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聖衣の召喚魔法剣士  作者: KAZUDONA


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199  桃源郷の戯れと現実の追憶

 『蒼銀の羽亭』の奥にある大浴場。暖簾をくぐった先には、外の喧騒を忘れさせるような広大で優雅な空間が広がっていた。


 脱衣所は、宿の規模に見合った広さを誇っていた。  


 床には手入れの行き届いた籐の敷物が敷かれ、壁には吉祥を表す桃や牡丹の透かし彫りが施された木製の衝立が並んでいる。天井からは六角形の飾り行灯が吊るされ、柔らかな琥珀色の光が室内を照らしていた。  


 アーシェラ領特有の、中華風の異国情緒が色濃く漂う空間だ。多くの女性客で賑わっており、湯上がりの火照った肌を冷ます者、これから湯に浸かろうと服を脱ぐ者、楽しげな会話の花があちこちで咲いている。


 カリナは一瞬、その光景に圧倒され、無意識に視線を彷徨わせないように伏せ目がちになった。同性とはいえ裸の女性を直視するのは気が引けるし、マナー違反だという意識が働くからだ。


「……さすがに人が多いな」


 カリナが自分の衣服のボタンに手をかけようとした、その時だった。


「カリナさん」


 サティアがすっと前に立ち、カリナの手を優しく制した。


「この旅の間は、私がカリナさんのお世話をするように、ルナフレアさんからも強くお願いされていますから。……任せて下さい」


 聖女の微笑みには、有無を言わせぬ慈愛と使命感が満ちている。


「そうか……。いつも悪いな」


 カリナは素直に手を下ろした。  


 サティアは満足気に頷くと、手際よくカリナの衣装を解き始めた。まずは黒のロングコート。重厚な生地が肩から滑り落ち、サティアの腕の中に収まる。  続いて、淡いピンクと青いリボンが特徴的なミニドレス。背中のファスナーが下ろされ、ふわりとしたスカートと共に床へ落ちる。太ももに食い込むガーターベルトが外され、白と黒のロングニーハイソックスがするりと引き抜かれると、露わになった素足がひんやりとした空気に触れた。


 最後に残ったのは、今朝身につけたばかりの淡い黄緑色のランジェリーだ。  サティアの指先が、背中のホックを器用に外す。肩紐が下ろされ、薄い布地が取り払われると、少女特有の慎ましやかながらも形の良い膨らみが現れた。先端の愛らしいピンク色は、湯気で少し潤んでいるように見える。ショーツも足首まで引き下げられ、カリナは白磁のような全裸となった。


「……ふぅ、次は私の番だな」


 カリナは少し照れくさそうにしながらも、今度は自分がサティアの前に立った。


「はい、お願いしますね」


 サティアは少し頬を染め、身を任せるように腕を広げた。カリナはブルーのマントを外し、水色の法衣の帯を解き、衣を肩から脱がせていく。さらりと布が落ちると、そこには圧倒的な質量の暴力とも言える肉体が、窮屈そうな下着に押し込められていた。


 カリナは背中に手を回し、巨大なブラのホックに指をかけた。パチン、という軽い音と共に、重力から解放された二つの果実が主張を始める。


 ボロンッ……!


 肩紐を外した瞬間、巨大な双丘がたぷんっと音を立てて溢れ出し、零れ落ちた。その重量感と弾力は、視覚だけで圧倒されるほどだ。雪のような白さと、先端の鮮やかな桜色。血管が薄く透けるほどの肌の透明感。


「……いつ見てもでかいな。重そうだ」


 カリナは思わず苦笑しながら、その迫力に見惚れてしまった。


「ふふ、現実なら肩が凝るところですけど、この世界のアバターだと肩凝りはないんですよね」


 サティアは自身の胸を少し持ち上げながら、不思議そうに、しかし嬉しそうに微笑む。カリナは続けて、セクシーなレースのショーツに手をかけ、ゆっくりと下ろした。くびれたウエストから、豊かなヒップライン、そして滑らかな太もも。全て脱ぎ去ったその姿は、聖女という言葉からは想像もつかないほど豊満で、肉感的な肢体だった。


「行きましょうか」


 サティアは自然な動作でカリナの手を引いた。肌と肌が触れ合う感触に、カリナの胸が小さく高鳴る。二人は手を繋ぎ、大浴場へと足を踏み入れた。


 浴室の扉を開けると、むせ返るような湯気と共に、華やかな香りが漂ってきた。  


 内部もまた、中華風の意匠が凝らされていた。床や浴槽には滑らかな青石が使われ、壁には雲や龍のモザイク画が描かれている。そして何より目を引くのは、浴室の片側が大きく開かれており、そこから中庭が見える造りになっていることだ。  


 中庭には竹林が植えられ、赤い太鼓橋がかかった池には鯉が泳いでいる。ライトアップされた竹林が湯気に霞み、まるで水墨画のような幻想的な風景を作り出していた。


「わあ……綺麗ですね」


 サティアが目を輝かせる。


「ああ、いい眺めだ。風情があるな」


 カリナは洗い場を見渡し、空いている場所を見つけた。


「たまには、先に私がサティアを洗ってやるよ」


 いつも洗ってもらってばかりでは申し訳ない。そんな思いからカリナが提案すると、サティアは驚いたように目を丸くし、すぐに嬉しそうに破顔した。


「いいんですか? ふふ、嬉しいです」


 サティアは素直にシャワーの前の椅子に腰を下ろした。その豊かな胸が膝の上に乗りそうなほどのボリュームで揺れる。


 カリナはシャワーの湯加減を調節し、サティアの長い黒髪にお湯をかけた。たっぷりの水分を含んだ黒髪は、濡れたカラスの濡れ羽色のように艶めき、サティアの白い背中を覆い隠す。シャンプーを手に取り、泡立ててから、頭皮を丁寧にマッサージするように洗っていく。


「……この髪は、やっぱり現実世界を思い出させるな」


 カリナが指先で髪を梳きながら呟く。他のアバターの髪色とは違う、日本人らしい黒髪。それは、遠い故郷の象徴のようにも思えた。


「そうですね……」


 サティアは目を閉じ、カリナの手の感触を楽しんでいる。


「この世界から無事抜け出せたら、またオフ会をしましょう。……そのときは、カリナさんはあのイケメンさんに戻ってしまいますけどね」


 サティアがくすりと笑う。


「そうかな? 自分じゃあんまり意識したことはないよ」


 カリナは首を傾げた。現実の自分――一色(イッシキ)和士(ナギト)は、確かにそれなりの容姿をしている自覚はあるが、イケメンなどとおだてられる程ではないと思っている。


「いいえ、あれは絶対にモテますよ。女の子なら放っておかないですよ」


 サティアが断言する。VAOの初期、アバターボックスを使わずにプレイしていた時期の和士(ナギト)と現実を知っている彼女だからこその言葉だ。


「うーん……サッカーしてるときは、まあそんなこともあった気がするけど……。今は普通の大学生だからなあ。大したことはないよ」


 カリナは照れ隠しに、ゴシゴシと少し力を込めて洗った。


「ふふ、現実でも鈍感さんですもんね」


 サティアは苦笑交じりに言った後、少しだけ声を落とした。


「でも……リアルだと、もうこうして甘えてはくれなくなりますね」


 その声には、隠しきれない寂しさが滲んでいた。この世界だからこそ、少女の姿だからこそ許されるスキンシップ。それがなくなってしまうことへの一抹の不安。


「……現実の身体であんなことをしたら、それこそ止まらなくなるからな。危険だ」


 カリナは真面目なトーンで返した。健全な男子大学生が、サティアのような美女に甘えられたり、あのような行為をしたりすれば、理性のタガなど一瞬で吹き飛んでしまうだろう。


「サティアはリアルでも美人なんだから、そんなことを迂闊に言わない様にな」


「ふふ、そうですね。……カシューさんもグラザさんも中々のイケメンですし、エクリアさんはネカマをしているのが不思議なくらいのルックスですもんね」


 サティアは話題を変え、仲間達の顔を思い浮かべて笑った。


「そうだな、みんないいやつだ。カグラもエヴリーヌも、リアルでも綺麗な顔をしてるもんな。アバターとそんなに変わらない」


 カリナも同意する。このエデンのメンバーは、なぜか美形揃いだ。


「まあ、VAOは基本はアバターボックスを使わないと現実のルックスが採用されるもんな」


「そうですね。……私も、そんなに綺麗でしたか?」


 サティアが少し首を傾げ、濡れた瞳で上目遣いにカリナを見上げた。悪戯っぽく、試すような視線。


「ああ。……美人で、清楚な感じだった。モテるだろ」


 カリナは即答した。お世辞抜きで、サティアの現実の姿は高嶺の花という言葉が似合う美女だった。


「うーん、どうですかね……」


 サティアは意味深に笑い、言葉を濁した。その反応に、カリナは少しだけドキリとする。


「何だよそれ」


 カリナは照れ隠しにシャワーで泡を流し終え、トリートメントを馴染ませた。髪を流し終えると、今度はスポンジにボディソープをたっぷりと含ませた。


「背中、流すぞ」


 きめ細かい泡を作り、サティアの背中を洗っていく。滑らかな肌の感触。首筋から肩、背骨のライン、そしてくびれた腰。豊満な曲線を描くその肢体は、どこを触れても柔らかく、女性らしい弾力に満ちている。脇の下を洗うと、サティアがくすぐったそうに身をよじった。


「んっ……」


 カリナは一度背中から離れ、サティアの身体の前へと回った。自分より背丈のあるサティアの身体に密着するように座り込む。カリナのそこそこの大きさの胸が、サティアの背中にむにゅりと押し付けられ、形を変える。


「前、洗うぞ」


 カリナは後ろから腕を回し、サティアの大きな胸を持ち上げた。ずっしりとした重み。下乳の皮膚の間や、谷間の汗を流すように、優しく丁寧にスポンジを滑らせる。刺激しないように気をつけてはいたが、スポンジが不意に先端の蕾を擦った瞬間。


「ぁんっ……!」


 サティアの口から、甘く高い声が漏れた。


「……感じやすいのも問題だな」


 カリナは苦笑しつつ、手早く、労わるように胸を洗い終えた。続いて、腹部から脚へ。太ももの内側、内股の際どいライン。指先で刺激しないように慎重に洗うが、敏感なサティアは、触れられるたびにビクンと反応し、吐息を漏らす。


「んっ……ぁ……カリナさん……くすぐったいです……」


「じっとしてろ。ちゃんと洗わないと」


 カリナは努めて冷静に振る舞いながら、いつも世話になっているサティアを労うように、全身を洗い上げた。最後にシャワーで泡を流してやると、サティアはほうと息をついた。


「ありがとうございます。……すごく、気持ち良かったです」


 サティアは濡れた髪をかき上げ、とろけるような笑顔を見せた。そして、悪戯っ子の顔になる。


「じゃあ、次はカリナさんの番ですね」


 場所を交代し、今度はカリナが椅子に座った。サティアの手つきは、慣れたものだった。慈愛を込めるように、優しく髪を洗い、背中を流していく。その手つきは心地良く、カリナはうっとりと目を閉じた。


 だが、サティアの手が胸に回った時、その動きが変わった。泡にまみれた指先が、カリナの胸の先端を摘み、コリコリと弄んだのだ。


「っ……!?」


 カリナは反射的に口を抑え、声を飲み込んだ。


「こら……、悪戯をするんじゃない」


「ふふ、その可愛い声が聞きたくなるんですよ」


 サティアは聖女らしからぬ妖艶な声で耳元に囁いた。その手は止まらない。カリナの平らな腹部を滑り降り、太ももへ。内股の柔らかい肉を揉みほぐし、股間の際どい部分を、洗うという名目で愛撫するように、しかし労わるように指を這わせる。


「んっ……ぅ……!」


 カリナは必死に声を抑えるが、少女の敏感な身体はどうしても反応してしまう。腰が浮き、腿が震える。


「サティア……、私の反応を見て、楽しんでるだろ……」


 潤んだ瞳で睨みつけるが、効果はない。


「あら、バレちゃいましたか?」


 サティアはクスクスと笑いながら、さらに際どい場所を指先でなぞった。


「はあ……、ウチの女性陣はこんなのばっかりだな」


 カリナは抵抗を諦め、深い溜め息を吐いた。


「これでエヴリーヌまで加わったらどうなるんだろうか……。あいつはカグラ並みに悪戯好きだからなあ」


「ふふ、その時はみんなでお風呂で楽しみましょうね」


 サティアは楽しそうに笑う。


「やれやれ……。特記戦力の女性陣が全員揃ったら、大変だな」


 カリナは苦笑した。その光景を想像すると、恐ろしくもあり、賑やかで楽しそうでもあった。


 ようやく洗い終え、二人は湯船へと向かった。広々とした浴槽には、こんこんとお湯が溢れている。竹林のライトアップを眺めながら、肩までお湯に浸かる。


「ふぅ……、生き返るな」


 カリナが息を吐くと、背後でお湯が跳ねる音がした。当然のように、サティアがカリナの後ろに座り込んだ。


「失礼しますね」


 サティアはカリナの背中に密着し、その柔らかい巨乳でカリナの顔を左右から挟むようにして抱き締めた。後頭部に当たる圧倒的な弾力と、包み込まれるような安心感。


「……まあ、いつものことだしな」


 カリナは抵抗することなく、サティアの体温と柔らかさ、そしてお湯の温もりに身を委ねた。リラックスした空気が二人を包む。


 サティアは濡れたカリナの髪を撫で、頭を優しく抱いた。


「カリナさんは、本当に可愛いですね」


 しみじみとした声。


「アバターの見た目だけじゃなく、内面も純真で……だからこそ、みんながカリナさんを大事に思っているんですよ」


 愛おしさを込めるように、腕に力を込める。


「そうか……。自分じゃあ、自分のことなんてわからないからな」


 カリナはサティアの胸に頭を預け、下からその美しい顔を見上げた。湯気越しに見るサティアの表情は、どこまでも優しかった。


「でも、お前達がそういうなら、素直に受け止めるよ。純真か……うーん、自分じゃやっぱりわからないよ」


 カリナは少し困ったように眉を下げた。そして、いつものようにストレートな感想を口にする。


「私は、サティアの聖女としての慈愛や包容力の方が凄いと思うけどな。……御陰で私は、この少女のアバターでもサティアがいてくれるから、助かってるよ」


 飾り気のない、心からの感謝。その言葉に、サティアの頬が朱に染まった。


「ふふ……。そういう素直で純真なところが、素敵なところです」


 サティアは嬉しそうに微笑み、カリナをさらにぎゅっと抱き締めた。豊かな胸が変形し、カリナの顔を埋め尽くす。


「むぐっ……。そ、そうか、それなら良かったよ」


「ふふ、そうですよ。その純真さを、忘れないで下さいね」


 二人の仲睦まじい様子を見ていた他の女性客達が、頬を緩ませて囁き合っている。


「わあ……美人と美少女ね。絵になるわあ」「姉妹かしらね? すごく仲が良いのね」「尊いわ……。見てるだけで癒されるわね」


 そんな声も、今の二人には心地良く聞こえていた。


 竹林を揺らす風の音、お湯の流れる音、そして重なり合う互いの鼓動。カリナとサティアは、温かいお湯と互いの体温を感じながら、旅の疲れをゆっくりと癒していった。心地良い倦怠感が全身を包み込み、二人はうとうととまどろみの中で、安らかな時間を過ごすのだった。

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