王
今日は休みなんだよね~。
やったぜ。
「今回の戦の損害はいくらほどじゃ?」
王の間。
魔界を統べる王の玉座がある場所。
そこで王は王軍元帥であるグランから報告を聞いていた。
「はっ。私が率いた軍の内、2割が戦死。3割が負傷しました。魔王軍の損害は3割が戦死。1割が負傷です」
「そうか……」
この結果は決して良くはない。
なぜか。それはまず、魔王軍は戦士一人一人の質が良い。それは魔族としての力があるからだ。
だがその数が王軍よりは多くない。
王軍は質のいい兵士は一部だ。いや、みんな質は良いが魔族と比べれば言うまでもない。
元帥であるグランをはじめ、一部の兵士はかなり強い。それも魔王軍の将レベルと戦えるほどに。
だが全体を通して見た時、王軍は魔王軍に劣る。
次に数。王軍の数は魔王軍の二倍居た。つまり魔王軍の三割と、王軍の二割では戦死者の割合が王軍の方が多い。
そして負傷者。王軍は三割。それに比べ魔王軍は1割。次の戦で戦えるものは王軍は先の戦の6割ほどだろう。
魔王軍は7割ほどが戦える。つまり戦を続ければ続けるほど王軍は追い詰められて行くことになる。
「どうしたものか……」
王は呟く。
この状況を打破するにはどうすればいいか。
それには二つの選択肢がある。
一つ目の選択肢。
それは王軍の全勢力を持って戦へ望むこと。
この選択肢でのメリット。
これは言うまでもない。先も言ったように戦を続ければ続けるほど王軍に不利な状況に陥る。
それを回避できるという事だ。
次にデメリット。
これは負けたら次どうしようもないという事だ。
負けたらそこで終わり、魔界は魔王の手に堕ちる。人間界もまた然り。
二つ目の選択肢。
それは現状維持ということだ。
戦を今まで通り続ける。これは戦力をどんどん削られるという事だ。
それのメリット。
それは……時間を稼げるということだ。
それによって勇者が魔王を討ち果たす確率を上げる、というものだ。
デメリット。
これは勇者が魔王を討ち果たさないといけないというもの。
つまり勇者がすべての命運を握るということだ。
先の大戦。そこで勇者光牙と雪景の使い手真地のタッグで魔王へ挑み敗れた。
つまりデメリットの方が大きいと言えるだろう。
「勇者一人では分が悪いか……」
王は呟く。
するとグランが口をはさんだ。
「王様。一人ではありません。彼には仲間がいますゆえ。あの二人、中々の強者でした」
「あの雪景の使い手と忍びの女か?」
「ええ」
「だが、雪景の使い手は今まで戦闘などした事のないように見えるが」
「しかし、あのものは天性のものを持っていますよ。しかし前の雪景の使い手に劣るのは確か。三人でも分は悪いかも知れませんね。だけど期待は出来ますよ」
「お主がそこまで言うか……」
王は少し考え込むように黙る。
そして何か思いついたかのように顔をあげた。
「グラン。私は年を取った」
「は?」
グランが呆けた顔になっているのも構わず王は玉座を立った。
そして玉座の前の床に刺さる、五本の名刀のひとつ、炎を司る大剣『アグニース』を引き抜いた。
「ま、まさか!?」
そういうのも気にせず王は王の間を出ようと歩く。
「お、お待ちください‼」
「なんだ?」
「王、それはダメです」
「いや、行く。我自ら決着を……つける」
王の意志の固さに折れたのか、グランは、
「私も行きます」
「ならん。お前は今後の事を託す。合図を出したら王軍の7割を出して魔王軍への進攻を命ずる。お前は王軍を勝利へ導け」
「ですがっ!」
「お前しかおらん。我は行く」
王はそう言うと王の間を出た。
その後ろ姿を見て、グランは呟く。
「分かりました、王。必ず王軍を勝利へ導きましょう」
なんか最後グダグダかな……。
修正するかも。
感想待ってます。