魔王城
魔王城。
そこは闇の剣を持つ一人の男の城。
そこは魔族の王を務める男の城。
そこは誰もが恐怖し、畏怖する城。
百人に聞けば百人がそこへ行くのをためらう。
百人居れば九十九人がそこへたどり着くことが叶わない城。
たどり着いたところで殺されるのが目に見える。
闇が渦巻き、黒が座る。
あれほど晴れ渡っていた空がこの城の前では曇り、光など一切受け付けない。
暗闇に世界を支配され、どこを歩いているのかさえ分からない世界へ蒼空達は足を踏み入れた。
光牙の能力で辺りを照らし、歩いていた。
もちろん門番などは居たが、四人はそれをあっさり倒し中へ入った。
「静かすぎるな……」
四人は圧倒的な静けさの前に疑問を抱いていた。
光牙や王がいるから光がある。
もし蒼空は一人だったら……と考えると、今頃暗闇と静寂に心が支配されて錯乱しているんじゃないか。と思う。
まっとうな人間だったらそうだろう。
そんなところで暮らしている奴は頭がおかしすぎる。そう思う。
「静かすぎるのは、みんな戦争に行ってるからじゃないか? 王様。今は王軍と魔王軍の全面戦争中なんでしょ?」
蒼空がそこまで敬意の籠っていない声で言う。
それに光牙が、
「蒼空、王に失礼だぞ」
「よい、光牙。今は一人の軍人じゃと言っただろう。わたしの名前はアルス・アンギラス。公私の場合はマズイが、アルスでもアンギラスでもアルグでもアルグ爺さんとでもなんとでも呼べぇ!」
ガッハッハと笑う王。
少し緊張感が足りない気もするが、問題ないだろう。
「じゃあアンギラスさんと呼ばせてもらいます」
「私は一応敵のスパイだったんですけど……?」
「よいよい、今は仲間だ。脅されていたとも聞くしの。儂たちはともに命を預けあうのだ。このくらい普通じゃ」
「じゃあ私もアンギラスさん、と」
「うむ。どうした光牙。納得いかないという顔をして」
アンギラスが言うように、光牙はなとくいかないという顔をしていた。
光牙は「別に何でも……」と返事をして前を向いて歩きだした。
「それと氷堂。主は魔王を倒せなかったら死刑だ、という話を覚えておるか?」
「そりゃあ……ね」
「それはなかったことにする。ここまで戦った事でチャラじゃ。気にせずともよいぞ」
「……なんで今ここで?」
「そう言っておかぬと、自分の命が惜しいから戦っているという事になる。そうではないだろう?」
「いや……自分の身はかわいいですよ。……まあ今更逃げる事もしませんし、世界の為なら大事な人たちの為なら死んでもいいですけど」
「ん。それが聞けただけでも良い」
アンギラスがそう言った後は、みんな黙々と歩き、階段を上って行く。
階段を上る理由は、魔王城の上の方から更に濃い闇を感じると光牙が行ってからなのだが。
「やっと来ましたね。待っていましたよ。皆様」
階段を上り、あるフロアに到着した瞬間、闇から聞こえてきたのは、魔王に最も忠実で、その忠臣ぶりには蒼空達でも感心してしまうくらいの男。
四天王で最も年季が高く、強いであろう男、ルークの声だった。
今年の更新は一旦ここで置きます。すみません。
恐らく明日か明後日には更新できない状況になるので、そこまで書いてしまうと、中途半端なことになってしまうので。
ルーク戦の途中で、3,4日更新が止まる……。みたいな。
それは避けたいのでご了承願います。
次の更新は恐らく……1月3日、もしくは1月4日になるかと。
そこからは1日1更新ですので。
自分の中ではあと10話から12話くらいで終わると思います。
残りの期間もよろしくお願いします。
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