勝機
光牙の話ですね。
「おらぁ!」
大きなバトルアックスが振り下ろされる。
それに少し反応は遅れたが躱す。
「ちぃっ。あたらねぇな……。だが……反応は鈍ってきてる。どうしたぁ? もうばてたか?」
黒竜の挑発するような問いに光牙はこう答える。
「全然大丈夫だよ。硬さだけが取り柄の奴を倒すぐらいは……」
「言うねぇ」
そう言いバトルアックスを振り回す。
それをまた光牙は躱す。
しかしあの重そうな物を軽々と振り回す様子から力もあるようだ。
という事は一発でももろに当たると危ない。
やばいなぁ……
光牙は本格的に危ないと感じてきた。
自分の体力や能力にも限りがある。
それに一発でもヤバイとなると自分の取れる選択肢も狭められる。
光牙は黒竜と距離を取り、睨めつけた。
すると黒竜はバトルアックスを地面に突き立てこっちを見ている。
ん―――?
その様子はあきらかにおかしく感じた。
普通に余裕ぶっこいてこっちの様子を伺っている、そういう風にも見える。
だが光牙は違和感を感じていた。
なぜなら黒竜はバトルアックスを話す時やこっちを見ているだけの時もずっと肩に置いていた。
だがそれを今は杖のように地面に置いてこっちを見ている。
そこで光牙は薄く笑った。
「なに笑ってやがる」
「なぁに……他愛もない事だよ。確信がないのでね」
次の瞬間、光牙は黒竜の懐に移動していた。
「では確認しようかな」
「なっ―――!?」
あまりの早い動きに黒竜はついて行けなく、間抜けな声を上げる。
何の準備もしていない黒竜の胸の所をエクスカリバーで斬りつける。
ザシュッ
そんな音がして血が飛ぶ。
すぐに光牙は離れる。
「やっぱりか……」
「く……しくじったか」
「ああ。まぁこれが全部あってるかは知らねぇが攻撃が当たることがはっきりした」
そう攻撃が当たった。
今まではすべて弾かれていた攻撃が。
推測だが黒竜は斬られる部分、もしくは体全体に気みたいなのを流し込んでその部分を硬化させていたのだろう。
いやそれだけでは完全には防げていなかっただろう。普段から鍛え上げた肉体や竜族の特性みたいなのもあって攻撃が防がれていたのだ。
それにあの不自然に思った様子。あれは休憩していたようにも見えた。
まぁあの重そうなバトルアックスを振り回したりしているのだ、自分より体力の消耗は早いだろう。
とにかく休憩している時や油断していて気を送り込むタイミングがずれたならそこに攻撃があたる。
「けどなぁ……」
そう声を上げる。
これは本当に持久戦になりそうだなぁと思う。
体力が先に無くなった方が負ける。
だが光牙は嬉しそうに少し笑う。
自分に勝機が出てきた。
それに分かったこともある。
完全な力なんてないということだ。
それは自分たちが倒さないといけない敵、魔王にも当てはまるだろう。
前に戦った時もありえないくらい強かったがその上をいけばいい。
そこで光牙は黒竜に向かって剣を構え呟いた。
「とりあえず先に倒さないといけないな。こいつぐらい簡単に倒さないと……」
そして黒竜に向かって行った。
最後の所で魔王の話を入れたのは不適切でしたかね……
まぁいいと思ったんだけども……
他の人との戦闘中に考えてますからね。 まぁ変だと思われた方、寛大な心で見逃してくだされ。
では感想等待ってます。