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魔界大戦  作者: 八雲蒼
魔王領編
66/80

魔王戦開始

ふう。

「魔王っ!?」


 そう言い、蒼空達四人が睨む先には長く黒い剣を持つ男が居た。

 光牙が魔王と言った事から奴は魔王なんだろうと蒼空は推測する。

 蒼空は魔王と光牙が復活した時に魔王の姿を見ているが、その時とはまた様子が違った。

 おそらくこちらが本当の姿なのだろう。

 今、魔王を含めた五人はこの城の屋上にいる。

 屋上と行ってもその広さはあまりない。

 半径十メートルほどの円形。

 そこそこには広いが戦闘するには心もとない狭さ。特に目の前の男と戦うには。

 だがあえて魔王はここに居るのだろう。

 魔王は今は蒼空達の方を全く見ず、黒い雲のかかった空を見上げている。

 しかしその紅い瞳には、なにか恐ろしいものが詰まっている。ここでなにかをするつもりだと分かるくらいにはっきりと映っている。


「よく来たな。歓迎するぞ」


 魔王の低く世界を震わせる声。

 剣は誰も抜いていない。

 ただ、今は話しているだけ。


「歓迎なら要らない。だが俺達はお前を倒す!」


「焦るな、勇者よ。焦らずとも我は逃げぬ。そんなことより我の話を聞け」


「………………何だ」


「ふむ。そうだな。貴様らはこの世界について、どう思う?」


「良い世界だ」


「なら王。貴様は?」


「儂の国じゃ。嫌いなわけがなかろう」


「なら女。貴様は?」


「いろいろ大変なこともあるけどいい世界じゃない」


「なら……貴様は?」


「別に、なんとも」


「ほう。ならなぜ我と戦う?」


「世界なんてどうでもいい。けど最初から俺は世界の為になんか戦ってない」


「自分の為というか? なら交渉しようではないか。貴様の命は救ってやる。だから我の元に付け」


「断る。俺は自分の為に戦ってるんじゃない。大切な人の為に戦っているから」


「ならそいつらの命も救ってやろう。どうだ?」


「交渉決裂だな。そのなかには光牙や忍が入ってるから。二人が戦おうとしているなら俺も二人を護るために戦う」


「交渉決裂だな。本当に。四対一では多少分が悪いがまあ良いだろう」


「…………」


「まあわれの話だ。我にはこの世界があせて見えるのだよ。この空のように黒い雲がかかっているかのようだ。我はそれを取り除きたいのだよ」


「だから世界を手に入れようとしているのか?」


 蒼空が聞く。

 他の三人とも黙って話を聞いているがそこには憎悪が見えてとれる。

 自分が世界があせて見えるだけで、他の人の世界を壊そうとする魔王にいらだちを覚えている。


「違う。そうではない」


「ならなぜ!?」


「五本の名刀の使い手と剣を同じ場所に集める必要があった」


「何のために!?」


「このあせた世界を変えるために。王は城にずっといたからな。攻めるしかない。それに光の剣の使い手が我の計画に賛同しないのは分かっていたからな。殺して、次の担い手が出てくるのを待とうとしたのだよ。勇者より愚かな奴が出てくるのを。


 だが、その必要はなくなった。ここに五人そろったのだからな」



「……⁉」


 全員が息を呑む。

 もうその計画は実行されているのか、それが気になる。

 それを感じ取ったのか。


「いや、まだ始まっていない」


 その言葉に全員がホッとする。


「だが、あと二十分ほどでその術式が完成する。ここはその術式の上なのだよ。完成条件は五本の名刀の使い手がその上に三十分いないといけないんだよ。知っているか? お前ら使い手は気づかないうちに自然とそれぞれの力を息をするように放出しているのだ。それで力が減るわけでもなんでもないし世界に影響があるわけでもないから知らないだろうが。

 それをこの上に集めて増幅させて世界に干渉する。

 それでこの世界は変わる」


 そう言われて気づいた。

 もう魔王と話を初めて十分くらい経っている。

 魔王がゆっくりしていたのはこれが狙いか。


「だが、俺達はお前を後に十分で倒せばいい」


 光牙が言った。

 それに蒼空が言う。


「その必要はない。……なぜなら、というかこの術式を壊してしまえばいいんだから」


 そう言って蒼空は雪景を地面に突き刺そうとする。


「そう来ると思っていた。『異世界送りワールドセント』」


 黒い闇が剣から放出され、それが蒼空達を呑みこんだ。

 周りを見渡しても何も変化はない。いや、雲が晴れ、いつの間にか夜になっていたのだろうか。星空が見えていた。

 

「ここは先程まで居た所と違う。いわゆる異世界の様なもの。我が創った……な。ここでリンクしているのは術式だけ。地面ごと破壊されるのはマズイが、術式だけではこの術式を壊せないようにしてあるのだ。これで計画に支障はないがお前たちは我を倒すことでしか勝利がなくなった。


 さあ。殺しあおうか」

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