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追放ものに転生した。ただし、ざまぁされる側らしい  作者: 流石ユユシタ
第2章 元婚約者来訪編

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第36話 恋人は触り放題

シエラにデートを誘われてから次の日。俺は朝起きて、すぐに寝巻きから私服へと着替え終わっていた。




 シエラは善は急げの精神なのか、今日行きたいと言っていた。だから、今日にした訳だけど……。



 デートなんて、この世界に来てから一度も行ったことがないな。



 救済の光には女は居たけど、一緒に出かけるなんてあり得ないって思ってたからな。


 だからこそ、シエラにデート誘われて少し緊張をしている。




「あ、ミクスさん……その、準備はどうですか?」





 そう言うシエラもちょっと緊張しているようだ。彼女は同じ部屋に住んでるから、ずっと様子を見てたけど、嬉しそうに笑ったり、緊張したようにオドオドしたり忙しかった。



 今日のデートが楽しみにしているのが分かった。




「俺は出来たな。シエラはどうだ?」

「わ、私は大丈夫です!」






 服装はいつもと一緒という感じだった。いつものようにフードがついているローブを着ている。これは彼女の見た目が黒髪と青目だからだろう。





「それなら行こうか。バザーはあと、1日残ってるけど……町の外でピクニックとかにしようか」

「は、はい!」





 シエラの野菜や果物とかはユルレが全部買い取ってしまった。理由は単純に美味しいからだとか。


 ユルレは色々と腹黒かったり、目的のためには手段を選ばなかったりするけど、良いものは良いと思えるタイプだ。



 だから、全部を満足した表情で買ったのだろう。





「それじゃ、行こうか」

「あ、すいません。私がリードしようと思ってたのですが」

「いやいいさ。これくらいはリードとかにも含まれないだろうし」





 宿屋から出て、外に出る。サリアバザーがまだ終わっていないので、人が多い。シエラはフードを被りながら、俺と一緒に歩いていた。




「町から少し離れたところの草原で弁当を食べるとかで、いいか?」

「勿論です! 私果物とか、詰めてきました!」

「おお、それは嬉しいな」

「いえ、デートですから! これくらいはします!」





 やっぱりデートなのか。ただ、こうやって一緒に歩くと、デートと言うよりもいつもと同じ感じがするけど。




「あの、手を繋いでも良いですか?」

「え、あ、うん」

「あ、あわ! や、やった」





 あ、手を繋ぐなんて今まではなかった。急にいつもと雰囲気が変わってきたな。


 そして、シエラが喜んでる。手を繋ぎたいなんて、やはり恋愛的な感情があるんだろう。繋いで良いか言われたので、断る理由もなかった。



 まぁ、断った時の悲しい顔が見たくないからかもしれない。




「あ、こ、これがミクスさんの手……お、大きい……感触も。へ、へへ」






 ぎゅっと彼女は俺の手を握った。う、うん、柔らかい、なんかぷにぷにしてる。すべすべだし。



 正直、少し体が強張る感覚がある。俺も緊張をしているからだろうか。単純に異性と手を繋ぐなんて経験は少ないし。それに自分に好意を持っている相手となれば尚更だ。





「わ、私、こうやって、手をずっと繋ぎたくて……」

「そ、そうだったのか。なんか、今までそういうこと言ったことなかったよな?」

「あ、はい。ユルレさんがキスとかして……そ、その、正直、嫌な気持ちになりました……。だから、私……」





 う、うん、これって俺のことが好きなんじゃね? いや流石に俺でもわかるぞこれは。



 って、いうかシエラは顔赤くしすぎて目線もずっと下向いてるんだけど……。




 町並みを歩いて、そのまま町の外に出た。シエラは時折、こっちを見て笑ったり、何かを話そうとあたふたしたり、そんな彼女を見るのは正直面白かった。




「あ、ミクスさん……。その、ミクスさんは店を出したいって言ってましたよね」

「あ、うん」

「……わ、私もいたらご迷惑ですよね……?」






 それは、これからも一緒に居たいってことだろうか。いや、もうそういう意味でしか言ってないだろう。




「いや、迷惑とかは思ったことないけど」

「あ、その、私の見た目があると、飲食店とかの売り上げとかが落ちちゃうかなとかって……」

「俺の作るのは美味しいから、関係なく売れるとは思うけど」

「そう言ってくれるのは嬉しいです。でも、やはり私の見た目でミクスさんが損するのだけは嫌です。だから、私……この見た目を打ち消すぐらいに大きな功績を立てたいって思ってます!」





 お、おぉ。何やらすごい目標とかを持っているな。まぁ、確かに彼女のいう通り、災厄の魔女と似た見た目は彼女自身にもマイナスな面があるだろう。



 俺としてはそこまで気にしてないけど、シエラが言っていることも多少なりとも分からなくもない。



 確かに彼女の見た目に恐怖を持ってしまう人間がいるの事実である以上、俺よりも彼女がそれを気にしてしまうのかもしれない。




「シエラならすぐ功績をあげそうだな」

「そうですか! そうなるようにします!」



 シエラはアニメでも荒れた畑を豊穣にしたり、毒地に花を咲かせたりして豊穣の女神とか言われたりすることもある。徐々に名声とかも高まってたイメージあるし。



 割と簡単かもしれない。



 それよりも、シエラそれは遠回しに一緒に居たいから頑張ると言っているのか。ここに来て本当に急にグイグイくるな。



 俺としては恋愛的な意味合いでは、シエラをまだ見たことないから戸惑いもある。ただ、シエラ見た目は超絶可愛いし、前世の学生時代ならすでに惚れていたレベルだろうな。


 内面も健気で一生懸命だしさ。これは学生時代なら惚れていたね、間違いない。


 

 

 シエラの意気込みを聞きながら、草原を歩き続ける。互いに服装とかはいつも通りなのになんだかぎこちない気がする。



 そして、綺麗な湖の場所で腰を下ろすことにした。

 





「サンドイッチ作ってきたら食べてくれ」

「わぁ! ありがとうございます! 私もイチゴとスイカ朝から作ってきました!」

「朝から作ってきたのか。新鮮そうだな」





 

 やはり、シエラのスキルはチートであったか。彼女が持ってきた木箱の中のフルーツはどれも艶と水々しさがあって美味しそうだった。



 互いに作ってきたのを食べながら、引き続き会話を続ける。






「あ、あの、このサンドイッチ美味しいです! ミクスさんのはいつも美味しくて! いつまでも食べたいって思います!」

「ありがとうな」

「いえ、すっごく美味しいから当然のことを言ってるだけです!」






 あむあむと食べているシエラ。しばらく食べ続けた後、意を決したような顔つきでこちらを再び彼女は見た。



 あれ、これって告白とかされる流れなのだろうか。





「わ、私、ミクスさんに会えてよかったと思ってます。私は貴方に救われました。そして、その……私はミクスさんのことが」





 流石に俺でもその先に何をいうかは大体わかってしまった。





「好きです。付き合って欲しいです、なんだったら結婚まで、更になんだったらお墓に一緒に埋まりたいです!」

「畳み掛けてきたな」

「はい! もう、なんか、なりふり構ってられなくて!」





 大分、先までを見据えて告白をされた。しかし、これは本気で本心で彼女は想いを言ってくれたのだろう。それくらいは鈍い俺でも分かった。



 ──そうか、俺もこれは真面目に答えを出すべきだろう。



「ただ、すぐに答えは欲しいとかじゃなくて」

「なるほど」

「私はただ、想いを伝えたいだけというか。だから、ミクスさんが他の人を好きになったり、他の人と結婚をしたりしても文句とかもありません。私はミクスさんに救われたから。だから、救われた私は自分の想いが届かなくても貴方がずっと好きです」





 そっか、想いを伝えたい。大事な想いを恥ずかしいのに俺に言ってくれたのか。




「だから、全然振ってもらってもいいです。他に好きな人とかいたり、ユルレさんが良いならあの人と結婚とかしても私にはなんの後悔もありません。毎日がこんなに楽しくて、美味しいものもこれまでたくさん食べさせてもらいました。その思い出だけで十分です」





 そっか……。





「やっぱりすいません! 嘘です! 良い女のふりしてたんですけど無理です! 嘘つけないです!! やっぱり私ミクスさんと結婚したいです! 子供3人くらい産みたいし、一軒家とかで一緒に過ごしたいです!」

「え?」

「美味しいのもこれからも一緒に食べたいし、ユルレさんと結婚とかされるとめっちゃ悲しいです! っていうか、絶対私の方が好きだし、愛もあります!! 沢山尽くしますし! わ、私、家族とか憧れあるので! 子供やっぱり5人とかでも! 大家族でわちゃわちゃするのに憧れあるんです! ブラックちゃんとホワイトちゃんも子供とか作りそうだし、2匹も一緒に大きな家で一緒に住みたいし!! それと告白の答えも遅くてもいいとか言いましたけど、今欲しいです!」




 あ、うん、そうだったのか。



 ユルレは嘘だけど、シエラは本気で言ってくれてるだろうな。こんな嘘をつくような子ではないと分かっているから。




 俺は今までシエラを異性としてとかそう言った目で見たことがない。それはこの世界に生まれて、最初は貴族として過ごしてたけど、モンスターに領地が潰されて……


 生きるのに必死だったから。恋愛とかそう言うのをするつもりがなかったからだろうな。



 ある程度食えるようになっても、あの時モンスターに襲われた恐怖が抜けなくて必死に自分がどうやって生きるかを模索してた。


 それに前世で両親が両方不倫したり、良い関係と思ってた人から急に連絡が消えたりとか、恋愛とか愛とかが分からなかったと言うのもあるんだろう。



 そして、この世界がアニメと気づいた時、俺は知らずのうちに彼女のアニメのキャラとしか考えてなかったからこそ、好意にも気づかなかった。


 いや、全くというわけではないが。

 いっても、アニメの流れに沿うのがいいんじゃないかと、他国の王子とかとくっつくのがいいんじゃないかと。

 原作を改変しすぎるのって、色々良くないんじゃないかと。

 そう思って、あまり考えないようにしてたのは否めない。


 でも……

 ここは俺が知ってる世界とは違くて、彼女は生きてて自分の意思を持ち、そして、俺を好きになってくれたと思うべきだ。




「私、本当に好きです! だから、お願いします! 付き合ってください」


「……俺、愛とか恋とかよく分からなくてさ。でも、シエラがそう言ってくれたの本当に嬉しいと思う」


「こちらこそ、そう言ってもらえると嬉しいです……」


「……俺、そう言うのに疎いからさ。まだ、気持ちに整理がついてないし、なんとなくで真剣な想いに答えを出すのもどうかなって思う」






 そう、真剣な思いに俺のこんな中途半端な状態で答えを出すのってどうなのかなと思ったりもする。


 それに……


「それに……自分で言うのもなんだけど、シエラが俺に向けてくれてるほどの熱量は、俺にはないと思う」

「……」



 でも、告白されて嬉しかったのは本当だった。今後、自分をこんなに好いてくれる人が出来るのかも分からない。




 だから、正直に言えば……





「でも、告白が嬉しかったから。俺、それに素直になりたい」

「……」

「こちらこそ、宜しく頼む。付き合おう」





 その時のシエラの表情は今までで1番可愛かった。涙が浮かんでたけど、とびっきりの笑顔でハグをしてきた。



 辺りには感情の動きで魔力が散乱していた。



 湖に魔力が満ちて、そこから水の竜巻が発生し、辺り一面の木々もどんどん成長していくカオスな展開へと変わっているが、そこはちょっと置いておこう。



 今は彼女と向き合う時だ、





「わ、私……こんな、嬉しいのは初めてです……」

「そっか」

「はい、本当に嬉しいです……! 私、沢山尽くします!」

「無理はしないでな」





 ぎゅぎゅと彼女のハグは続く。時折、背中を触ったり、太ももを彼女は触ったりしていた。




「なんか、いろんな場所触ってるな」

「え? あ、だ、だめですか? 恋人って互いの体触り放題って聞いたんですが……?」

「……そんなこと……いや、そうなのか?」





 恋愛経験が少ないから分からないけど……付き合ったらそうなのか? シエラもそれが当然みたいな顔してるから……




 そうなのかな?

 

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