謁見の間にて
36話です。
城の中は馬鹿でかいという印象を真っ先に受けた。
真紅の鎧、槍を着た男赤竜が蒼空達の前を歩いていた。
「今から竜王様の所へ行ってお伺いを立ててくるから待っていてください」
そう言いある部屋に通された。
赤竜が出て行くのを見て蒼空は言った。
「本当に大丈夫か?」
「さぁ? まぁ大丈夫だと思うけど」
「もしかしたら戦わされるかもよ?強い奴しか認めないんだろ?」
「可能性はあるな……」
「そしたら勝てるか?」
「頑張るしかない」
そう駄弁りながら待つ事数十分。ドアが空き赤竜が入ってきた。
「竜王様がお会いになるようです。謁見の間にご案内致しますので私の後へと続いて下さい」
「来たな……」
三人は立ちあがり赤竜の後に続き、部屋を出た。
キレイに掃除され、装飾された廊下や階段を上り一際大きな扉の前で止まった。
「くれぐれも失礼のないように……」
そうくぎを刺され大きな扉が音を立て開いていく。
まず目に飛び込んでくるのは自分たちが通る道だけを開けて横にズラッと並ぶ兵士だ。
兵士の着ている鎧には色が四種類ある。
赤、蒼、白、黒の鎧だ。
だが共通点が一つ両肩の所に竜族の紋章であるだろう竜の絵が付いている事だ。
その次にその奥を見た時に目に入る竜王だと思われる人物が玉座に座っている姿だ。
蒼空達は赤竜の後に続き奥へと進んでいく。
玉座に座る竜王の少し前で止まると三人の蒼、白、黒の鎧を着た兵士が目に入る。
自分たちの方から見て竜王の右に蒼、黒の鎧を着た兵士。
左に白の鎧を着た兵士がたっている。
赤竜は蒼空達の前を離れ、竜王の左の方へ行きそこに立った。
おそらく竜王の横にいるのは全員四竜だろう。
蒼空達に緊張した雰囲気が立ち込めていると竜王が口を開いた。
「ようこそ。竜族の城へ」
そこで三人はお辞儀をする。
「まずは我が竜族の戦士が君達に働いた無礼を誤っておこう」
全くそう思ってないような口ぶりで言ってきた。
「で話があるようだが何かな?」
そこで威厳のある口調になる。
「我が主、王からの伝言です」
「それは王軍の下に付け…という話かな?」
「それは少し違います。共に魔王と戦ってほしいという事です」
「同じような物だ……返事は『NO』だ」
「…!! なぜでしょうか」
「我らは人の下には付かない。それに弱い者の頼みも聞かぬ。それに理由もない、魔王は我らの領土を攻めて来ていない。我等の力にビビッての」
「だから下に着くのではない、共に戦いましょうと言っています。それに確かにあなた達の力は強大で簡単に攻めるなんて事はできません。だが我らがもし倒され魔王の力が強大になれば…時間の問題です」
「ふむ……一理あるな」
そこで光牙はさっきまでとは違う、強い声で言った。
「それに…王は弱くない!!」
「それはどうかな…それに王軍には我等竜族のように強い兵士がいるのか?」
光牙が次の言葉を言う前に竜王はあざ笑うように言った。
「我は強い者は好きだ。君達が竜族最強の戦士『四竜』に勝てば竜族は王軍に力を貸し魔王を倒すと誓おう」
そこで竜王の横にいる四竜の一人、白い鎧を着ているから多分白竜だと思われる人物が竜王に言った。
「竜王様。何を考えていらっしゃるのですか」
「勇者殿が言った、力を付けられてからでは竜族であろうと負けるかもしれぬ。それに魔王を倒しに行く、勇者一行が魔王を倒せる力を持っているなら一緒に戦った方が我等にも犠牲が少なくて済む。もし魔王を倒すだけの力がなければ王軍との戦いに弱った魔王軍を竜族の全精力を持って叩き潰せばいい。つまりここで勇者一行の力を見るのが最重要だ」
「そうですが……」
「異論は認めぬ。竜族の戦士たちよ。戦う場所を開けておくれ」
すると兵士が全員一気に横に掃けた。
「勇者殿、やるかの?」
「…はい。他に選択肢はないようですし」
「よろしい。四竜よ前に出よ」
赤、蒼、白、黒の鎧を着た戦士が前に出る。
そのうちの一人、黒竜が言った。
「我らが戦っている時、竜王様の護衛を誰かしてくれ」
すると何人かの兵士が走って竜王の所へ行った。
「四竜よ。手加減は許さぬ。勇者殿たちもじゃ」
『分かりました』
四竜、光牙が口を揃え返事をした。
「おい忍。俺達も戦うのか…?」
「そういう感じだね」
「これで負けたらどうなる?」
「王軍が苦しくなってもしかしたら負けるかも……」
「って事は負けられない?」
「そうだね」
「まぁしょうがないか……」
小声で話し合った後二人も声を揃え返事をした。
『分かりました』
「よろしい。では始めなさい」
そして魔界の運命を背負った戦いが始まった。
蒼空、光牙、忍VS四竜の戦いを次話で書きます。
魔法を覚えてからのちゃんとした初戦闘なのでそれをふんだんに使った勝負が書ければいいなと思ってますがどうなるかは分かりません。
感想等お待ちしております。