって帰るんだ?」


 蒼空がとぼけたように言うと、二人はクスッと笑みをこぼした。


「ハハ、そうだな。どうやって帰るか、そんな話一度もしなかったな。

 魔界から人間界に行くには三つのルートがあるんだ」


 光牙が、笑いながらそう繰り出した。


「三つしかないのか?」

「ああ。それにちょっとやそっとで行けるようなところにはないんだ。魔界には人間より基本的な能力が高い奴がいっぱいいるし、簡単に行けたらあっちに迷惑がかかるだろ? それに基本的には魔界と人間界は不干渉だし。だからか何代か前の王様が変えたっていう話だ。ちなみに人間界からは割と簡単に来れるかな」

「へぇ。その三つって?」

「魔界で一番デカい活火山のマグマの中、海の底、空の上。だったかな」

「まあマグマも海も凍らせれば何とかなりそうだし、空も飛べばなんとかなるか。まあ凍らせるのはめんどくさそうだし、蒼空からのルートを行くよ」

「まあといっても宇宙に近いとこにあるんだが。とりあえずルートの手配しておくな」

「宇宙って……高すぎじゃねぇか」


 光牙はそういうとポケットから石をとりだして話しかける。

 決して変な子ではなく、魔法がかかった通信用のものだが、蒼空はその光景になれていなく若干顔を引きつらせる。


「どうした、蒼空。変な顔して」

「なんでもない。じゃあとりあえず、いろんな人にあいさつしてくるわ」


 蒼空はそう言うと部屋から出て行った。








 そして蒼空が帰る日。

 蒼空は城と、城の下の湖がすべて見渡せる丘の上に立っていた。

 湖の光が反射してきらきらと光、虫や鳥のさえずりが虚空へと吸い込まれる。


「絶好の飛行日和だな」

「そうね。いい天気だわ」


 この場にいるのは蒼空と光牙と忍の三人のみ。

 全員で見送りたいという話が持ち上がったのだが、飛び立つのはここが絶好のポイントで、この丘にたくさんの人が来るのは無理だろうと、断ったのだ。


「しっかし、たくさんの土産を渡されそうになったな。それじゃあ飛べないのに」

「そうだな。街ですれ違った人全員に渡されそうになってたもんな」

「ああ、二度と来ないって訳じゃないのに。まあしばらくは来れないだろうけど」


 そういうと、何を話せばいいのか分からなくなり、沈黙になる。

 風が吹き、頬を撫でる。しばらくその心地いい空間に時を忘れる。

 そこへ現実に戻すかのように、忍が声をかけた。


「そろそろ時間ね」

「……そうか」


 蒼空はそれだけ言うと、雪景を抜く。

 そして軽く一閃。すると氷の翼が蒼空の背中へと現れる。


「蒼空……。あの時、敵だった私を助けてくれてありがとう。その後、優しく仲間へ向かえてくれて、ありがとう」


 忍が一滴の涙を零し、そう言った。


「気にするな。忍にはあの後から世話にもなったし、助けてもらった。あのときお前を助けておいてよかったよ。美人に知り合いになれたし」

「何言ってるのよ///」


「蒼空。俺からも礼を言う。お前が居なければ俺は負けてただろう。お前のおかげで助かった。本当にありがとう」

「まあ俺は俺のやったことにけりをつけただけだし、それに仲間だろ? 気にすんな。俺もお前に助けられたし」

「ああ……。お前は最高の仲間だ」


「…………そろそろ、俺は発つよ。また魔界に遊びに来るからさ」

「絶対にまた来なさいよ!」

「ああ……。いつでも来い」


 蒼空は空へと羽ばたく。

 宙に浮き、ゆっくりと、それでいてしっかり高度を上げていく。

 

『ワァァアアアア‼‼』


 歓声が聞こえ、蒼空はそちらに目を向ける。

 王城の城下町には人が溢れかえらんとばかりに居た。その全員がこちらに顔を向け、笑顔だ。


『蒼空さん‼ あんたはこの魔界の英雄だ‼ いつでも来てくれよ!』

『うちの飯は全部タダですよ‼』


 そんな声があちこちで聞こえる。

 その温かい声に蒼空は少し感極まってしまう。

 蒼空はそちらの方向に手を振り、また光牙達の方を向いて手を振る。

 そしてまた、高度を上げた。






「行った、ね」

「ああ。そうだな。まあまた会えるさ」

「私も人間界行ってみよう……かな」

「え? お前も行くのか?」

「さあ、まだ分かんない」


 光牙と忍は空を見上げ、そう話していた。









 蒼空は、太陽の光で反射し輝く、氷の翼を羽ばたかせ、この澄み渡った青く、蒼い空へと消えていった。

 その顔に笑みを浮かべて。






-fin-

自分初の完結した作品となりました。

今読み直してみると、文章がとても稚拙な所があり、恥ずかしい気持ちにもなりました。

それに一話が結構短く、更新が遅い時が多々ありました。

ですが魔界大戦を読んでくださったみなさん、約20ヶ月でしょうかね、本当にありがとうございました。

おかげさまで完結まで持っていくことが出来ました。

レビューも頂きました。桜二冬寿先生、ありがとうございました。

お気に入り件数43件。

累計PV約55000。

たくさんのアクセス、ありがとうございました。


また新作が出来ましたら、それもよろしくお願いし案す。

プロットは何ヶ月かかけてある程度まとまっております。

また懲りずにファンタジーですけどね。魔界大戦の様な話ではないですけど。


作者名は変更する予定です。魔界大戦が終了しだい変えようと前々から思っていたので。

ですが今は八雲蒼。今後とも八雲蒼をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ