217 湯けむり乙女の肌と甘い秘め事
『月冠温泉宿』の長い廊下を、カリナとサティアは並んで歩いていた。
磨き上げられた木の床、障子越しに漏れる柔らかな灯り、所々に活けられた野花。そのどれもが、現実世界の日本の温泉旅館を彷彿とさせ、カリナの胸に懐かしさを呼び起こす。
「いい雰囲気だな。まるで日本に帰ってきたみたいだ」
「ええ、とても落ち着きますね」
サティアも同意し、ふわりと微笑んだ。
廊下の突き当たりにある、女湯の入り口に到着した。大きな赤い暖簾をくぐり、引き戸をガラガラと開ける。
ムワッとした熱気と共に、濃厚な硫黄の匂いが鼻腔をくすぐった。脱衣所は広々としており、高い天井には太い梁が渡されている。籐の籠が並ぶ棚や、レトロな体重計、涼み台などが置かれ、ここでも和の情緒が徹底されていた。
「おお、さすがお勧めの大浴場だけあって広いな。この和の風情もいい」
カリナは感心して周囲を見回した。
「ええ、きっとカグラさんは喜ぶでしょうね。彼女の第二の故郷のヨルシカに似ていますから」
サティアがカグラの顔を思い浮かべて微笑む。
脱衣所には、既に数人の先客がいた。湯上がりの肌をタオルで拭く若い女性や、楽しそうに談笑する二人組など、皆リラックスした様子だ。
カリナは反射的に視線を逸らした。壁の方を向き、なるべく彼女達の方を見ないように気を配りながら、衣装に手を掛ける。
「ふふ、その身体になってもう結構経つのに、他の女性の肌を見ないようにするのはカリナさんらしいですね」
サティアが背後からくすりと笑い、カリナのローブの紐を解き始めた。
「まあ、そりゃ意味もなく見るのは失礼だろ。見た目は女性だとしても、中身は違うんだし」
カリナは少しバツが悪そうに答えた。サティアの手際よい手つきに身を任せ、幾重にも重なった衣装を一枚ずつ脱いでいく。ローブ、ワンピース、そしてニーハイ。最後に残ったのは、清楚な薄緑色のブラジャーと、お揃いの薄緑色のショーツだけだ。
「はい、脱げましたよ」
サティアがブラジャーのホックを外し、ショーツを下ろす。雪のように白い肌と、しなやかな曲線を描く肢体が露わになった。恥じらいを含んだカリナの裸体は、同性の目から見ても息を呑むほど美しい。
「ありがとう。……じゃあ、次は私の番だな」
今度はカリナがサティアに向き直った。淡いピンクの法衣を脱がせ、スカートのファスナーを下ろす。現れたのは、成熟した女性の豊満な肉体だ。
セクシーな黒レースのブラジャーが、その重量感ある胸を支えている。そして下半身も、お揃いの黒レースのショーツが妖艶に腰を包んでいる。カリナが背中に手を回し、ブラのホックを外すと、ボロンッという効果音が聞こえそうなほどの勢いで、二つの巨大な果実が解放された。
「ふぅ、脱ぐと楽ですね」
サティアが小さく息を吐くと、その振動に合わせて巨乳がたゆん、と揺れた。続いて、黒レースのショーツを脱がせる。
くびれたウエストから、なだらかに広がるヒップライン、そして太ももの肉感的な厚み。サティアの裸体は、まさに女神の彫像のような迫力と美しさを兼ね備えていた。
「相変わらずでかいな……。シャオリン達も驚いていたもんな」
カリナは目の前で揺れる暴力的なまでの膨らみを見上げ、呆れたように呟いた。
「ふふ、そうですね。でも魔人族のシャオリンさんは、まだこれから成長するでしょうね」
サティアは余裕の笑みを浮かべた。
「エルフはスレンダーなので、ディードさんやテレジアさんはそこまではならないでしょうけど」
彼女はカリナの手を取り、悪戯っぽく微笑んだ。
「さあ、温泉を楽しみましょう」
二人はタオルを手に、浴室へと足を踏み入れた。
◆◆◆
浴室は圧巻の広さだった。
高い天井には湯気抜きの窓があり、壁一面にはガラス張りの窓があり、外の日本庭園風の景色が見える。中央には巨大な岩風呂があり、乳白色の湯がなみなみと湛えられている。他にも薬草の香りが漂う檜風呂や、ジェットバスのような気泡風呂もあり、まさに温泉街の宿といった充実ぶりだ。
カコーン、という桶の音が響く。
「たまには私が先にサティアを洗ってやるよ」
カリナは洗い場の椅子にサティアを座らせた。
「あら、それは嬉しいです」
サティアは素直に喜び、背中を向けた。カリナはシャワーを適温に調節し、サティアの長い黒髪に湯をかけた。たっぷりの湯で予洗いした後、シャンプーを手に取り、細い指で丁寧に泡立てていく。頭皮をマッサージするように指の腹を動かすと、サティアが気持ちよさそうに目を細めた。
「ふぅ……気持ちいいですね」
「そうか、なら良かった」
カリナは泡を流し、トリートメントを馴染ませながら言った。
「お前には旅の間もずっと迷惑を掛けたし、戦いでも常にサポートしてもらったからな。これくらいは安いもんだ」
髪をまとめると、次は身体だ。ボディタオルにたっぷりの泡を作り、カリナはサティアの背中に滑らせた。白く滑らかな肌を、円を描くように優しく洗っていく。首筋から肩、背骨のライン、そしてくびれたウエストへ。脇の下や二の腕の内側など、くすぐったい場所も丁寧に洗う。
「んっ……ふふ、くすぐったいです」
サティアが身をよじると、豊満な胸が揺れる。カリナはお尻の柔らかな肉を揉み込むように洗い、太ももの裏側へと手を伸ばした。
そして、身体の前面を洗う番だ。自分より背丈があるサティアを洗うため、カリナはどうしても身体を密着させる形になる。カリナのそこそこの大きさの胸が、サティアの背中にむにゅりと押し付けられ、形を変える。
「前も洗うぞ」
カリナは腕を回し、サティアの胸の下に手を入れた。ずっしりとした重量感を感じながら、その巨大な膨らみを下から持ち上げるようにして洗う。下乳の汗を流し、そのまま泡だらけの手で胸全体を包み込む。指が埋まるほどのボリュームだ。先端の敏感な部分をスポンジで擦ると、サティアの口から甘い声が漏れた。
「あっ……んぅ……」
「全く、我慢しろよな……」
カリナは呆れたように言った。
「すみません……でも、もう私のこんな声も、カリナさんはたくさん聞いたでしょう?」
サティアは振り返り、悪戯な瞳でカリナを見つめた。
「まあそうかもだけど、慣れるものじゃないからな」
「ふふ、慣れるほど聞きたいですか?」
耳元で囁かれ、カリナは顔を赤くした。
「ほら、バカなことばっかり言わないでいいから。交代だ」
カリナは逃げるように椅子に座った。
「はいはい。では、次は私が」
サティアは楽しそうにシャワーを手に取り、カリナの髪を洗い始めた。慣れた手つきで洗髪を終えると、彼女はボディソープを自分の身体にたっぷりと塗りつけた。
「え、おい、何する気だ?」
カリナが不審げに振り返る。サティアは妖艶に微笑み、泡だらけの自分の身体を、カリナの背中に押し付けた。
「ボディソープで洗うんです。……私の身体で」
「はあ!?」
ニュルッという音と共に、サティアの豊満な巨乳がカリナの背中に押し潰される。柔らかく、温かく、そして滑らかな感触が、背中全体を包み込む。
「んっ……カリナさんの肌……すべすべです……」
サティアは熱っぽい顔をして、身体を擦り付けるようにしてカリナを洗った。ピンクの蕾がカリナの背骨に当たり、こりこりと刺激する。
「あぁん……っ」
サティア自身の口から、甘い声が漏れる。
「おい、変な洗い方をするな。普通に洗ってくれよな」
カリナが抗議するが、サティアは止まらない。
「うふふ、カリナさんの肌を見ていると、何だか背徳的な気分になるんですよ……」
彼女は色っぽく囁き、カリナの前に回り込んだ。そして、泡に塗れた自分の胸で、カリナの顔を挟み込んだ。
「んぐっ!?」
カリナの視界が肌色に埋め尽くされる。ムニュムニュと顔を洗われ、息ができない。サティアはそのまま手を這わせ、カリナの首筋、鎖骨、そしてそこそこの大きさの形の良い胸を両手で包み込んだ。自分の豊満な肢体を前から押し付け、胸と胸を擦り合わせるようにして洗う。
「んっ……ふふ、気持ちいいですか?」
そして、その手は下へと伸びる。カリナの秘所に指を這わせ、愛撫するように執拗にひだの間を洗う。
「ひゃっ……! ちょ、そこは……っ!」
カリナの口からも、我慢できない甘い声が漏れてしまう。
「サティア、お前楽しんでるだろ……。頼むから普通に洗ってくれ」
「あら、私なりの身体を使ったサービスだったんですけどね」
サティアは残念そうに唇を尖らせたが、その瞳は妖しく輝いている。
「そういうのはそういう店ですることだろ。勘弁してくれ……」
カリナは頭を抱えた。
ようやく解放され、シャワーで泡を洗い流すと、カリナはサティアに手を引かれて湯船へと向かった。乳白色の湯が満たされた岩風呂。二人は肩まで浸かり、ほぅ、と息をついた。
「ふぅ……これは極楽だな」
お湯のすべすべした感触と温かさが、芯まで染み渡る。サティアは当然のようにカリナの後ろに回り、その巨乳の間にカリナの頭を挟むようにして抱き締めた。
「はぁ……あったかいですね」
サティアの顔は上気し、少し息が荒い。身体を擦り付けた興奮が冷めやらぬようだ。
「お前はなんでこういうときはそんな風になるんだ。普通にしてくれればいいのに……」
カリナは背中の感触に困惑しながら言った。
「ふふ……カリナさんを見ていると、何だか我慢ができなくなっちゃうんですよね」
サティアはカリナの顔を胸の谷間に埋め、陶酔したように呟く。
「少女の外見と中身のギャップなんでしょうかね。……庇護欲と、加虐心が同時に刺激されるというか……」
「そうか、よくわからんけど……」
カリナは適当に流そうとした。
「ほら、確かめてみて下さい……」
サティアはカリナの手を取り、湯の中で自分の秘所へと導いた。そこには、ぬめっとした明らかな愛液の感触があった。サティアの身体が、火照りきっているのがわかる。
「……はあ。お前は一応聖女なんだからな?」
カリナは呆れ果てた顔をした。
「聖女でも普通の人間ですからね。こんな風にもなるんですよ」
サティアは全く反省していない様子で、くすくすと笑った。
「はあ……ウチの女性陣はどうしてこうなんだ」
カリナは頭を抱えた。カグラもルナフレアも、そしてサティアも。どいつもこいつも欲望に忠実過ぎる。
サティアは乳白色のお湯で中が見えないのをいいことに、カリナの胸や秘所を優しく愛撫し始めた。
「んっ!? お、おい……っ!」
カリナは驚き、甘い声を必死に抑える。
「お前、いい加減にしろよ……しまいには怒るぞ」
「はい、すみません……。少し温泉街の解放感で調子に乗っちゃいました」
サティアはしゅんとして手を止めた。
「まあわかればいいよ。……お前のそういうところも、困ったもんだな」
カリナは苦笑した。
「100年も若い身体でいれば、そういう欲求も酷くなりますよ。老化しないっていうのも困ったものです」
サティアは遠い目をした。
「きっとカグラさんも同じ様な感覚でしょうね。……永遠の若さは、時に呪いのようなものですから」
彼女は胸に抱いているカリナの頭に、愛おしげに口づけをした。
「そうか……。私もこの姿の不安定なまま、長い時間を過ごすとなると怖いな」
カリナは弱々しく呟いた。
「今はまだ自認は男でいられているけど、徐々に侵食されて行く感覚がある。早くこの世界から抜け出ないと、どうなるのか怖いよ」
彼女はサティアの柔らかい胸に顔を埋め、震えた。
「そうですね……カリナさんの方が深刻ですよね。ごめんなさい」
サティアは反省し、優しくカリナを抱き締めた。
「でも、今はこの湯治を楽しみましょう。……次は露天風呂に行きましょうか」
サティアはカリナの手を引き、露天風呂へと移動した。
◆◆◆
外に出ると、ひんやりとした夜風が火照った身体に心地良い。岩で作られた露天風呂からは、満天の星空が見えた。
「わあ……綺麗ですね」
二人は湯船に浸かり、星を見上げた。ここでもカリナはサティアに抱き締められ、特等席に収まった。お湯の温もりと、サティアのマシュマロのような胸の感触。そして夜風の心地良さ。この数日の激闘や旅の疲れが一気に押し寄せ、カリナはうとうとし始めた。
「……ふぁ……」
カリナはサティアの胸に顔を埋め、こくりこくりと船を漕ぎ始めた。
「お疲れでしたね、カリナさん……」
サティアはカリナのあどけない寝顔を優しく撫でた。
「悪魔との戦いに、グラザさんとの殴り合い。祝宴でも常に誰かが周りにいましたからね。……しばらくは、二人でのんびりしましょう」
彼女はカリナを強く抱き締め、その体温を確かめた。
「あら、可愛いわね」「姉妹かしらね。二人共綺麗ね」
周囲の女性客達が、微笑ましそうに二人を見て囁き合っている。そんな穏やかな空気の中で、カリナは深い安らぎの中に沈んでいった。
エーヴァ温泉街の夜は、優しく更けていく。




