罠
魔界大戦10話です。
図書館の中もかなり広かった。
受付の人も何人もいたし、ぱっとみでもかなりの量の本があると分かる。
「すみません。これを……」
そういって何か手紙?を受付のひとに渡した。
「はい。少々お待ちを……」
受付の女性は言葉を失ったかのように俺には見えたような気がした。
その手紙をとり後ろをみた瞬間にその女性は、
「これはわたしには……今から館長の方に連絡するので少々お待ちを……」
見間違いではなかったようだ。少し声が震えている。何か恐ろしいものでも見たか……。
「今から館長室にご案内いたします。付いてきてください」
そう言ってその女性は俺達の前を歩き出した。
館長室までの道のりは長かった。廊下は異様に広く図書館のかなり奥深くまで歩いた。
エレベーターにも乗り何階か上にいった。
そしてようやく着いた。
「この奥が館長室でございます。わたしが案内できるのはここまででございます」
「へ?何で?奥って言われてもよく分かんないし案内して貰わないと」
「館長にそう言われておりますし、あと部屋はあと1つしかないので分かりますよ」
「では気おつけてください」
そう言い女性は踵を返し帰っていった。
「気おつけて?」
「まあいい行くぞ蒼空」
そして光牙が足を出して1歩目進んだ瞬間―――
矢が飛んできた……。
「あ、危ねぇ!!」
光牙はぎりぎりでよけた。
「おい大丈夫か?」
「ああ。けど・・・」
「セキュリティーみたいなのが切られてないな」
光牙が途中まで言ったところで蒼空が引き継いだ。
「帰るか?光牙」
「いや。王が大事なものと言ったんだから大事なものなんだろうから危険を冒してでも行くべきだな」
「けどあの受付の人は話を通してるはずだろ、てかお前あの人に手紙みたいなの渡してたよな。あれ何だ?」
「あれは王にここについたら受付の人に渡すように言われていた王からの手紙だったんだが……王からもこれを渡せばすぐに通るって話だったんだがな」
「ならなおさら意味わかんねぇぞ。俺達が狙われる理由がない。それか王がそうするように命……」
そこまで言ったところで俺は途中で話をきられた。
「そんなことはない!!」
光牙は叫んだ。
そうだ王は光牙の親みたいなもの光牙は王を信頼している。
その王が自分たちを危険な目に自らさせると思いたくないのだ。
「まぁいい行けば分かるさ」
「そうだな・・・」
「じゃあ行くぞ光牙」
そう言うと蒼空は雪景を構えた。
それに続き光牙もエクスカリバーを構えた。
そして蒼空達は前に一歩ずつ進みだした。
まず最初の罠は矢や剣がいろんな所から飛んでくるという物だった。
最初の方は多くて五本くらいの矢や剣が飛んでくるだけだったから一つずつ打ち落としていった。
だが進むに連れその本数は増えていって一つずつ対処するのは難しくなっていった。
二人は襲い来る矢や剣に対処しながらこう話していた。
「光牙、これどうする?ここまではどうにかなったが、本格的にやばぇぞ」
「ああ。それでも進むしか……」
うっ。 という呻き声と共に光牙が腹を押さえた。
その腹には矢が刺さっていた。
「光牙、大丈夫か?」
「大丈夫だ。それより自分の心配しろ、後ろ来るぞ」
うおっ、そう言って後ろを振り返り剣を打ち落とした。
すると突然、矢や剣が飛んでこなくなった。
「何だ?終わった?」
だがまだまだ廊下は続いているし部屋もない。
大丈夫か?――― そう言い俺は光牙に近づいていった。
「大丈夫だ」
そう言い光牙は、ははっと俺に笑いかけた。
「光牙、その矢抜かなくていいのか?」
「抜いたら出血が酷くなるからな……」
「けどお前、顔色悪くなってんぞ。休んでるか?今攻撃は止んでるからここは大丈夫だと思うぞ」
「いや。いい進むぞ」
「けど……」
そこまで言ったところで遮られた。
「大丈夫だって」
「でも……よし!!」
「何がよし……。なんだ?」
「もしかしたら失敗するかもだけど……今からこの矢、抜くぞ!」
「だめだって、言ったろ?抜くと出血が酷くなるって」
「ああ聞いた。けど考えがある」
「考え?」
「ああ」
すると光牙は俺の目を見てこう言った。
「分かった。信じてみようかな。で、どうするんだ?」
「抜いた後、氷で一旦止血する」
「OK」
「じゃあ光牙、悪いけど自分で抜いてくんねぇ?」
「いいけど、何で?」
「集中しないとできそうにないから」
「分かった」
そう言うと光牙は矢に手をおいた。
それを見て俺も雪景を構え集中した。
すると蒼空の周りに冷気が漂い始めた。
「準備はいいか?蒼空」
蒼空は少し頷くと光牙は矢を引き抜いた。
うっ、という呻き声が聞こえたが気にせず光牙の傷を狙って氷を出した。
その氷は狙い通りあたりピキピキという音と共に光牙の傷を覆った。
「ふぅ。よかった成功して」
「すげぇ。ありがとう蒼空」
「どういたしまして」
「けど、どうしてそんな事思いついたんだ?」
「マンガで読んでな。できるか分かんなかったけどやる価値はあると思ったんだ」
「マンガ? マンガって何だ?」
「人間界の物なんだけど・・・説明しにくいな・・・よしじゃあ全部終わったら一緒に人間界に行こう。そしたら見せてあげるよ」
「それは楽しみだな」
「じゃあ行きますか」
そう言い二人は剣を構え前を見据えた。
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