戦闘終了
お久しぶりです。
かなり遅れました。
では46話です。
今の戦闘状況は若干、光牙と忍の方が有利だった。
徐々に押し始め、白龍はじりじりと後ろに下がって行っている。
だが、白竜は二人がかりでもすぐには倒せず、かなり光牙と忍も苦戦を強いられていた。
「ファイア」
蒼空は魔法を唱える。
その魔法は三人が戦っている方へと飛んでいく。
だが、
「やはりあなたは役立たずなようだ。どこを狙っているのですか?」
白竜は一歩も動いていないが、魔法は白竜から逸れ、白竜の後ろへ向かう。
だが、蒼空は少し笑みを浮かべる。
「狙いはそれじゃねぇ……。『灼熱の炎よ。我に仇名す者の背で、壁となれ!』」
蒼空が唱えると白竜の背後で先程撃った『ファイア』が止まり、上下左右に分かれ、壁になる。
それで白竜は後ろへと下がれないようになる。
「なっ!? これはなんだ!? 魔法では……」
そこで光牙が、ニヤッと笑い、
「そんな事はいい。誰が役に立たないって?」
そう言い、剣を縦に振るう。
白竜はそれを受け損ない、切り裂かれる。
血が飛ぶ。
だが、白竜はそれを気にすることなく、光牙に蹴りを入れた。
「私は負けられない。竜王様のために、竜族の為に、すべての民のために、ここであなた達を止める必要がある」
そう言う。
光牙はそれに、クエスチョンマークを浮かべながら訪ねる。
「俺達はそのために魔王を倒しに行くんだ」
それに、白竜は斬られたところを手で触れながら、言う。
「勇者、お前たちはここで死んではいけない存在だ。私が役立たずと言った少年も後ろの彼女も。だがお前たちは力が足りていない。魔王を倒す前に死んでしまう。魔王を倒すにはあなた達が生きていなければならない。だから……ここで止め、強くなるまでは前へ進ませるわけには……いかないんだ」
そこで、白竜は倒れる。
それに光牙は、
「まぁ確かに力は足りていないかもしれない。俺もお前と戦う前にこの剣が光り、力を貰っていなければ黒竜に負けてお前と戦ってもいなかっただろう。だが、俺達もここで止まるわけにはいかないんだ。ここで俺達が止まると魔王に領地を広げられる。そうすれば手を出せなくなってしまう。だから止まるわけにはいかない。だから頼む……。俺達に力を貸してくれ! 俺達が魔王の所まで行くための道を作ってくれ。俺達が魔王を倒すために力を貸してくれ!」
そう、倒れた白竜に手を差し伸べながら言う。
白竜は少し驚いたような顔でまじまじと光牙を見てから少し笑みを浮かべ、光牙の手を取る。
「ふっ……。私のの負けのようですね……。ですが決めるのは竜王様です」
「そうだな……」
光牙は白竜の手を取り、立ち上がらせながら言う。
「蒼空! みんなの手当てを……頼……む……」
光牙を包んでいた光が消える。
そして、蒼空にそう言った後、倒れた。
それに蒼空は『光牙!』と叫びながら走る。
忍や白竜が驚いたような顔で光牙を見ている。
そこに蒼空はたどり着き、光牙の横に座る。
「ひどい傷だ……。やっぱり無理してたんだ……」
そう言い、光牙を仰向けにする。
傷を良く見えるようにした後、手をかざし、
「ヴァンダー」
と呟く。
白い光が漏れ、光牙の傷を癒していく。
だが、すこし傷を塞いだだけでまだ傷は残っていて、血も流れている。
「蒼空! まだ傷が……」
忍が蒼空に言う。
それに蒼空は、
「大丈夫。これは応急処置。上級魔法は唱えるのに時間が掛かるから……」
そして指を光牙の傷に手を入れる。
光牙は気絶しているが苦痛に顔をしかめる。
そして蒼空は傷から指を抜き、その血で光牙を中心として魔方陣を描く。
「魔方陣の外へ行ってくれ」
蒼空は魔方陣を描きながら忍たちに言う。
忍は白竜に肩を貸しながら言われた通りにする。
魔法陣を書き終わった蒼空は少し溜息を吐き、魔法を唱える。
「汝、神の癒しを受けん。完全なる治癒」
すると、魔方陣が光る。
その光に包まれ、光牙の傷が塞がって行く。
その後、光が消えると傷が塞がった光牙が寝ていた。
血は止まり、傷は完全に塞がっている。
「成功だな……」
ホッとしたように蒼空は呟く。
そして指をくるんと回転させる。
すると、赤竜、蒼竜を縛っていた縄が解かれる。
「皆の治療をしないと……」
蒼空はそう呟き、治療を始めた。
治療を始めた蒼空の心は強敵との戦闘に勝ったという実感ともう一つ、
――――俺は弱い。だから強くなってやる。この世界を救えるだけの力を……手に入れる!
この決意に埋め尽くされていた。
やっとVS4竜編が終わりました。
もう少し早く終わらせる予定でしたがこんなにかかってしまいました。
更新はもう少し早くやって行きたいと思います。
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