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第6話 彼女視点

ど、どうしましょう。



 まさか、ミクスさんの部屋に泊めさせて貰えるだなんて……



 ミクスさんの部屋、良い匂いがします……へへへ。



 い、いや、こんなゲスじみた笑みを浮かべている場合ではありません……。男女が一緒の部屋。こ、これはまさか……大人の関係みたいなのがあるのでしょうか?



 だ、だとしたら全然求めていた展開なのですが!! でもさっき……





『あぁ、大丈夫。やらしいことはしないから』

『……そうですか……しないんですね』




 いや、全然良いんですけど……寧ろきてください。で、でもなぁ、私みたいな黒髪青目は嫌でしょうし……


 ここで私が攻めて積極的な言動をしたとして……したとして、迷惑なだけなのはわかりきっています。



 で、でも、もしかしたら……





ネガティブの私『冷静に考えてください。どう考えても黒髪青目の女を欲しいと思う男はいないでしょう』

ポジティブな私『でも、前にミクスさん顔可愛いって言ってくれました! これはあるのでは!? 可能性があるのでは!?』




 頭の中で明るい私と暗い私が話し合っています。いや、ポジティブな私が言うことは希望的な観測であるとは思います。




ネガティブ『ここは何も動かないのが良いでしょう。折角、家にまで置いて頂いたのに。これ以上迷惑をかけるのも申し訳ありません』

ポジティブ『でも、本当に嫌ならそもそも家に置かないと思います! ワンチャンありませんか!! ちょっとくらい、攻めた言動をしてもいいのでは!』




 どうなのでしょう、どうなんでしょう、どちらが正解なのでしょうか。




「シエラ、適当にベッドに腰掛けてくれ」

「は、はひ!」

「はひ?」

「あ、すいません。か、噛んでしまって……」




 ベッドに腰掛けてくれ!? そ、それは遠回しに私に告げている!? ミクスさんは遠回しに告げているのですか……!?



 どうしましょう、異性と同じ部屋に二人きりなんて初めてなんですけど。そもそも好きな人が出来たこともないですので、もうどうしていいのかも分からないのですけど。



 黒髪青眼で差別され続けて、恋愛とかをする暇も無い人生でしたし。でも、ミクスさんは私を他の人と同じように接してくれましたし。


 それだけでなく、私を守ってくれました。


 

 パーティーメンバー、他の冒険者からも、ギルド職員、他にも沢山……これで惚れるなと言うのが無理ですけど……正直このまま、一緒になって結婚してしまって、子供とか育てて……


 はい、このまま二人で幸せになりたいです。サリアの町とかもうどうでもいいんですけど。




「明日はサリアの町だから、早く寝た方がいいぞ」

「は、はい!」

「ベッドは使っていいから。だけど、ブラックも一緒に寝かしてやってくれ」

「わ、わかりました!」

「コン!」




 ダークフォックスでしたっけ。すごく可愛いくて、強そうなモンスターですね。


 毛並みも綺麗ですし、もふもふですし……あ、また頭の上に腕をぽんと乗せられました。


 こ、これ完全に手下と思われてますね。



「あ、えと、私ここで寝てもいいんですか?」

「コン」




 あ、遠慮するなって感じでベッドを腕で触っています。このモンスター、本当に頭がいいんですね。





「ミクスさん、本当に寝ても良いですか? ミクスさんが寝れないんじゃ」

「俺はいいよ。普通に椅子で寝れるから」

「す、すいません。で、でもそれなら、一緒に寝ませんか!!」





ポジティブ『おおー!! よくぞ攻めたぞ!! 私』

ネガティブ『なんと言う攻めっけ。よくぞいいました。私』




 頭の中でもポジティブな私とネガティブな私が褒めてくれています。確かに我ながら、よくぞ言ったと思います。




「いや、ブラックと寝てあげて」

「あ、はい」




 流されました。こ、こんなあっさり……や、やはりあまりに攻めすぎてしまった!!?




「コン」



 あ、ブラックちゃんが私を尻尾でベッドの上に横にしてくれました。もう寝ろってことでしょうか?




「お、おやすみなさい」

「シエラ、明日も早いから俺に気を使わず寝てくれ」

「は、はい! ありがとうございます」




 一緒に寝ても全然……寧ろ寝て欲しいんですけど。でも、それってわがままですよね。



 私と一緒になったとしても、ミクスさんにご迷惑をかけてしまうのは当然。私とミクスさんじゃ釣り合わないですし。



 でも、もし私が今よりも強くなってミクスさんと同等以上の力をつけたら……告白とかしても全然いいのでは!?


 なんでしたら、沢山お金を稼いで私が家を建てて、そこに一緒に住んでくれって言っても……



 そう言えば前に飲食店を出したいとおっしゃってました。それなら、その分のお金を稼げれば……一緒に飲食店を出したいとか言ってもいいのでは!?




 よくよく考えたら、私昔から飲食店を出すのが夢だった気がしてきました……!!



 

 ま、まぁ、急に言ってもご迷惑なのは当然です。でも、ここからステータスとかレベル上げて、お金とかも稼げればアプローチをしても問題ないですよね?



 黒髪青目ですけど。ミクスさんってそう言うの気にする人ではないのは知ってます。



 それなら、ここから成り上がれば。都合よく行くはずもないですけど、希望は持ってもいいですよね。





「おやすみなさい!」

「おやすみ」





 ミクスさんにおやすみって言われちった!!!! 言われちゃいました!!! きゃーーーーー!!!!



 これ、寝れないですけど。



 隣のブラックちゃんの毛並みがもふもふで気持ちいいですけど、まだ寝たくないです。


 ちらっとミクスさんを見ると机の上に書類を広げて何やら整理をしているようでした。


 薄暗い中ですが、少しだけ明るく光を出して、難しい顔をしています。きっと以前の生クリームとかの派生の味を探求してるんでしょう。


 あれ相当作るのに苦労したんでしょう。それを私に振舞ってくれるなんて嬉しいです!!




 あと全然関係ないんですけど、めっちゃカッコいいんですけど! ミクスさんは救済の光でも女性人気高かったですし。



 まぁ、リーダーのアルドも割と人気でしたけど。あれを好きなのって正直、馬鹿なんじゃないですか?


 あれを好きな奴は見る目ないって分かるから、逆に有難い存在なんですけど。



 さて、愛するミクスさんの話に戻しましょう。生ゴミの話をした後にミクスさんのことを考えると天と地のように、差がありすぎてミクスさんが神に見えて不思議ですね。



 ミクスさんはかなり人気でした。顔もカッコいいと言うのもありましたけど、先ず礼儀正しいんですよね。



 ギルド職員さんに横柄な態度をとる、どこぞの救済の光のメンバーとは大違いでした。それだけでなく、救済の光に対してちゃんと注意しますし。



 だからこそ、ギルド職員さんからは凄く信頼されてました。そのおかげで依頼を優遇してくれたり、対応を優先してくれたりしてたのにそれを分からずに追放するのって本当に馬鹿ですね……



 ミクスさんのおかげで報奨金高いのとか選ばせて貰えていたのに……



 しかし、ミクスさんはこれからどうするつもりなのでしょうか。私と一緒にパーティーとか組んでくれたりするのでしょうか?


 サリアの町についたら……私から提案をしてみてもいいかもしれません。ご迷惑なのは勿論分かってますし、甘えているのも無論承知です。


 いつか絶対に恩を返すのも勿論当然のことです。それならどうでしょうか。



 私の可能性を信じて、農民スキルをミクスさんは褒めてくれました。これが凄く大きくなることを信じてみます。



 まぁ、人生そんなに都合よく行くはずもないですけどね。

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