50話‼
忍って思えばずっと空気だったような気がしないでもないです。
ということを突然思い出しまして……。
50話ですが今回は 忍のターン‼
ヴァルガの襲撃から早くも数日。
三人はあまり進まず、魔王領に入らないまま数日を過ごしていた。
それは蒼空が頼んだからだ。
強くなりたい……と。そして今までも修行は続けながら来ていたが、少し足を止め、修行に専念することにしたのだ。
「そうだなぁ……。蒼空はやっぱり経験が足りないんだと思う」
忍が蒼空と光牙の修行を見ていった。
「そうだな。蒼空は少し独特の型だけど、それが悪いという事はないし問題があるとすればやはり経験だな」
「けどこればっかりはどうしようもないし、ゆっくりしてる時間はないわね」
忍がそう言うと蒼空は考えるように俯き、少ししたら顔をあげ笑顔で、
「そうか。経験か……。ははっ。…………じゃあ入るか。魔王領に」
「……そうね」
「あと数キロ歩けば魔王領に入る。けどその後は心しておけよ。魔王領ではいつ誰が襲って来るか分からねぇぞ。あっちのモンスターは凶暴だからなぁ」
「少し休憩したら行きましょうか」
忍がそう言うと、蒼空と光牙は頷く。
蒼空は素早く寝転がって刀を右手で握り、空を仰ぐ。
光牙も、適当に座れる場所を探して座る。
忍は蒼空の様子を気にしているように、見つめ光牙の方へ歩み寄る。
そして小さな声で呟いた。
「(ねぇ光牙。蒼空ってやっぱり無理してない?)」
「(そうか?)」
「(ええ。なんか無理してるようにしか見えない物)」
「(そう言われればそうかもな……)」
「(ええ。色々気にしてるのかも。だって白竜にもなんか言われてたし、ヴァルガとの戦いでも力の差を感じていたみたいだもの)」
「(蒼空の様子には目を掛けるべきだな)」
「(そうね)」
そう言い、二人は蒼空の様子を見る。
蒼空は寝転がったままの体勢で、空を凝視していた。
ヴァルガの追跡を恐れ、ここは森の中なのだが少し拓けた場所で訓練をしていたため上には木がない。
周りを木に囲まれ、その間から見ている空は日が落ち始める時間と会って少し暗い。
だが、雲は一つもなく、もう一番星が見え始めていた。
「ねぇ蒼空。蒼空って時々空を見上げる時があるけどやっぱり好きなの?」
「それって駄洒落? 寒いよ」
「違うわよ」
「ははっ。まぁ空は好きだぜ? まぁこの名前だからな。興味を持ったのもこの名前が原因だが空は良い。どこまでも続いて終わりがないし、いろんな表情を持ってるし、なにより綺麗だ。なんか見てると落ち着くし。すべての人が家族が友人がお前らが同じ空の下に居るのが分かるし」
そう言う蒼空の顔は穏やかで、何か惹きつけるものがあった。
その顔を忍はボーっと見つめてしまう。
なにか自分の中の感情が変わっているような気がして顔を振る。
「(うわ……。なんかちょっとカッコいいかも……)」
そんな様子の忍をよそに、蒼空はずっと上を見続ける。
その眼には、魔王との戦いへのためか、決意の色が見えていた。
無理やりだな……おい。
自分の文才のなさに絶望してますorz
というわけで50話でした。
次話から魔王領編です。
感想待ってます!