第47話 交易祭
交易祭が始まった。
交易都市クスロと言われている場所で、この祭りは行われる。
サリアの町も大きく活気があったが、この都市はそれをさらに上回る勢いだ。
アニメの時だと、画面に大量の人が写ってシエラが内心で、サリアの町より人が多くて、広さも桁違い。
みたいなことを思ってたけど、それが本当の意味でようやくわかった。
やっぱり実際に見てみると印象とか違うんだな。
「うわぁ、すごい人ですね」
「そうだな」
俺達が普段過ごしている【フェリア王国】、隣国の【アルヴェニア王国】の共同開催。
しかも両方の王子が来るとなるとこれくらいの規模は納得である。
更に言えば、最近現れた魔族に対する対策会議とかもするとかなんとか。
そりゃ、これくらいの規模になるよね。親睦を深めて、万が一の時は共闘をする狙いもあったりするらしい。
「ミクスさん、私は野菜準備できました」
「そうか、俺はクリームパンも準備できたな」
シエラは通りすがる人にも相変わらず、凝視されている。
ここには隣国の人も沢山いるはず。【アルヴェニア王国】の人々にもシエラの外見は忌避対象となってしまうようだ。
それゆえに、アニメでもシエラは相当に面倒な展開になっていたな。
いや、面倒とかそう言うレベルの話ではなかった気がするけど。
──具体的にはシエラが保存をしてた野菜倉庫の中に大量の死体が置いてあったのだ。
どう考えても作為的な何かを感じたな。結局、犯人が分からず終まいだったか。
シエラが野菜を補充するタイミングで、死体があって犯人と疑われてたから、絶対に誰かがシエラを陥れるためにやったのであろう。
それに、その後も他国の王子が魔族に襲われたりして色々と大変な感じだったな。
ユルレは犯人ではないと分かってたけど、他の人はシエラを完璧に犯人と決め付けてたからな。
あれは流石に可哀想だったよ。アニメの終盤でそう言う鬱展開を入れんじゃなぁないよ。
悲しくなるじゃないか。
いやー誰も信じてあげないのは流石に可哀想すぎるぜ。何があっても俺は信じてあげなくては。
「俺は犯人はシエラじゃないと信じてるぞ!」
「え!? あ、ど、どうもありがとうございます! 嬉しいです!! 犯人はなんの話か分かりませんけども」
ただ、他国の王子も若干信じてくれたみたいではあるんだよな。
彼もルディオと同じで逆ハーレム要因である。
今はもう関係ないが逆ハーレム要素がある作品なので、シエラのことを好きになるイケメンがいる。
他国の王子も逆ハーレム要因であり、とんでもないイケメンである。
レオナート=ヴァルグレア。通称・レオン王子と言われている。
第一王子でイケメンで高身長で、こう言った他国との交流も任せられるほどの存在だと。いや、もう生まれから何もかもが違いすぎるぜ。
この他国の王子は実は祭りの最中に魔族に襲われるのだが、それをシエラが助けるのだ。
そこでシエラの事に興味を持つのだが、周りはシエラが魔族を操って王子を襲わせたと考えたのだが、王子は命を救われてそんなことはないと考えるみたいな。
一度、シエラはその場を去るけど、その後にシエラを追いかけて改めて、礼を言いに行くのである。
いやー、この時点で王子が良いやつだなと思っていたよ。
周りはなんと言おうと関係ないし、シエラを信じてあげてたし。
アニメでは戦闘描写もないけど、かなり強いらしいからね。
シエラに対して、上から目線で語らず同じ目線で普通に話しかけていたのも好印象だった。
ルディオがシエラと結ばれるのはちょっとどうなのかなって思ってたのはこう言う態度だよな。
物腰柔らかいし、第一王子だし、腕もあるし、シエラを差別しないし。
もう、シエラが辛い目にあっていたアニメを見てた俺からしたら救世主に見えました。
確か、ネットでもレオン王子最高みたいな高評価が多かったな。女性からの支持も熱かったし、アニメのオープニングでも、レオン王子が逆ハーレム要因の中では
一番目立っていた印象だし、なんなら真ん中に立っていたな。
オープニング最中でルディオ、レオン王子、お金持ちの大商人、怖い顔剣士
という四人のイケメンが出てて、レオン王子が真ん中付近で一番目立っていた。
やはり、レオン王子なのだろう。俺からしてもこの人ならシエラを任せられると最初は思っていた。
いやただ、もう、今は俺の彼女だから関係ないんだけどさ。
「ミクスさん、お客さん。もう来てます!」
「あ、そうだな」
今の俺はシエラが酷い目に遭わないように立ち回るべきだろうさ。
それと、ついでに魔族は全部ぶっ飛ばすしかないな。これはアニメを見てた時から予想がついたが
祭りでシエラに罪を被せようとしてたのは、魔族だろう。
シエラが厄災の魔女と酷似しているからか、人間を滅ぼそうとする目的のために邪魔だからか。
どちらにしても、孤立させようとしている気がした。
だが、そんな事を俺はさせない。
──シエラには笑っていてほしいからね。
こんな健気な子には酷い目に遭って欲しくないからね。
「このクリームパン、美味しいな!」
「自信作です。それと、隣の野菜も美味しいのでぜひどうぞ」
「へぇ……う、うん……」
都市の中には意外と出店が少ない。これはユルレが俺達を選んだように、選ばれた人しか店を出せないかららしい。
だから、ここに店を出している以上で質が担保されているからすぐに人が来る。
しかし、シエラは見た目で怖がられて客が来ていないようだ。
「うーん……」
「ここの美味しいですよ。リューゼン家が保証します」
悩んでいたお客さんの元に、ユルレが現れた。彼女は営業スマイルを浮かべており、お客さんに向かってゆっくり話しかける。
「僕が選んだ、自信ある品です。ぜひ、買ってみてください」
「……なら、買ってみるか」
そこまで貴族に言われては、と言った顔でお客さんは野菜をシエラから買った。
「……これ美味いなっ。ここのパンと野菜は他の店よりも質が高いように思える」
「ふふ、そうでしょうとも。ここの二品は特に自信がありますので」
「一緒に来た仲間にも教えるか」
お客さんは満足げに店から出て行った。ユルレのおかげで、シエラが野菜を売ることができた。
「あ、ありがとございます」
「いや、僕が君達を連れてきたからね。それに僕が推薦した品が売れないのも僕の目利きが疑われるし、これくらいは当然かな」
ユルレはアニメでもこうやって、シエラをサポートしてくれていたな。
やはり、悪い子ではないのは分かるんだけどね。
「ユルレ、ありがとな」
「ミクス様。別に良いって。あ、そう言えばレオン王子がいるから、折角だし見てみたらいいんじゃないかな? ミクス様はすぐに売り切れで時間できそうだし」
まぁ、見てみたいけど。俺からしたら、野菜倉庫に死体が詰められていた方が問題だから、誰がやったのか。
見張っていたいな。
まぁ、魔族だろうけど怪しい奴がいたら斬る。
シエラが疑われたのは祭り終盤、3日目だ。だから、そのちょっと前くらいから見張っておきたいな。
ついでに、魔族が王子に襲われるのもさっさと終わらせておきたい。
シエラに任せっきりにしてると、シエラが善を尽くして、結局は疑われてしまうからな。
シエラには笑っててほしいし。鬱的な部分は吹き飛ばしたいところだ。
なら、俺がするしかないか。そんな事を考えていると……。
──俺のパンはすぐさま売り切れた。
「ユルレ、少しシエラと一緒にいてあげてくれ」
「え? あ、うん。良いけど。でもぉ、タダでは嫌かなぁ? デートしてくれる?」
「……それは無理だけど、頼んだ」
「あ、ちょ」
そう言って俺はその場を去った。少し、本来の時間よりも早いけど、倉庫をみておきたい。
今は1日目の午前中、死体が見つかるのは3日目の最後。最初から死体を入れていては、もっと早く見つかるはず。
シエラが補充に行くタイミングで、死体があったということは、相手もシエラの動向を追っていたはず。
──俺はそれを潰す。




