魔王戦4
更新です。
目の前にあるのは赤、紅、朱。
アンギラスの生み出した焔により、世界が赤く染まり、よく見えない。
かろうじて近く見える、光牙達の顔でさえ夕日に照らされたように赤い。
そしてその赤い炎の中心を三人は見ている事しかできない。下手に近づく事ができない。下手に攻撃を加えれば邪魔になる。それが分かっているから動けない。
アンギラスの放った炎が魔王を呑みこんだ。
そしてそこへアンギラスはアグニースを振り下ろそうと振りかぶった。
「王、後ろです‼」
光牙が叫んだ。
そして近づくと、自らが燃やされかねない死地へ飛び込む。
「光牙!? お前何を――――!?」
しかし、蒼空はアンギラスの方をみるとすべてあっとくした表情となり、急いで魔法を構築し始めた。
「氷の加護をあの者へ」
魔法陣を構築しているのと同時進行で雪景から光牙を炎から護るための氷の加護を授ける。
「忍‼ あれに攻撃をしろ‼」
「やってる‼ ……でも。風が集まらない!」
あれだけの炎を燃やしているのに酸素とかが減っていない方がおかしい。
酸素が減っているという事は空気の絶対値が減っている。
この空間は魔王が生み出した空間。常に空気が入り込むとも考えにくい。
そう一気に思考を終え、蒼空はどうすればいいのか、思考を進めた。
「どうすれば……」
今からすぐに魔法を完成させても到着は若干光牙の方が早い。
雪景で下手に攻撃しても氷が解けるだけ……。
だが風ならば、なんとかなる。だがどこから風を……。
「なんとかなるか……?」
蒼空は今書いている魔方陣を別のものに書き換え始める。
「出来た! 忍、攻撃の準備をしてくれ」
「けど、まだ攻撃に十分な風が集まっていない」
「大丈夫だ。攻撃を放つ前には終わる。
上級魔法『空結』! 忍とアンギラスのすぐ後ろまでに設定‼ その間の空気を量を二倍に設定‼
やれ!」
「よっし、行ける‼」
忍が鎌鼬を放つ。
その風の刃はアンギラスのすぐ後ろを目標点として飛んでいく。
三人が見て焦ったもの。それはひとつの黒い点だ。
真っ赤なっ焔の中にひとつある黒。
それは目立ち過ぎた。
それが放った攻撃はアンギラスの方へのびていく。
ゆっくりと死がアンギラスに迫る。
もちろんアンギラスが気づいていないはずはない。
しかし、その攻撃を喰らってでも魔王へ確実に一太刀浴びせる事を優先とし、アグニースを振りかぶって振り下ろそうとしている。
だが、黒い攻撃はアンギラスの攻撃が魔王へ届く前に、アンギラスの胸に突き刺さった。
「ぐぅ!」
アンギラスが呻く。
しかし、振り下ろしたアグニースは炎の中心への攻撃を止めようとせず、炎の中心と接触した。
ギィィィン。と甲高い音と共に炎から出てきたのはアルグリードでアグニースを受け止めている魔王だった。
そして魔王が出てきた瞬間、忍の攻撃は黒い点へと吸い込まれ当たった。
「遅かったか……」
蒼空がそう呟く。
アンギラスの手からアグニースが零れ落ち、魔王の目の前へ突き刺さった。
今日、もう一話行けたら更新します。
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