魔王領
魔王領編に突入。
この編はかなり短いと思います。
もうすぐ魔界大戦も大詰めですね。
例によって短ぇ………………
「じゃあ行くぞ」
「…………ん」
忍は相槌を打つ。
蒼空は少し考えるようにしてから頷く。
そして三人は歩く。
魔王領のすぐ近くまで来ていたのもあって少しの間歩くだけで魔王領に入る事ができた。
「魔王領に入った」
光牙が呟く。
そしてその変化は蒼空も感じ取っていた。
まず空気が違う。味とかの問題じゃなく、どこか張りつめた様な感じがする。
そして魔力。人間も少なからず魔力を持っているがそれに気づいていないと魔法は使えない。
魔力に気づくことが出来て初めて魔力が流れる。
少し意味が分からないが、魔力があることを知ると自分の体内にあった魔力が外に出るのだ。
それを使って魔法を行使する。だから今まで王領では魔力があまり感じれなかった。
確かに軍に居る人は使える人が多いみたいだが、普通の一般人はあまり使えないからだ。
熟練者は魔力を隠せるみたいだが……。
その魔力を明らかにたくさん感じれるのだ。この刺すような魔力。
おそらく獣の類のものだろう。
獣まで魔法のような力を使って来るとなると少なからず苦戦することになるだろう。
そこで蒼空は決めて、光牙に話しかける。
「光牙……。俺、少しの間抜けるは」
「は?」
「ここからは単独行動をさせてくれ」
「危険だ。魔王領は魔界の四分の一の大きさだが、魔界の二分の一を占める魔界唯一の国を率いる王が魔王たちに苦戦しているのは、竜王に助力を願うのは魔界の魔族の力がそれだけ強いという事なんだ。蒼空なら簡単に負けるようなことはないと思うが三人でいた方がいい」
「それでもだ。俺は強くならないとダメだ。三人なら死ぬことも怪我も負う事もまずないだろう。だけど強くなれない。お前らに頼ってばかりじゃだめだと思うんだ。そもそもこれは俺がまいた種だし……。だから頼む!」
蒼空は深く頭を下げる。
忘れている方もいるかもしれないが、魔王の封印を解いたのは蒼空。
蒼空はそれにかなり負い目を感じている。
魔界の人の命を危険にさらしたこと、人間界の人にも危険を与える可能性がある事。人間界が危ういというのは蒼空の家族も危ない。大切な人を守りたいのに少し光牙に頼りすぎていたかもしれないと蒼空は思っていた。
「光牙……。頼みを聞いてもいいんじゃないかしら」
「…………分かった。だが、絶対に遅れるなよ。魔王の城に行くんだ。あまり長い間は待つ事ができないだろうから」
「ああ。大丈夫だ」
そして蒼空は光牙と忍に向き直り、強い光をたたえた目で二人を見ながら少し笑った。
「次会う時まで壮健で」
蒼空はそう言うと森の中に消えた。