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追放ものに転生した。ただし、ざまぁされる側らしい  作者: 流石ユユシタ
第2章 元婚約者来訪編

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第40話 魔族視点

 オレの名はヴァニッシュ……だった者。




 魔の宝玉を取り込み、オレは魔族へと進化を果たした。



 

 昔は魔力量の多さで「将来有望」と持ち上げられたガキの頃から、俺は特別だった。


 努力を笑い飛ばしても勝ててたし、それが当たり前だと思ってた。


 だがいつからか……、凡人どもが俺を置いていくようになった。


 いつからだ?わかんねえ。きっとなんかズルでもしてんだろう。


 そうじゃなきゃ、俺が負けるわけがねえからな。






 ──そこに、魔族が現れた




『これが貴方を更なる次元へと導く。さぁ、どうぞ。魔力さえあれば、これで更に強くなれるのです』




『私は、貴方のように魔力がある才能ある人間を探していました。さぁ、貴方の真の力を認めさせてやりましょう』




 俺は一も二もなくのった。ズルをするやつには、こっちもズルするのは当たり前のことだからだ。

 



──魔族へとなった時はまさに万能感に支配されていた。






 ステータスは数十倍となり、スキルも新たなるものを獲得し、元々保有していたスキルが更なる強化を果たした。



 全てが自分の思い通りになる感覚がたまらなく、快感だった。





「気に入ってくれたようですね。これで貴方も魔族の仲間入りです。しかし、覚えておいてください。貴方は人間如きよりは遥かに強い。しかし、魔族としては下の下であることをね」





 魔王軍幹部ソリサ、がオレにそう言った。



 この時のオレは自惚れていたのだ。自らが急激に強くなったことにより、万能感に溺れ、愚行を起こしてしまった。





「おお、あ、ぐっ」

「ふふ、強くなったのは間違い無いですが勘違いしないことですね」





 オレこそが世界の頂点に立てると思い込み、ソリサに勝負を挑んだ。しかし、結果はあっさりと片腕をもがれ、地面へと伏す結果となった。




 その後、オレはソリサ様の手下として活動することになる。



 そして、その中で知らされることになった。




 ──災厄の魔女と呼ばれる、200年前に魔王様に逆らった存在を。





 そして、魔王様が復活の兆しを持っている事も。更にその魔王様が直々に生み出した眷属、



 魔王軍幹部【十二凶】と言われる存在は既に復活をし世界中で活動を開始している事。



 さまざまな事実を聞かされた。ソリサ様ですら、魔族で最も強い存在でないのだから驚愕をするしか無い。くく、最早人間の世界は終わり。滅びるしかあるまいと悟ることになる。


 だからこそ、魔族となった自分は生き残ることに安堵したものだ。魔族となり、ステータスなどが向上したことでオレは冒険者としてもランクを上げることなど容易に可能にしていた。



 そして、Aランクになった事で貴族から婚姻を申し込まれることが多くなり、その際に使命を与えられる。




「ヴァニッシュ。貴方はリューゼン家と結婚してください」

「はい。分かりました」

「魔族となった貴方と人間との間に子供が出来るのか見てみたいですからね。まぁ、他にリューゼン家は交易祭と呼ばれる他国との交流を仕切る場所でもありますからね」

「そのようですね」

「ふふ、嫁いだ貴方が他国の王子を殺して国同士の不仲を煽るのも悪く無いでしょう……まぁ、それまで貴方の理性がもてばの話ですが」

「……?」

「あぁ、人間から魔族になると理性が薄くなりますので。些細なことで感情の抑えが効かなくなるんですよ。だから、気に入らないことがあると身内を殺してしまう人間もいるんです。貴方、魔族になってもうある程度経つでしょう?理性が薄くなる感覚は?」




 確かに。この時点でオレは既に数人を殺している。少しだけ絡んできた冒険者や、オレを舐めていた受付。


 他は誰だったか。何人か殺したのは覚えてるが……




「……他国同士の不仲を煽りたい所ですが、その様子だとその前に家を滅ぼしてしまいそうですね。まぁ、魔族の強さがあれば小細工は不必要ですがね」




 


 オレをずっと観察するようにソリサ様がみていた気がした。そして、オレはリューゼン家に挨拶をし、婚姻は順調に進んだ。




 リューゼン家の当主にも気に入られていたのだが……







──そんな時、とある冒険者2人組が家に訪ねてきた。





 最初はユルレが当主である父親と結婚するオレに友達を紹介したいと、そういう話だった。




 その時、驚愕をした。彼女が連れてきた友人の中に黒髪に青目という厄災の魔女と同じ特徴を持つ女がいたからだ。





 厄災の魔女……ソリサ様がおっしゃっていた200年前に魔王様を倒したと言われる存在。それと同じ容姿を持っているとなると……ここで潰したほうが良いのか?




 ──そう思った瞬間、オレは口元に何かを強制的にぶち込まれ、化けていた人間の姿から魔族へと戻ってしまった。






「くっ、こ、これは……我が身を看破する薬か……!!」

「急にヴァニッシュ様の姿が変わったぞ!!!」

「変わった上に、なんか吹っ飛ばされていったぞ!!!」

「何がどうなった!?何が起こったんだ!?」





 くっ、当主の執事供が騒ぎ始めた。まさか、急に変身が解けるだと? 一体誰が……あの黒髪の女か?



 


「ぐ、ぐおお……。ま、まさか、魔族となってたことがバレようとはな……。お前が?」

「俺がやったんだ」

「……いや、そうだったか?衝撃で記憶が定かでないが、なんか……」

「どう考えても俺だ」

「……そうだった気がする。ぐぬ……ただの人間ではないようだ」





 くっ、まさかこの男がオレの正体を見破っていたとは。ただの人間と思って油断をしていた。それに黒髪の女の方に意識を向け過ぎたか……ッ!





「俺の名は、ミクス。Aランク冒険者だ」

「……なるほど、Aランク。そして、お前の後ろにいる黒髪青目の女……どうやら、放っておいていい連中ではなさそうだ」





 オレはすぐさま臨戦体制をとった。この男は放っておいて良い存在では無い。このオレの正体を見破る薬を持ち、それをオレに悟られず飲ませる技術。



 すぐさま、殺さなくては……嘗ての災厄の魔女のように魔王様に盾つく人間が今度はこいつかもしれん。



 ──極限のステータスですぐさま切り刻んでやる。




 そう思い、腰の剣に手をかけて抜こうと




 ──しかし、既に男はオレの目の前まで来ていた。そして、剣が抜けないように抑え込んでいるだと!!??





「おっと、剣は抜かせない。対戦の前に少し、語ろうか」

「──速いっ」





 速過ぎる!! 単純にオレを超えているだろう。そして、魔族でも無いのにどうやってここまでのステータスを手にしたというのだ!!!




 その男に回し蹴りをされ、更にオレは吹っ飛ぶ。




 一連の流れで気付いた。これは……この男は強い。少なくともオレよりも。これが、ただの人間というのが驚きだ。




「──少々、待っていただけますか」




 オレが殺されかけた時、幹部のソリサ様が現れる。恐らく、一連の流れを見て援軍として駆けつけたのだろう。そして、目の前の男をすぐさま殺さなくてはならないと感じたはずだ。




「まさか、ここまでの剣士が居たとは……ヴァニッシュ、下がりなさい。お前では手に余る。ここは魔王軍幹部【十二凶】の1人、【魔毒】のソリサが貴方のお相手をしましょう」

「幹部……か。そんなの居るとか聞いてないな」

「えぇ、私も貴方のような冒険者がいるとは聞いてませんでした。人間を魔族に変える実験として、ヴァニッシュを観察していれば……このような事態になるとは」

「魔の宝玉の実験か」

「その名も知ってるとは……このまま放置しておくには危険ですねぇ」





 ふふふ、いくら高ステータスの人間とはいえ魔王軍幹部に叶うはずがない。ソリサ様のステータスは平均16000を超える。



 まさに、最強クラスの実力を有しているのだ。人間如きに勝てるはずもない。



 そこに加えて、スキルも複数所持している。毒攻撃、攻撃耐性、状態異常耐性、防御貫通、常時回復、攻撃超向上、防御超向上。


 これ以外にもまだまだあると言っていた。流石に人間に負けるはずがない。









「危険ですが私の敵ではありませんねぇ──ッ!?な、なにっ」





 なん、だと……ソリサ様の右腕が消し飛んでいる……だと? 防御向上のスキルはどうした!!



 圧倒的なステータスがあるというのに、それをスキルで強化しているというのに……ば、馬鹿な?






「ま、まさか、魔王軍幹部の私ですら視認できないほどに速いッ!!!!????」





 そ、そんなはずがない。魔王軍幹部ですら視認できないほどに、このミクスという男は速いというのか?



 奴の手にはおそらく錬金で作った剣が握られている。あれで一瞬のうちに切ったのか!!?



 しかし、一歩も動いていないように見えるが……いや、何らかのスキルを複合的に使っている!!!??





「がは!!!? こ、今度は左腕だとっ!!!??」




 まさか、今度は左腕だと!!?? 全く見えなかった……最早、これは200年前の厄災の魔女を超えている可能性もあるのではないか!!!?





「く、くくく、まさかこれほどとはね。しかし、私は魔王軍幹部、ソリサ。私には奥手があるのですよ。魔の宝玉は人間を魔族に変えるだけでなく。魔族が摂取すれば一時的にステータスを上げることができるッ!!!!」





 そうか。魔の宝玉か!!! 幹部であるソリサ様は体内に常に宝玉を隠し持っているそれを使うつもりか!!!




 ソリサ様の体が急激に赤くなり、無くなったはずの両腕も再生した。




「ふははははは!!! 今の私は平均ステータス20000近いぞ!!!! これでじわじわとなぶり殺しにしてくれるッ!!!」





 くくく、ミクスよ。なまじ力があるからこそ真の地獄を見る羽目になるとはな!!!!



 平均ステータスが20000だと? 流石は魔王軍幹部、そこまで到達するとは……最早この方が魔王と言っても信じてしまうほどの圧力を感じる。





──ぱぁん







「ば、バカな……20000を超えるステータスでも攻撃を視認すらできないのか!!???」

「あ、あり得ない」





 そんな。ソリサ様の両腕が再度、吹き飛んでしまっただと!? 地面には先ほどの腕も含めて4本の腕が落ちている。



 こ、ここまで魔王軍幹部を圧倒するミクス……これがAランクのはずがない!!!






「お、おう。なんか、魔王軍幹部。折角パワーアップしたのに悪いな」





 な、何を余裕そうな表情をしているミクス!!! こ、これすらも当然とでもいうのか!!!!




 何というステータス。こいつのステータスは最早常識を超えている。Aランクというのは間違いなく偽装。



 最初から、ランクはこちらを油断させるための算段だったとでもいうのか!!!




 




「お、お前、の強さは災厄の魔女を超えている……。そして、後ろの女……まさか、災厄の魔女も、復活をしたというのか……」

「いや、あの子は災厄の魔女ではない」

「白々しい。魔女め、魔王様復活を感知し、力を蓄えていたのか。前回とは違い、徒党を組むことを覚えたとはな……人間に裏切られた女が組むことを選ぶとは。しかもそれがこれほどとは……」






 ソリサ様は前回の大戦にて、魔女と相対したことがあるという。だからこそ、あの魔女に酷似した後ろの女を見て何かに気付いたのだろう。





「絶対にお前を殺す!! 魔王様のため──」





──ざしゅ





 あの男を殺すと発言した瞬間、ソリサ様の首が吹き飛び、体も元の原型を留めることなく吹き飛んでいた。




 魔王軍幹部すらあっさりと倒せる人間がいるとは





 紛れもなく





 ──人類最強





 そして、オレも次の瞬間には意識が消え、全身が砕ける感覚だけが残った。意識が消える間際に見たのは



 ミクスという男の顔だけだった。その男は何もせず、こちらを見ていただけだった。





 最後まで攻撃を見ることすら叶わんとは……


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