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魔界大戦  作者: 八雲蒼
魔王領編
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戦闘

蒼空VSフィシャナ&ジークです。

 フィシャナが蒼空に向かって剣を振り下ろす。

 それを蒼空は後ろに移動することで躱す。

 そこへ飛んでくる炎の下級魔法『ファイア』

 蒼空はそれを凍らせて相殺する。


「ちっ。やっかいだな」


 蒼空はそれに翻弄されつつあった。

 フィシャナとジークは相性がいい。フィシャナが前衛、ジークが後衛。

 フィシャナが攻撃している内に魔法を完成させジークが放ち、決める。

 それが二人の戦闘スタイルのようだった。

 つけ入る隙がない……。蒼空はそう思う。

 だが蒼空も負けてはいない。二対一という不利な状況下、焦ったようなそぶりを見せず、攻撃を捌く。

 そして、雪景の能力を巧みに使い、相手を攻撃する。

 そんな攻防がもう、数十分続いていた。

 両者とも一歩も譲らない。


「中々やるわね……」


「ああ、中々やるな」


 フィシャナが言い、ジークが同意する。

 中々勝負が決められない事にイラついているのだろう、フィシャナからはとてつもなく大きい殺気がずっと漏れている。

 そのおかげで蒼空も相手がどこにいるかすぐに分かるから助かっているのだが。


「そんなに簡単に倒せる相手ではなかったようね。あなた、名前は?」


「氷堂 蒼空」


 フィシャナが聞き、蒼空は隠すこともなく平然と言う。

 しかし、話しかけられても警戒は解かない。

 なぜなら、フィシャナとジークの体に強い魔力がまとわりついているのを感じているから。そしてそれがどんどん大きくなっていくから。

 だから蒼空は警戒を解かない。


「では氷堂蒼空。四天王二人相手にここまで戦えたことを称えてあげましょう」


「いや、いいよ。どうせ、今、称えてくれたところでどうせ忘れるんだろうし」


「中々聡明だな。我々魔族はお前らの事を覚えておくことはしない」


「あら、ジーク。あっさり言っちゃうのね。けどここは乗っておくのが定石じゃないかしら? この子、私たちに殺されるんだから。「わぁ~い。四天王のフィシャナ様とジークに褒めてもらった~」的な感じで、幸せを感じさせてあげてもいいんじゃないかしら?」


「そんなことで喜ぶような輩には見えないが?」


「あら、ジーク。この子のこと中々買っているのね?」


「お前こそ、いつもと違うようなこと言ってるじゃないか」


「まあ、私たち相手にここまで戦っている訳だし」


 蒼空は自分が中々買われているという事実に少し驚いていた。

 魔族の連中は自分のことを興味ないと思われていると蒼空は考えていたからだ。

 特に四天王の様な奴らはその強さゆえに、その考えが強いだろうと思っていた。

 蒼空は自分が強くなっている事を感じる。あの、闇雲に戦うという事だけで、こう強くなれた。戦闘の経験というのは大事なんだと蒼空は思った。

 しかし、強くなっている事に多少の嬉しさは覚えるが、そこまで蒼空は喜んではいない。

 蒼空が求めていたのはこの程度でもないからだ。

 蒼空が求めるのは、みんなを護れる強さ。魔王を倒せるだけの力だ。

 この程度、四天王ぐらいに戸惑っているくらいでは魔王を倒せないだろう、蒼空は思う。


「ここまで戦えたことを称して、私たち最強の技で決めてあげましょう。時間もない事だし」


「時間がない……?」


「時間はない。だけどそれは今から死に行く、お前が関与することではない。故に知らなくてもいい」


「まあ、私たちに勝てたら教えてあげてもいいけど」


 フィシャナはそう言ってカラカラ笑う。

 その時には二人に溜まっている魔力の量は、凄いことになっていた。

 木々は震え、地面が啼く。


「「共鳴」」


 すると魔力が弾ける。

 集めた魔力をどうして手放すのか、蒼空は疑問に思っていたが、すぐに知ることになる。

 ジークが動く。

 今まで、魔法しか使わなかったジーク。近接戦闘もできるのかと蒼空は思いながら、攻撃をいなす。

 そこに飛んでくる、魔法。それはフィシャナが放ったものだった。

 それに驚き、蒼空は身をねじってかろうじて躱す。

 そこにフィシャナが飛び込んできて攻撃。蒼空は躱す。躱したところにはジーク。

 そして攻撃がくる。

 誘い込まれるかのように移動していた蒼空はその攻撃を躱すこともいなすこともできない。できることは身をねじって急所を外すことだけ。

 ジークの放った槍が蒼空のわき腹へ当たり、血が出る。

 しかしそれにひるむことなく蒼空はジークの顔へ拳を叩きこんだ。

 ジークが顔をしかめ、距離を取る。

 フィシャナも少しだけ距離を取った。


「ちっ……。お前近接戦闘もできたのかよ」


 それを聞いたジークは言う。


「それは違う」


「じゃあなんだよ」


「私はそこまで戦闘スキルは高くない。魔族に生まれたからには身体能力はあるが、だがそこまでだ。強くない。

 だがここで生きるのが『共鳴』」


「そう。私たちは共鳴することにより、感覚が共有できるの。分かる? ジーク身体能力はあるが、戦闘経験がなく、技術や戦闘中の駆け引きなどが得意ではない。

 だけど、それを『共鳴』により私の感覚がジークの中でも働く。

 そしてそれは私も同じ、私は魔法が得意ではにけれど、ジークのおかげで共鳴中は魔法が上手く使えるの。

 それぞれの良い所を共有する。それが『共鳴』

 今の私たちに死角はないわ」


「そうか……。それぞれのステータスをあげる事ができるって事か。自分が戦闘が得意でなくとももう片方が得意なら同じだけになる。

 厄介だな。

 しかしジーク。戦闘スキルが高くないのによく四天王に入れたな?」


 蒼空は相手を怒らせるという作戦を取るために挑発する。

 怒って、攻撃が単調な奴ほど勝ちやすいから。

 しかし、ジークは静かに蒼空を見たまま。


「その作戦には乗らんよ。私は参謀や軍師といった方面に特化しているからな。それで選ばれたんだよ。

 それにフィシャナと組むことにより、『共鳴』によって戦闘スキルは高くなるからな」


「そゆこと。今の私にはジークと同じくらいの頭になってるから、挑発とかには乗らないわよ?」


「そうですか」


「ここまで教えたからにはなおさら殺さないとね。死ねよ」


 フィシャナがそう言い、フィシャナとジークは一斉に動きだし、蒼空の前まで移動する。

 そしてジークの槍が蒼空の頭に、フィシャナの剣が蒼空の頭めがけて振り下ろされた。


 ……そして次の瞬間には、赤い血が飛び散った。






次も更新速くなるように頑張ります。

明日か明後日です。


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