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聖衣の召喚魔法剣士  作者: KAZUDONA


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218  月下の休息と乙女達の語らい

 エーヴァ温泉街、月冠温泉宿の露天風呂。


 岩で作られた湯船に、乳白色の湯が静かに湛えられている。ひんやりとした夜風が立ち上る湯気を揺らし、時折、山に生い茂る木々がざわざわと鳴っていた。


 サティアの柔らかい胸の間に顔を埋め、心地良い温もりに身を委ねて居眠りしていたカリナだったが、ふいに意識が浮上し、身体をビクッと跳ねさせた。


「……っ、危ない。寝落ちするところだった」


 カリナはぼんやりとした頭を振り、状況を確認した。自分を抱き締めているサティアを見上げると、彼女もまた首をこくりと動かし、うとうとと船を漕いでいる。その穏やかな寝顔は慈愛に満ちているが、このままでは二人して湯船に沈んでしまいかねない。


「おい、サティア。起きろ」


 カリナはサティアの火照った頬を軽くぺちぺちと指先で叩いた。すると、サティアは長い睫毛を震わせ、ゆっくりと茶褐色の瞳を開いた。


「あら……。ふふ、すみません。あまりにも気持ちが良くて、つい眠ってしまいました……」


 サティアはそう言って、両腕を頭の上に伸ばして大きな伸びをした。その拍子に、彼女の代名詞とも言える豊かな巨乳がぶるんと大きく震え、カリナの頬を柔らかく刺激する。至近距離で放たれた肉感的な衝撃に、カリナは一瞬言葉を失った。


「そろそろ出ようか。二人して寝たら、今度こそここで溺れてしまうからな」


「そうですね、出ましょうか。身体の芯まで温まりましたし、これ以上浸かっていると湯当たりしてしまいそうです」


 サティアは微笑むと、お湯の中でカリナの身体をひょいと持ち上げた。


「あ、おい、自分で歩けるから……」


「いいえ、今は私に任せて下さい。湯上がりでふらつくといけませんから」


 サティアはカリナの抗議を優しく聞き流し、お姫様抱っこの体勢で、濡れた岩場を悠々と歩いて湯から上がった。そのまま脱衣所へと戻り、カリナを涼み台の上に降ろす。



 ◆◆◆



 脱衣所に入ると、サティアは備え付けの大きなバスタオルを手に取った。


「カリナさん、じっとしていて下さいね」


 サティアは膝をつき、まずはカリナの燃えるような赤髪を包み込むようにして水分を拭き取っていく。続いて、細い首筋から肩、小さな胸元、そしてしなやかな背中へとタオルを滑らせた。カリナはされるがままになりながらも、その丁寧な手つきにむず痒さを感じ、わずかに身をよじった。


「じゃあ、次は私の番だな。お前もじっとしてろよ」


 カリナはサティアの手からタオルを受け取ると、彼女の豊満な肢体に向き合った。湯上がりでほんのり桜色に染まったサティアの白い肌は、濡れて宝石のように輝き、妖艶な色香を放っている。カリナはまず、背中に流れる長い黒髪を拭き、そこからサティアの迫力ある身体にタオルを当てた。


 ずっしりとした重みを感じる巨乳の下、くびれた腰、そして肉感的なお尻や太い脚。隅々まで丁寧に拭いていくうちに、カリナの手のひらにはサティアの肌の熱と柔らかさが伝わってくる。これほど美しい女性が、自分に対して無防備に全てを委ねている事実に、カリナは改めて言いようのない感情を抱いた。


「……ふぅ、これでよし。拭いてくれてありがとうな、サティア」


「いいえ、私の方こそ。カリナさんに拭いてもらえるなんて、とても贅沢な気分でした」


 二人は軽く礼を言い合うと、アイテムボックスから用意していた下着を手に取った。カリナは、清楚なグレーのレースがあしらわれたショーツを出して穿いた。一方のサティアは、肌の白さを際立たせる紺色のセクシーなショーツを身に着けた。


 脱衣所には宿が用意した浴衣が並んでいた。


「今夜はこれを着て寝ようかな。わざわざ着替えるのも面倒だし」


 カリナはそう言い、ブラジャーは着けずにそのまま浴衣を羽織った。サティアがカリナの背後に回り、手際よく帯を締めてやる。


「はい、とても可愛らしいですよ」


「ありがと。……お前も、早く着ろよ」


 サティアもまた、胸がしっかりとおさまる特大サイズの浴衣を羽織った。今度はカリナがサティアの前に回り、彼女のウエストに帯を回して結んでやった。サティアは着心地を確かめるように、浴衣の胸元をぱたぱたと手で仰いだ。


「こういう服もいいですね。締め付けがなくて、胸がとても楽です」


 その拍子に、合わせ目が緩み、零れ落ちそうな巨乳が顔を覗かせる。


「おい、はしたないぞ。……そういうのは部屋に戻ってからにしろよな」


 カリナは苦笑しながら、サティアが差し出した手を自然と握った。そのまま二人は、予約していた部屋へと向かった。



 ◆◆◆



 部屋の引き戸を開けると、イ草の香りが鼻をくすぐった。

 

 内部は完全な和室で、畳が美しく敷き詰められている。入り口で履物を脱ぎ、広い畳の部屋へと足を踏み入れると、中央には既に二つの大きな布団が並べて敷かれていた。朱塗りの小さな机や、壁に掛けられた墨絵、床の間に飾られた生け花が、和の情緒をより一層引き立てている。


「部屋も和の雰囲気でいいな。なんだか、魂が落ち着く気がするよ」


 カリナは畳の感触を足の裏で確かめながら、安堵のため息をついた。


「はい。やはり日本人には、こういう空間が一番落ち着くものですね」


 サティアも満足気に頷いた。部屋の隅では、先に上がっていたケット・シー隊員が、既に畳の上で丸くなって幸せそうな寝息を立てていた。


 部屋は温泉街に面した窓際が広縁になっており、カーテンを開けると、外には風情ある夜景が広がっていた。魔法ランプの灯りが石畳を照らし、立ち昇る湯気が幻想的な霞となって街を包み込んでいる。


 カリナは窓際の木製の椅子に腰掛け、ふぅ、と深く息を吐いた。


「この風景も、日本の温泉街みたいで風情があっていいものだな」


 サティアも向かいの椅子に腰掛け、同じように窓の外を眺めた。


「本当ですね。日本にいるみたいです。……でもカリナさんは、幼少期は海外にいたんですよね? やはり、普通の中世風の街並みも懐かしい気持ちになるんじゃないですか?」


「まあ、そうだな」


 カリナは遠い記憶を辿るように、目を細めた。


「VAOは色んな国の雰囲気を味わえるのがいいよな。……まあでも、ヨーロッパにいたのは中学生くらいまでだしな。あっちの飯は、ぶっちゃけ日本人の口には合わないというか、美味いもんじゃない。この世界の方が、同じ洋食でも格段に美味いよ」


 カリナは皮肉っぽく笑いながら、過去を懐かしむように語った。


「そうなんですね。私はいつか海外に行ってみたいです。現実ではまだ叶っていませんから」


「そうだな。エデンのみんなで旅行に行くのもいいかもな。ヨーロッパなら大概の国は行ってるから、私が案内してやるよ」


「ふふ、さすが帰国子女ですね。英語もペラペラでしょうから、頼もしいです」


 サティアが眩しそうな瞳でカリナを見つめ、微笑んだ。


「まあな、でも結構忘れたよ。……この世界は日本語が通じる世界だから良かった。これが本当の異世界で、言葉も通じないような場所だったら、他国に行くのも命がけだっただろうしな」


「そうですね。VAOは国産のVRMMOですから、その点は私達にとって幸いでしたね」


 サティアの声は穏やかだったが、カリナの心には少しずつ、先日テラスで話した『世界の真実』が影を落とし始めていた。


 窓の外に広がる、これほどまでに現実感のある景色。ここで笑い、泣き、生きている元NPC達。それら全てが、天界の神に敵対する存在が創り出した虚構であり、時間の加速の中に閉じ込められた魂の実験場であるという事実。


 これほどの世界を創り、自在に操る存在とは一体何者なのだろうか。カリナはふと暗い考えに沈みそうになるが、自分達にできることは決まっている。悪魔を駆逐し、行方不明のエヴリーヌを見つけ出し、そして仲間達全員で現実世界へと戻ることだ。


「カリナさん、難しい顔をしていますよ」


 サティアが椅子から立ち上がり、カリナの後ろへと回り込んだ。背後から優しくカリナを抱き締め、その豊かな胸の弾力でカリナの背中を包み込む。


「先のことを考えていたのでしょう? すぐにどうにかできることじゃありませんから、考え過ぎてはダメですよ」


 サティアの声には慈愛がこもっていた。彼女の温もりは、冷たくなりかけていたカリナの思考を優しく解きほぐしていく。


「……ああ、そうだな。焦ってもどうしようもない。今は旅の疲れをしっかり癒して、この温泉街を楽しもう」


 カリナは自分の肩に回されたサティアの柔らかい腕を掴み、その温かさを噛み締めた。虚構であろうと、この瞬間、この手にある温もりだけは真実だと信じたかった。


「そろそろ寝ましょうか。しっかり眠って、明日に備えましょう」


 サティアはそう言うと、カリナを促して布団へと向かった。自分の布団の端をめくり、カリナを招き入れる。


「ああ。……今夜も、お前に甘えさせてもらうよ」


 カリナは抵抗することなく、サティアの布団へと潜り込んだ。すぐにサティアの柔らかく温かい腕が伸びてきて、カリナの身体を自分の方へと引き寄せる。カリナは吸い寄せられるように、浴衣の胸元が大きくはだけたサティアの胸へと顔を寄せた。


 横になったことで、浴衣の襟元がさらに緩み、サティアの豊満な巨乳がカリナの目の前に曝け出される。そこには、マシュマロのように白く、柔らかい絶景が広がっていた。カリナは深く息を吐き、その芳醇な香りに包まれながら、サティアの胸に顔を埋めた。


「カリナさん……、おやすみなさい」


 サティアはカリナを逃がさないように強く抱き締めた。心臓の鼓動が重なり合い、一定のリズムを刻み始める。サティアの温もりと、規則正しい鼓動。そして乳白色の湯の余韻が、カリナを深い眠りへと誘う。


 やがて、カリナからは小さな、あどけない寝息が漏れ始めた。


 サティアはその寝顔を見つめ、愛おしげにその髪を撫でた。


「はあ……本当に、愛おしいです。カリナさんの少女としての身体の精神の不安定さも、性の葛藤も、全て私が受け止めてあげますからね……」


 サティアは独り言のように囁くと、カリナの柔らかな頬に優しく口づけを落とした。そして自分も目を閉じ、カリナを抱き締めたまま、穏やかな眠りへと落ちていった。


 二人の乙女達の安息を祝うように、窓の外では月が静かに輝いている。エーヴァ温泉宿の長閑な夜は、こうして優しく更けていくのだった。

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